君との7日間戦争-恋愛-
そろそろ終止符を打とうかなっと鼻歌混じりに彼を探していた。
彼を見つけて傍に寄ったら、可愛らしい女の子の声が聞こえてくる。その声と共に珍しく一緒に笑う彼の姿があって、僕はズキっと少しだけ心が痛くなった。
待って、あんな顔子供の頃以来じゃない? 僕にはぜんっぜん見せないよね?あれ?僕の記憶が止まってます? とか思うくらいの彼の笑顔に胸元をきつく抑えた。
彼に本当の思いを告げたいと思っていたのに、これじゃあまた告げられないよっとその場で蹲った。
「…なに一段と不細工な面しとんだ」
「別に…それより、かっちゃん。日誌は僕が出すから先に帰っていいよ?」
「あ? んでてめぇに指図されなきゃいけねーんだよ…貸せ、俺がもってくわ」
「まだ書き終わってないしいいよ…」
「…はぁ、ったく、何拗ねとんだ…聞いてやっから…」
「爆豪先輩!」
「ん? おー、お前かよ…なんか用か?」
「えと、そのぉ…」
チラッと僕を見てから赤くなって視線を逸らした相手に僕ははぁっとため息を吐いてからトントンっと日誌もまとめてリュックを背中に背負ってからスタスタと後ろの扉から出ていく。 聞かれたくない話なら他所でやればいいのにっとかモヤモヤしたまんま図書室に行って日誌の続きを描き始めた。
「…なぁんで、自覚しちゃうかなぁ、一方的なまんまで良かったのに」
そしたらきっと、彼に恋人やお嫁さんが出来ても「僕と彼は利害一致の関係なので!死なない為の枷みたいなものなで!気にしないでください」とか言えたのになぁっと心で文句を呟いた。
「気づいたら、欲張りになっちゃいそう…」
僕は誰も居ないと思ってなんでもかんでもブツブツ口に出しながら日誌を纏めていく。 そんな時に不意に後ろから来た相手に反応できず抱きしめられた。 危機察知が反応しなかったことから悪い人では無いだろうと後ろを振り向くと、「やぁっ」とオールマイトが立っていた。
「お、おおお、おーるまいとぉぉぉぉぉ、身体は!? お加減は!? あ、というかさっき僕のこと抱きしめぇぇぇぇ、あーーーー嬉しすぎて死にそうです」
「落ち着いて緑谷少年、ほら深呼吸、スっスっはーだよ」
「そこはヒッヒッフーでは?」
「それはラマーズ法だね、君…誰かとの子でも産むのかな?」
そんな会話をしながら、僕は悩んでたのが嘘のようにオールマイトに沢山の話をした。今までのことや、これからのこと、そして僕が…彼への気持ちに気づいてしまったことも包み隠さず話せた。 流石はオールマイト、全てが溶けていく感じするやっと心のモヤもきっとっとオールマイトにその話をしていると、ドクッと心臓が脈打つのがわかった。
「…緑谷少年?」
「す、すみません、オールマイト…何だか急に…胸がきゅうってなって…」
「…少年、君は…」
「き、気分が悪いんですかね…あはは、かっちゃんが女の子に笑いかけてただけ、なのにっ」
「…あっ」
「なんで、こんな、気持ちに…なるんだろぉ、ただ…自覚しちゃっただけなのにぃ、かっちゃんの、ひぐ、ばかぁ」
ぽろっと涙が落ちた瞬間に、ぽふっと抱きしめられた。
オールマイト?っと口を紡ごうとした瞬間に目元を何かで遮断され、真っ暗になる。 僕の涙でその手がどんどん濡れていく。 離してください、オールマイトっと言おうと瞬間に唇が柔らかい何かで塞がれて、少ししてから離された。 触れるだけだったのに、何故か長く感じたその瞬間に、ぽぽぽっと真っ赤になった。
「…いつから居たのさ」
「オールマイトが入ってったとこから」
「ほぼ全部じゃんか、変態」
「あ? てめぇが不細工な面してんのに何もいわねぇからだろーが」
「直接聞けば良かったじゃないか!」
「聞いたら言ったのかよ」
「…うぐっ」
「ほらほら、2人ともその辺で…というか、私は帰っていいかい?」
「はぅあ!? お、おおお、オールマイトすみませんっ、その、あのっ、僕…そのぉ」
「落ち着いて緑谷少年、ほらスーハースーハーだよ」
「は、はひっ、ヒッヒッフー、スーハースーハー、ヒッヒッフー!」
「だから、それはラマーズ法であってね…」
そんな僕らのやりとりを楽しそうに見てるかっちゃんの顔に僕は少しだけドキッとしたのと同時に、さっきの重なり合った体温に胸が鷲掴みにされた気がした。
その後、オールマイトと別れて日誌を出して、寮に戻っても彼と僕の間にそれらしい会話は無かった。
そろそろ終わる君との
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