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初恋戦争







【初恋戦争・緑谷視点】



今、僕はかっちゃんの目の前に座っている。
かっちゃんは帰ってきて早々、僕の体をぺたぺた触った後に僕を抱きしめてからすんっと首筋を嗅いできた。
いきなりで、ひぁっと声をあげてしまうと、急いで口を閉じるように手で抑えた。 かっちゃんはそれに機嫌を何故か悪くしてしまうと、僕を食事する椅子に座らせ、真っ直ぐ見つめてきた。



「な、なに…かっちゃん…」
「てめぇに話がある…嘘つかないで答えろ」
「え、僕…かっちゃんに嘘ついたことなんかないよ!?」
「わかんねぇから聞くんだろーが!」


ダンっと机を叩かれると、折寺の時の彼を思い出してビクッと体が跳ね上がってしまった。 高校1年の頃に互いの本音を出し合い秘密を共用したあの時の柔らかい彼じゃなく、何かを怒っているような我慢しているようなそんな表情に僕は目に涙が浮かんだ。
すると、僕の涙に気づいた彼が、ガタッと椅子を立ち上がり抱きしめてきた。怒っているくせにどうしてこんなに、優しくするんだよっと彼の袖をキュッと掴んで「ぐすっ」と鼻を啜れば、彼は抱きしめたまんま「泣かせたかったわけじゃねーんだわ、悪ぃ…デク」と優しく言ってくれる。 その声色に僕はホッとしつつ、「大丈夫、ごめんね…僕こそ」っと告げて顔をあげて彼の瞳を見つめると、彼は少し悔しそうに眉を潜めながら抱きしめてくれた。


「俺がお前に、聞きたいこと…あって…」
「うん…なぁに?」
「その、お前の…」
「うん?」
「お前の浮気相手について、なんだけどよ」



その彼の言葉に僕は目を丸くしつつ、固まってしまった。
その後も彼は何かを言っていたが、そんな言葉は横に通り過ぎていく。浮気相手? 誰の? 彼は僕のって言ったか? いや、彼はお前の浮気相手と言った…お前?Why?お前? 彼からしたらお前は、僕?僕だよねぇぇぇぇぇっと答えが出た後に彼に顔をあげた。



「き、君って本当に最低だな!」
「あ? いきなりなんだよっ!」
「ここまで最低だったなんて、流石の幼馴染である僕もびっくりだよ」
「だから何がだよっ!」
「自分の浮気が原因で別れたくないからって、勝手に僕を浮気した者扱いして分かれ切り出そうとか、みみっちいにも程があるだろ!」
「あ!? 誰が浮気が原因でてめぇと別れるなんて話ししたんだよ!そもそも浮気したのはてめぇで事実じゃねぇか!まるでしてませんって顔すんなよ、このクソナードがっ!童貞卒業した気分はどうだよ、このくそやりちんナードがっ!」
「こっっっっのっ、言わせておけば…歯ァ食いしばれよかっちゃん!」
「ハッ!てめぇがな、せいぜい火傷に気をつけろや、このくそデクがぁぁぁぁぁ!」



僕は腕にパリパリっと青い光を纏わせ、彼は手のひらにパチパチと火花を散らした瞬間に、『そこまでっ!』と間に入ってきた5人の知り合いに押さえつけられた。 どうやって入ってきたの?っと問いかければ、管理人に『プロヒーローが今にもマンションを壊そうとしています!破壊を防ぐために協力してください!』って言ったという。 管理人も壊されたくないので直ぐに鍵を貸してくれたそうだ。 ヴィランだったらどうしたんだろうとか言うツッコミも出来ないまんま、僕らは放っていた互いの個性の力を一時引っ込めてペタンと床に尻を着いた。

切島くんと瀬呂くんはかっちゃんを、上鳴くんと飯田くんが僕を、そして僕とかっちゃんの間に轟くんは氷を出して家の破壊を防いでくれた。 僕らは大家さんにペコペコと互いに頭を下げてから事情を適当に個性事故でっと話して帰ってもらうと、5人の友人の証人を場に、部屋で7人で卓を囲んでいた。





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