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幼馴染






「爆豪が個性事故!? マジかよ梅雨ちゃん」

「まじで、まじで? どんな?どんなだよぉ!」

「女を抱きたくなる個性とかか? それともよぉーぶほっ」

「黙って峰田ちゃん…そして皆落ち着いて…一番辛いのは被害にあってる爆豪ちゃんとお茶子ちゃんなのよ?」

「そういえば、爆豪さんが先程から麗日さんと手を繋いでいるのって…」

「そう、個性事故のひとつよ」

「すげぇ、麗日が麗日じゃねぇ顔してる…おーい、無事かー?」

「それで、どんな個性なの?」



一通り皆で話したあと、尾白が梅雨ちゃんを振り向いてといかけた。
俺は死んだ顔してる麗日の背中をぽんぽんしながら梅雨ちゃんからの答えを待った。 梅雨ちゃんが言うにはこうだ…


インターン先で今回麗日のとこの上司と爆豪んとこの上司がチームアップを組んでいたらしい。今回はベストジーニストのとこじゃなかったんだなっと告げれば、面倒くさそうに麗日の手をにぎにぎしたまんま爆豪は「…ちゃんとしたヒーローになるまでは行かねぇ」っと変な意志を顕にしつつ、答えた。 笑える、あの爆豪が女子の手を普通に握ってるだけでなんか笑うっと言えずに肩を震わせた。 先を進めてもいいかしら?っと梅雨ちゃんが言うからどうぞっと皆で黙った。


インターン先でチームアップを組んで敵を捕まえた爆豪ちゃんは、最後に手を握られ敵に個性をかけられたの、個性は真実の口付けというのよっと梅雨ちゃんは話した。


【真実の口付け】

最初に話した人物と恋に落ちる。

無性にその人と恋人らしい事をしたくなる。

解除方法は最初に話した恋に落ちた人と口付けを交わす。

またはその人に恋人又は思い人の相手がいる場合その人と口付けを交わす。

最初に話した恋に落ちた人と口付けを交わすと強力な力が発動し、一生離れることも別れることも出来なくなる。 所謂、催眠効果で一生を添い遂げることとなる。

恋人又は想い人と口付けを交わすと周りに思い人や恋人はバレるが、個性は解除され、正気に戻る。

まさに、本妻や本カノ、恋人、想い人と口付けが出来るかの真実の口付けだ。
基本的にはすぐ解除したくてその場で一目惚れした人に口付けする人が多いため、恋人がいる人や両片思いしてる人には別れたり、離婚したりなど結構大きな傷が残る。



というものらしいっと話され皆で青ざめた。
ということは麗日と爆豪が気にせず個性解除のために口付けしていたら2人は強制両思いになるということかっと口に出されると、麗日が「絶対せんからっ!早く、爆豪くんの好きな人見つけて」っと言っていた。
爆豪も絶対言わねぇっの一点張りで、なら麗日とキスするか?っと言えばしてぇけどしたくねーって個性のせいで訳わかんないこと言うしで皆が脱力した。


「てか、爆豪は意識はあんのか?」

「たまにお茶子ちゃんに手を繋ぎたい、デートしたい、あーんしてくれとか言うけど、基本的にはそれの後絶対すんなよと言ってるところから意識はあると思うわ」

「…爆豪があーんしてくれ…」

「ちょっと…寒気がした、ウチ」

「大丈夫だ耳郎、オレもだ…」

「口が勝手に喋んだから仕方ねぇだろうがっ!!!!!」



BomBomと爆破しつつも片手は麗日と繋いだまんまなのがやはり笑ってしまう。皆も物珍しさに麗日には悪いと思いながらも手を繋いでるその姿を写真に収めていた。 そういえば、ここにはまだ幼なじみ含む所謂路地裏組の姿が無いなっと周りを見渡すと、丁度風呂からあがったのか轟と飯田が歩いてきた。



「…なんだ、付き合い始めたのかお前ら」

「そ、その…なんというか、珍しい組み合わせだな麗日くん、爆豪くん!だが、寮内での不純な事は決してしてはならないからなっ!」

「飯田さんは真面目ですわね、そうならないように私たちで見守りましょう」

「おう、付き合っとるわ!ラブラブだわっ」

「ぶふぉっwww 怒りながらラブラブ言われてもwww」

「楽しそうだな、爆豪…でも、良かった。お前が麗日を好きなら俺は遠慮しなくてもいいんだな」



そんな意味深な言葉とともに轟が共用スペースの椅子に腰掛けて笑う。
俺は少しそれについて聞こうとしたが、入口が空いてスリッパの音がした方向に皆で視線を向けた。 そこには自主トレ上がりで汗を掻いた緑谷が姿を現す。 その癒しのオーラに俺らは麗日と爆豪には悪いが話を逸らすことにした。


「緑谷ー!自主トレお疲れ」

「切島くん…というか、皆集まってどうしたの?」

「今から風呂か? 緑谷…」

「うん、轟くんと飯田くんは入ったの?」

「あぁ、すました。後は寝るだけだ…寝るまで自主トレを何したか教えてくれないか?」

「え? うん、いいよ!その代わり轟くんの新しい技も少し教えてね?」

「勿論だ…それじゃあ、あとで部屋に行くからな」

「うん、お風呂終わったら連絡するね。それじゃあ」


一通り轟と話した後にその場を離れようとする緑谷の肩を掴んで俺らは引っ張り戻す。緑谷は「な、なに?」っと言うが此処は幼なじみに頼るしかないっと俺らは爆豪達の目の前に緑谷を連れていった。




「…麗日さんとかっちゃんが付き合い始めたの? わぁ!おめでとう!」

「(デクくんっ!?)」

「意外と鈍いよね緑谷って…」

「うんうん、なんかお茶子ちゃんがカワイソウ」



2人の繋いだ手を見ながら呑気に話す緑谷の周りにぱぁっと花が咲いたイメージを抱いた俺らは少しだけ『うっ、可愛い』となってしまうのは仕方ないと思った。


「あ? 迷惑しとんだわこっちも…とっとと、一緒にデートすんぞ麗日」

「嫌ですけど!?」

「あーんとか、風呂とかも一緒入りてぇ…入ろうとすんなよ」

「一人で言ってwww一人で突っ込んどるwww」

「いや、個性になっててもお前ら仲良いしそこでくっつけば良くねぇ?」

「上鳴…お前は黙っとけ…という事で緑谷、なんか知らねぇ?」

「…うーーーん、かっちゃんって特定の人とか作ったことないからなぁ」


唇に指をあてて考え込む幼なじみを見つめながら爆豪はにぎにぎと麗日の手を握ったまんま何かを考えている。 やはり緑谷も知らないのかっと皆が断念しそうな時に尾白と瀬呂がそういえばっと口を開いた



「中学の時のラブレターを大事に取ってるって聞いた!」

「そういえば、言ってたな。俺と瀬呂と上鳴が爆豪の部屋に突撃した時だっけ?」

「…あぁ! あの、ノートに挟まってたやつ? あれだけ大事に取ってたもんな、緑谷なんか心当たりねぇの?」

「うーん、かっちゃんって結構ラブレターもらってたしなぁ…」

「だよなぁ」

「かっちゃんが大事に取ってたって所が意外だったけど…もっとヒントがあれば…」

「おい、今はそんなん関係ねぇだろ!早く麗日とキスさせろや!…いや、させんな!それよりくだんねぇはなしやめろや!」


何が言いたいんだよ爆豪っと半ば呆れ気味で見る俺らにヂィッとめちゃくちゃ舌打ちした後に椅子に座り直した。


「うーんと、緑色のハート型のシールが貼ってあったよ」

「爆豪くんへって書いてあったな」

「貰ったのが中学3年の秋頃って聞いた」

「緑のシール、爆豪くん、中学三年の秋頃……あ、もしかしてあれかな?でも、かっちゃんがソレをとっとく?うーーーーん」



またも考え始めた緑谷に俺は「心当たりあんのか?」っと問いかければ、緑谷は少しだけ沈黙した後に俺らに話し出した。


「それは、多分…間違って取ってるものだと思う。捨てようとしてて挟まってたんじゃないかな? だって、そのラブレター渡したのは男の子だったもん」


その言葉に俺らは絶句して、爆豪を振り向いた。爆豪は俺らを睨みつけた後にふんっと顔を逸らした。 推理は振り出しかぁっと皆でワイワイ言いながらも女子は先に寝に行ったみたいなので俺らも今日は解散しよーっと立ち上がった時だった。


「一緒に寝るよな、お茶子?」

「…いやですけど!?」

「恋人同士なら普通だろうがっ」

「ウチらは普通じゃない恋人どうしやし!」


顔を近づけている爆豪を離れさせると、繋がれた手も離れた後に爆豪はピタッと止まった。まさか無理やりする気か!?っと皆で麗日の唇を守らねぇとっと個性をありったけ使う気だったが、爆豪が足を向けた先は麗日では無かった。 俺らの横を通り過ぎ、スタスタと歩けば視線の先にいた男のシャツを思いっきり引っ張って自分を向かせていた。



「かっちゃんが早く治ればいいよね! そういえば轟くん、寝る前の話だけど…」


「おいっ!くそデク!!!」

「はいっ!?かっちゃん?」

「…ん」

「んん!?」


爆豪は緑谷を呼べば自分を向かせ、胸ぐらをつかみ直してから相手の唇を奪うように噛み付いた。 1分…2分、っと時がすぎる中、舌どうしが絡み合う音と共に緑谷が床に叩きつけられる音がした。



「…な、なんでっ、かっひゃ…」

「お、おい、緑谷無事か!? おい、爆豪なにして…」

「ふん、ざまぁだなクソナード…おい、切島、瀬呂、上鳴行くぞ!」

「え? おい、麗日と寝なくていいのかよ?」

「あ? あんな丸顔と寝るくらいなら、鼻っからキスもしとるわ!俺は好きなやつとしかしねーんだよ」


ちっと舌打ちした爆豪と腰が抜けて床に転がされてる緑谷を交互に見てから、緑谷ごめんなっと俺ら爆豪派閥はその場を去った。





________




「大丈夫か、緑谷…」

「緑谷くん!平気か?」

「デクくんっ」

「ふぁい、らいりょーふれす」

「真っ赤だな…呂律回ってねぇし、部屋連れてくか?」

「爆豪くん!ゆるすまじっ!」

「爆豪くんは後で注意するとして、緑谷くんをまずは運ぼう」



くたりと力抜けてる緑谷を運んだ3人が、目を冷めた後に爆豪の個性を話して、それを聞いた緑谷が凄い笑顔で突撃してきたのはまた別の話しだ。




________



「そういや、中学の時のラブレターって…」

「あ? あれは、ラブレターってか罰ゲームだな」

「罰ゲーム?」

「中身見てみろよ」


部屋に戻った俺らが爆豪に差し出された手紙を見つめた。
中には女子としては少し乱雑な時に大きく「かっちゃんなんか、だいっきらい! でも…大好き!」と書かれていて、男から、なぁっと俺らは拗れた幼なじみの片割れを思い出していた。


「ちなみに、これが罰ゲームん時のデクな…」

「セーラー似合うなー緑谷」

「童顔ならではだな」

「…待て待て、爆豪がなんでこれ持ってんだよ」


その後に見た悪どいあいつの顔が俺らは焼き付けて離れなかった









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