君との7日間戦争-恋愛-
「何コレ?」
「あ? 見りゃわかんだろ、呼び出し」
「なんで?」
「んなもんてめぇがわかんだろーが、散々逃げ回りやがって」
「逃げてないよ!タイミング合わなかっただけだよ…」
「そうやって視線逸らす癖にか?」
「うぐっ…だって、僕、…別れないから!」
「は?」
「かっちゃんが別れ話しようとしてるなんて分かってたよ、そこまで鈍くない!でも、僕は僕は勝己が好きだから絶対別れてやんない!」
と僕がそれを口にした瞬間に目の前の彼の言葉がなく顔を上げた。
彼は目の前で赤くなりながら硬直していた。しかも、咄嗟に僕は名前をなんて口を閉じれば、彼は怒りからかワナワナと肩を震わせながら両手の掌から爆破を起こした。
「別れるわけねぇだろ馬鹿かっ!お前の俺への言葉は、はい、もしくはイエスしかねぇんだわ、クソがっ!」
「え、だ、だって…君、女の子と…」
「どこ情報か知らんが変な考えとしとんなキメェわ!」
「でもっ、ならあのよく居る女の子なんなんだよっ」
「あれは…」
「ほら、言えないんじゃないか、そうだよね!僕と別れたら恋人同士になる予定の子だもんね」
「はぁ!? なるわきゃねーだろっ!俺にはてめぇがおんだろーが」
「だからっ、僕が邪魔で別れたいんだろ!」
でも、僕別れてやらないからっとふんっと横を向けば、かっちゃんは「はぁぁぁぁぁ 」と大きなため息と共に僕の横にドカッと座った。
「何を聞いたか知らんが…まずはてめぇに言いたいことがある、文句は後で聞いてやっから受け取れ」
彼からの言葉に頷くも、差し出された小箱に目が見開いた。 小箱にはシルバーのリングがはいっていて、内側にはかっちゃんの赤い瞳の色が埋め込まれていた。これ…っと口を開こうとすると、彼は僕の手を取り左手の薬指を触る
「此処の意味、一生俺に寄越せや」
ふっと笑う彼に僕はぼふっと耳まで赤くなる。
どういうこと?っと首を傾げると、真っ赤になった僕に彼は「意味理解したか」っと照れた僕に顔を寄せ、唇を合わせてきた。
「お前が、俺を好きとか言う割にはいつも、なんか考えとんのは知っとった」
「ぼ、僕だって…かっちゃんが、付き合ってるって、認めてくれたのに…手も出してこないから、不安で…」
「あ? 出そうとすれば、やだやだって言ったのはてめぇだろーが」
「ちが、あれは…そう言っても、その少しは無理矢理ってのを…」
「流石に俺はんな非道じゃねぇ…つか、ふーん」
僕が顔を上げれば、かっちゃんは嬉しそうに僕を見ている。
「な、なに?」っと聞き返せば、彼は僕の耳に唇よせ「期待、してたのかよ…変態ナードくん」っと囁いてきたから、その声の甘さと低さにビクゥっと肩を跳ねさせ勢いよく反射的に下がった。
「な、なっ…なな…何するのさ!か、かっちゃんの…」
「それだ…」
「え?」
「俺はてめぇを追い越したかったし追いつきたかった、でもてめぇが俺を認めない以上、隣にも先にも行けやしねぇ」
「な、何言って…」
「お前が俺を認めてくれてるってんなら、俺をお前の横に対等にしてくれんなら…わかれや…もう、俺は後ろじゃねーんだろ?」
「後ろも何も前に言ったろ? 君は今だって僕の前や先にいる、むしろ後ろになんて…」
「なのに、お前は俺を無意識に子供扱いしとんのか?」
ザリッと足を進めながら僕に近寄ってくる彼に僕は意味が分からなくなる。
僕は彼に告げたあの言葉は本物だった、なのに何故…対等ではないと、対等や前じゃないと言ってくるの?っと頭がぐるぐるした。
「…俺はさ、あん時、お前を思って戦っちまった、勝って救ける、救けて勝つんだってオールマイトに言われたのに…でもよ、そんなものより俺は、お前を救ける事しか頭に無かったんだ」
「…僕…」
「死柄木に言われた事、認めたくないのに認めちまった自分が居た…お前がさ、本気になった時口悪くなるのと同様でよ、俺も…本気で何かを超えたいと思った時はさ…」
かっちゃんが足を進め僕の前に立つと、とんっと僕の心臓に指を置いた。
あの時怖くて不安で堪らなくなったのを思い出す。それなのに、彼はいつもとは違う吹っ切れたような笑顔で笑った。
「お前の癖が出るんだよなぁ…それくらい長く居たんだよ俺らは…だからさ、対等にしてくれんなら呼べよ…
僕の胸ぐらを掴んで真っ直ぐ見つめてきた彼に僕はやっと理解した。
彼が欲しかったのは友愛でも幼馴染の延長でもなく、認められ対等になった今の僕と彼の関係の証だったんだと。
彼の傷つけた場所に手を置いて、肩、腹、胸元と移動させながら彼の心臓にぽふっと頭を擦り付けた。
「無事で、本当に無事でよかったよぉ…
「…やっと、落ちてきたって感じすんなぁ、
「そんなに、呼び方気にしてた?」
「あ? なんつーか、お前専用の呼び名としても、対等なら名前で呼ばせたかっただけだわ、普段はいつもんでいーわ」
「そうなの?」
「2人っきりの時だけな、出久」
「もう!耳元で呼ぶの反則!」
バッと耳を隠すように手でガードすれば、かっちゃんは楽しげに笑って僕の手を握り薬指にそっと唇を落とした。 その瞬間に、今年の桜が満開の時期に来たこの場所で夏真っ盛りに入りそうで緑におお茂った木や葉っぱが祝福するように、風が勢いよく吹いて、僕らを見てくれていた気がした。
「…おい、返事はイエスかハイしか聞かねぇ、答えろや」
「うん」
「俺と付き合え、一生面倒見殺したる」
「ふ、告白でも見殺すとか、君らしいなぁ…はい、宜しくお願いします」
僕らはこの日、新たに幼馴染から恋人へ昇格しました。
それが最終日の君との
→後日談