君との7日間戦争-恋愛-
「そういえば、あの女の子誰だったの?」
「あ?ドイツだよ」
「ドイツは国だよ? そうじゃなくて、良く話してた女の子」
「誰も国の名前なんぞ言っとらんわ、イントネーションでわかれや!」
「ごめんって、冗談じゃないかぁ…んで?」
「…それ、作ったんだわ」
それって指をさされてシルバーリングを見つめた。作った?tk…つくったぁぁぁぁぁと僕は彼の部屋で大声を上げてしまった。
「うるせっ…アイツはサポート科のお前と仲のいい女に聞いて紹介してもらった奴で、シルバーというよりアクセサリーとかの細工を作成するのに匹敵した個性だったんだよ、だから手伝ってもらった」
「え、じゃ、じゃああの時の中庭での会話は?凄く君楽しそうだった」
「?わかんねぇけど、アイツと初めて会った時、渡したいものや形やら聞かれて、お前のこと考えながら話しとったから、無意識かもな?」
そういえば、ココ最近なんでか抱きついたり2人きりでいた時は指を触っていた気がするなぁ、知らなかった。
「で、でもでも、この間…日誌出しに行こうとした時も…嬉しそうだった」
「あれは、集めてた素材の事で話があったけど、テメェに内緒で用意しとったから、あそこじゃ言えなかっただけだわ、ソイツも邪魔して悪かったって謝っとったぞ」
だから、少し僕を見て顔を赤くしたのか、かっちゃんに頼まれたことを守ろうとしてくれた上に、相手が傍に居たから、なんかごめんね、モブ子ちゃん。
「で、でも、通学路にいた時は? 終わったら恋人同士って、僕とのかんけいをって事でしょ?」
「げっ、お前聞いてたのかよ…」
「や、やっぱり不味かったんだ…僕、振られ…」
「あーーーー、そこまで聞いたんならいいわ。あの日、銀細工の最後の仕上げの日だったんだよ、その時にあのモブが、最終確認させて下さいって来たんだわ」
「最終確認?」
「あぁ、作る時に必要な気持ちの大きさだ。単なる銀細工と違って俺のは婚約同様のシルバーリングだったからな、本当にそれ程の大きさが表せられるかを測っとったんだわ」
彼は会話の内容を僕に教えてくれた。あの日、かっちゃんが通学途中に現れた彼女は、材料や必要なものをひとつにまとめた丸まった銀を持ってきたらしい。 それを指輪という高度な物にする為には作成者の気持ちや頼んだ人の気持ちが不可欠なんだそうだ。 単なる売るだけのアクセサリーは誰が持つか買うかわからないから、お守り程度の気持ちを注ぐだけらしい。
だが、シルバーリング、ラブリングなどの意味を持つものは違うらしく、作成者の気持ちが大きければ大きいほど頑丈に強く作られるらしい。
「本当に、作ってしまっていいんですか? 一言、彼にも伝えた方が…」
「あ?言えたら苦労しねぇんだわ、今のアイツは俺への責任や俺を見下した感情で付き合っとるだけなんだわ」
「でも、好きの気持ちがこのリングには反映します、今のそんな気持ちなら…」
「あんな、俺はアイツの好きなんかとっくに超えて、愛してんだよ…アイツのクソお綺麗な自己犠牲で付き合われても嬉しくねぇ、だから自覚させて、手に入れてやるんだわ」
「でも、何も言われずにこれを作るなんて…」
「したくねぇことはしたくねぇ、だから、お前に言っとんだわ」
「…でも、それだと緑谷先輩があまりにも可哀想すぎますっ」
「あ? んだよ、お前は俺が結ばれんの嫌なんかよ…」
「嫌じゃないです、嬉しいです! だって、爆豪先輩が…愛してるだなんて、えへへ」
「ふんっ、これ終わったら恋人同士だわ、安心しろや」
「…はいっ!」
ってのが最初からのくだりらしい、失礼だな僕が自己犠牲で付き合うと思われていたなんて、心外だっと彼の腕に抱かれつつ顔を擦り寄らせる。
あのあと、2人で彼女の元に行って、僕から彼へのシルバーリングも作ってもらった。 結構案から練るのは骨が折れるもので、彼が何回かに渡って彼女と交流していた理由を知れた気がした。 耐性やら衝撃やら何やらの硬度性とかも考えたら確かに色んな素材も必要だなぁっと出来た互いのリングが重なり「カチッ」と音が鳴った。
「離してやんねぇからな、卒業したら一緒に住んで、互いに18ンなったら籍入れて、テメェは俺のもんだ」
「ふは、気が早いなぁ…まだ今年に入ったばかりだよ? 勝己も浮気とか…」
「しねぇわ…」
「えっ…」
ふわっと僕の顔と彼の顔が重なり唇が触れる。 彼の口付けは甘くて優しい。力強い口付けもあるが、普段はこうやって甘やかす口付けをくれて、僕の顔は真っ赤に染まっていく。
「俺が浮気したら、殺せ…お前の手で俺を…お前に信じられねぇ俺なんざ、俺じゃねーんだよ…俺の人生は全部、お前との思い出やこれからで生きてくんだからよ…言ったろ? 腹くくれやって…俺は全部、お前に捧げたんだから、お前の全部、俺に捧げろ」
「んっ、…かっちゃ…ふぁ」
「勝己だろ? 出久…おら、どうすんだよ、くれねぇなら…奪うだけだけどな…」
「んっ、んん、あげる。あげます!僕の人生も君で出来てるんだから当たり前だよ、僕が浮気したら怒って、殺してください」
「は、上出来ですクソナードさん」
彼の首に腕を回し互いに抱きつくと、カーテンを開けたまんま、僕と彼はベットの上で仲睦まじく時を過ごした。 太陽に見られていたのも気にせず、何度も何度も絡まって、2人で笑いあった。
もう、闇の中で倒れてる君を見ることなんてない、だって、僕が君を救けるから。だから君も僕を救けてね、僕の世界一大好きなヒーロー!
END