愛情∞!?
『オレが起こしたー!』『オレが起こしたー!』『オレが起こしたー!』カチッと電源を止めると身体を起こして伸びをしてからベットから降りてカーテンを左右に開く。
眩しい日差しに少しだけ目を背けつつ、時計を見てから朝の訓練に出かけようっと運動着に着替えて部屋を出ていく。
そう、僕の本日の一日が始まりを告げるんだ。
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僕の名前は『緑谷 出久』、ヒーロー名は『デク』因みに補足だが木偶の坊のデクじゃなくて『頑張れ!』って感じの方のデクだ。
憧れの人はオールマイトとかっちゃん!かっちゃんと言うのは『爆豪 勝己』という名の幼なじみだ。
家が近所で幼い頃から共に居て、小中高までずっと歩んできた。
そんな僕とかっちゃんの日常が…幕をあけるのだ。
今日は目覚めもスッキリだったし、身体の調子も悪くない。
悪くなかったんだが…目の前のオールマイトを見て、僕は少しだけ首をかしげてしまう。 オールマイトの頭上に【100%】っと出ている。 その数値の横には女の子が使いそうなハートマーク付きだ。
試しにオールマイトに僕の頭上か、オールマイト自身の頭上に何か書いてないか聞いてみたところ、オールマイトには何も見えてないみたいだった。
僕にだけみえる個性? いやいや、そんな個性と昨日は触れていない。
でも、実際見えてる数値だし意味がわからない。 いつもの癖の『ブツブツ解析』がはじまると、オールマイトから「疲れてるみたいだし今日は休みなさい」っと朝練を中断させられた。 今日は通常授業の日ということで、部屋に戻って制服に着替え直して、洗面台に向かった。
すると、共用スペースの洗面台に先に来ていた飯田くんと峰田くんと焦凍くんを見つけて「おはよう」っと軽く挨拶してから隣に並ぶ。 そして、並んでから少し止まると、ギギギという効果音が似合いそうな音で顔を横に動かし彼らの頭上を見つめる。
飯田くん、70%(たまに怒らす時あるからこれくらいかな?)、峰田くん80%(たまに話す下世話な会話のお陰かな?) 焦凍くんが90%超えていて何も言えなかった。 僕は本当にどんな目の個性なんだ?っと頭上を無視して歯磨きを始めた。
そんな僕の行動や言動に変だなっと気づいたのか飯田くんが肩を掴んで、僕に告げる。
「何か悩みがあるのかい、緑谷くん!」
「うわっ、ビックリしたー。 ど、どうして?飯田くん」
「ボーッとしていたからだよっ、いつもの君ならもっとこう、昨日のヒーローニュースについてとかだね…」
「あっ、あぁ〜、うん。昨日も色んなヒーローが大活躍だったもんねっ!! エンデヴァーもかっこよかったし」
ニコッと効果音が着きそうなほどの笑顔で僕が笑うと、飯田くんは「なんだ、いつもの緑谷くんじゃないか」っと安心したようにホッと一息してから手を動かしながら共用の洗面スペースを出ていった。
その時の頭上の数値が70から72に上がっていたのを3回ぐらい見直してしまい、隣に居た焦凍くんに「大丈夫か? 委員長に、なんかついてんのか?」っと心配されて、僕は次は苦笑いを含めて「だ、大丈夫だよ」っと返答した。
その後は言わずもがな、色んな人の頭上に数値があるんだけど分かった事は、男子or男性(しかも僕に関わりある人)にしか見えないことだ。
クラスに行くまでの間に麗日さんや蛙吹さん達と会ったが頭上には何も無く他の女子や街の女性にも付いては無かった。
僕の関わりがあるなしがわかったのはクラスの人達でだ。A組はがっつり絡んでいるから1人1人のがハッキリ見えるが、B組は見える人と見えない人がいる。 そしてトドメに分かったのが一般の人達だ。たまに学食やらすれ違う別科の人達はなんも頭に数値がない。
けれど、僕が丁度落し物を拾ってあげた男子生徒は最初無かったのに、僕が落し物を渡して別れる前にいきなり『新たな出会いが開かれました』とか頭上に浮かびながらハートマークと共に数値が2と書かれたのを確認してしまった。
この先また会うことも無いかもなのに?っと目を丸くしたのを覚えている。
ただ、1番辛いのはA組からの僕への親愛度なのか信頼度なのかわからないこれを見ることだ。皆からの僕への評価と思うと見たくないなぁっとクラスに入ると、寮では会ってなかった皆が振り向いて「おはよー」などと話しかけてくれる。 目の前に最初に挨拶くれた上鳴くん、切島くんは以外にも70は超えていた。切島くんはなんとなく、うん…エリちゃん関係だろうなっと感じる。上鳴くんは皆と仲良しそうだもんね。
その後に、常闇くん、青山君などと話す時も頭上に見えたが一応クラスの人達は全員50以上はキープしてて安堵していた。 ただ、今目の前の居ないクラスメイトを考えると頭を机に突っ伏すしか無かった。
率直で言うと、僕はかっちゃんに憧れ以上の感情をもっている。 そう、男女で形成されるのが普通とされるその感情をだ。
普通じゃないだの、男同士だと思われるだろうし言われるだろうしの未来も暗い先が見えそうな事だ。だけれど、この気持ちは言うつもりはないし、墓まで蓋をして渡すつもりがない気持ちなのだから思うだけなら自由だよねっと言い聞かせてきた。 なのに、僕への気持ちをかっちゃんから見てしまうなんて…破壊的にマイナスか0で止まってる未来しか予想できないよっと頭をガシガシと掻く。
そんなぐるぐるしてた矢先にドカッと目の前の机に鞄がおかれ、切島くんや上鳴くんが「はよーっす爆豪!!」 「はよ、爆豪。今日も荒れてるのかー?」などとからかい混じりに挨拶しにきて最初のホームルームまで時間が過ぎた。
どうせ、今日一日かもしれない数値だし気にしたら負けだっと目の前の席の彼を見ると、かっちゃんは僕を見てたのか? わからないが目がバッチリ合った。僕は逸らすのもなんかなぁっと思いながら彼を見上げると、目を何度も瞬きしてしまった。 目が疲れてるのかなぁっとかっちゃんに見られながら自分の頬をパンチすると、流石に目の前でされたのが驚いたのか、かっちゃんや周りが驚いて、相澤先生ですら「だ、大丈夫か緑谷!? いきなりどうした、暴走か?」 などと心配された。 仕方ない、だって僕はマイナスか寧ろ上がってなく0から動いてないだろうと腹を括ったとこだったのに。
目の前の彼の頭上にはハートマークの横に【∞】のマークと共に、いまさっきので何かあったのか【親密度が上昇し続けてます】の文字が出ていて更に驚いてしまった。 上昇し続けている?ってなんだ?っと少し視線を彼から逸らしてブツブツと解析し始めてしまう。 彼は僕のこの癖が嫌いなはずだ、上がっているなら下がることもある筈っとチラッと横目で数値を見ると、目の前には【∞】のまんまで更にその上に【低下不可能】っと出た瞬間に更に目を疑ってしまう結果となった。
「なんでだっ」
下を向いて額を抑えた僕はかっちゃんの使う口癖をポツっと告げると、またも僕の目の前には【上昇し続けています】の文字が出て何がっと顔を上げ直すと少しだけ口端を上げるように笑ったかっちゃんの姿があり、恥ずかしさで顔を机に突っ伏すことになった。 相澤先生に一言伝え、体調不良と称し先に寮への帰宅を許された。 周囲から珍しいなとか大丈夫?などの心配もあって嬉しさ半分と嘘をついた事の罪悪感から心が痛んだ。
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