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初恋戦争






【初恋戦争・勝己視点】




「イライラしてんなぁ〜爆豪」
「なんかあったのかよー、かっちゃん」
「バカ、上鳴!?」
「かっちゃん呼ぶんじゃねぇぇぇぇぇ!」


BoMBoMと爆破しつつも、相手には向けずに威嚇するように座ったまんまあほ面を睨みつけた。 この呼び名はいつもいつまでもあいつだけのなんだよっと椅子を蹴っ飛ばしてから目の前の烏龍茶を飲み干した。
イライラの原因はわかっている、同棲相手であり、恋人の出久である。
最近、アイツの帰りが遅い。そのうえ、シャツに真っ赤な口紅やら香水の香りやら着けて帰ってきやがる。



「だぁぁぁぁぁ、くっそデクがァァァァァ」
「うぉ、マジでどうしたよ爆豪」
「デクの癖にアイツ浮気してやがるんだよっ」
「緑谷の癖にって、緑谷結構モテるだろ」
「上鳴ぃぃぃぃぃぃぃ、お前はなんでそんな、煽るようなことを」
「うぇ、うぇーい、うぇっぷ」
「うぇいしてんじゃんかぁぁぁぁ、爆豪もスグ爆破すんじゃねーよ!」
「ふんっ、そいつが悪い」


足を組み直して、爆破したそいつを蹴っ飛ばした後にどかっと椅子に腰掛けイライラしたオーラを再度だす。
切島と瀬呂が宥めてくるが、宥めるくらいならデク呼んでこい、ぶっ殺すっと思いつつ考え直す。 デクを殺すべきなのか? それともデクを唆した女を殺すべきか? いや、考える意味もない女に決まってるだろう。 デクは浮気なんざ上手くない、相手が考えてアドバイスしてるに違いないっと飲んでいた上鳴の酒の缶を握りつぶした。


「んで、緑谷が浮気って、証拠は?」
「証拠はまだ揃ってねぇ、あと…必要なのは、2人が揃ってる時の写真かなんかだ…」
「…というか、それ以外はあんのかよ、こぇぇ」
「口紅が着いたシャツは写メ撮ってから洗ったわ…ちゃんと痕も残さねーよーに汚れ落とし使った、アイツらが2人でヤッた痕跡のシーツや髪の毛もバッチリ袋に詰めて隠してあるわ」
「こわっ、てか緑谷やっちゃってたの!?」
「あ? 女の真っ赤なハイヒールがあって、しかもベットをギシギシ言わしとる時点でやってんだろーが!!」
「あー、それは…黒だな」
「真っ黒じゃん、緑谷にしては男前だな」
「アイツが女を抱ける身体なのが悪かったなぁ、くそがっ…二度と抱けねぇように調教してやるわっ」


俺の鬼のような形相に3人はひぃぃっと言っていたが知るか!抱き潰して殺すわっと言いながら携帯に入ったメッセージを見た。 メッセージはデクからで「かっちゃん、一緒にご飯食べれそう?」と来ていたので「即、帰るわ」っと送信して既読と共にポヒュっと着いた「待ってる!」の羊スタンプを見てから口元を緩めた。あー、可愛いっと思いつつ椅子から立ち上がり飲んでたペットボトルを捨てて、握りつぶした酒の缶はあほ面の前に置いてやる。


「可愛い恋人が待っとるから帰るわ」
「…浮気されてても、そこはぶれねぇのねお前」
「あ? 浮気は許さねぇが、ちゃんと俺ん所戻ってくるってんならお仕置で許してやるんだわ、相手は殺すけどな。んじゃあな」
「…へーへー、またなー」
「明日な爆豪!」



3人に手を振ってから軽い足取りで家まで足を進ませた。 浮気は確かにムカつくし許さねぇ、女を抱いたのも絶てぇ許さねぇ。だけど、こうやって連絡をくれ、毎日飯は食おうとしてくれるその努力は認めてやらんこともないっと心が弾んでいた。





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