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幼馴染




※勝が誰おまです

※イチャイチャさせたくて出来ました

※個性事故っていう名言は素晴らしいと思ってます



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【塩、時々砂糖ください】







「待たせたな、緑谷」

「デクくぅーーーーんっ」

「待ったかい!? 緑谷くんっ、すまない」

「おはよう緑谷ちゃん、今日は楽しみましょうねっケロォ」

「よォーーーーっし、ガールズハント日和だぜぇい、行くぜ上鳴ぃぃぃぃ」

「おうよ、峰田ぁぁぁぁぁ」

「おっす緑谷!! 今日は楽しもうぜっ」

「誘ってくれてサンキューな緑谷」

「うん、皆で来れるの楽しみにしてたから、今日は沢山楽しもうね」

「…ヂィッ」

「…たのしもう、ね?」



開園したばかりの新しい遊園地とヒーローがコラボ開催の発表をした為に、ヒーロー好きな僕としては是非行かなくてはっと幼馴染から関係が変わり始めていた、こ、恋人のかっちゃんを誘って本日は遊園地に来ました。 やっぱり恋人としましては、しなきゃ行けないことがありましてっと考えながら、かっちゃんを遊園地に誘ってみたところ、返事は即OKだったので嬉々とチケットを購入し、準備していた。
僕にとってのデートとは…まさに、そうこれである。



【出久の恋人定義デートプラン】


1、二人で遊園地に行く

2、手を繋ぐ

3、クレープを半分こする(これ、1番難易度高い!!)



今回は無事かっちゃんと仲が深まった記念にこれを実行するんだっと僕は意気込んで、その日を待ち望んだのだが…これは流石に、ちょっとだけ悲しいなっと思ってしまった。

それはかっちゃんの一言の謝罪からだった。



「わりぃ、口が滑ったわ」

「…えっ」

「緑谷!! 今週の土曜、遊園地行くんだって!?」

「しかも、新しく開園したとこって聞いたぜ」

「あ、う、うん!! ひ、ヒーローとのコラボするからねっ!! 出来れば誰かと行きたくてっ」

「それなら俺らも行っていいか?」

「うむ、爆豪くんと緑谷くんの二人で行くより、貰えるグッズの入手率は上がるんではないだろうか」

「あ、そ、そう、だねっ」

「あら、もしかして緑谷ちゃん、爆豪ちゃんと…」

「え!? な、なに!? それより、土曜日、朝に待ち合わせね!! 開園と共に行って、欲しいグッズゲットしないとだもんっ」

「おい、デ…」

「それじゃあ、予定決めようっ!! アトラクションとかは何があるか分からないけど、グッズはねぇ…」

「デクくん!! ウチ、良いのあてるよ、頑張って」

「ありがとう、麗日さんっ」



かっちゃんが、何かを言いかけていたが、デートのお誘いを失敗した僕は、数人の友人とのお出かけという名目に変わって、遊園地を楽しむことにした。

それが、本日までに至る間であった。
悪いのは口を滑らせたかっちゃんの癖に、かっちゃん自身は機嫌がすこぶる悪かった。 2人の関係を隠したいと言ったのはかっちゃんなんだし、僕は悪くないっと友人たちの参加を優先したし、むしろ褒められていいレベルだろっと横目に舌打ちしている恋人を見つめた。



________




「それじゃあ、皆それぞれ回りたいとこあると思うし、時間決めて行動しようよ、最後はお土産買いたいから、入口前の売店で待ち合わせでいいかなぁ?」

「ケロっ、皆で行動も楽しそうだけど、乗りたいもの全て回ってたらあっという間だものね、賛成よ緑谷ちゃん」

「うんうん、ウチもそれでいーよっ!! 梅雨ちゃん、一緒回ろうよぉ」

「勿論よお茶子ちゃんのお誘い、嬉しいわ」

「よぉっしゃぁぁぁぁ、なら俺はバクゴー!!行こうぜっ」

「なんで俺がテメェと…おい、デク…」

「轟くんと飯田くんはどっち行くの?」

「俺は激しいの好きなわけじゃねぇし…こういう所来たことねぇから端から回りてぇ」

「オレもそうだ!! 遊園地なんて、来たことないからなっ!! 轟くん共に回ろうじゃないか」

「…おう、どんな所かワクワクするよな」

「轟くん、ワクワクしてる表情じゃないよ、それ」



かっちゃんが何か話しかけて来たが、そこは聞こえない振りをして、行動が似ている人達は既に解散してしまっていた。 轟くんと飯田くんに着いて行こうともしたけど、そこはやはり初めての遊園地ということで楽しんで貰いたいから、後で感想を聞こうっと初めてのお使い気分で見送ることにした。
上鳴くんと峰田くんは自由にさせるとなんだかなぁっと僕は瀬呂くんと話し合って、4人で行動することにして、かっちゃんと切島くんとも離れた。あれ?これって切島くんとかっちゃんのデートじゃないか?っと心がモヤモヤしながらも、デートでは無く、友達との遊びだっと言い聞かせながら峰田くんの「おーーーい、みどりやぁ」の声に返事をした。




「なぁ、どれに乗る緑谷…って、大丈夫か?」

「…え? だ、大丈夫だよっ!? なんで、瀬呂くん」

「いんや、お前…なんか、上の空って感じじゃんか…」

「そ、そんなこと…」

「…爆豪と回りたかったんじゃねぇの?」

「えっ…」


ドキッと心臓が跳ねた気がした。 瀬呂くんは元々感が鋭いのか、時折何かを言い当ててくるのが凄いと思っていたが、今はそんなことを感動する余裕は無かった。 気づかれたくなかったこともあるけど、なによりかっちゃんが隠したいことを言うべきではないと僕の心はぐちゃぐちゃだった。
でも、あることに気づいた。かっちゃんと付き合っている事を言わなければいいのではないかと…僕の片想いだからと伝えればきっと瀬呂くんもわかってくれるかもっと顔をあげ、瀬呂くんの服の袖を掴んで見つめた。



「せ、瀬呂くんはどう思う!!」

「へ?」

「お、男が男を好きになるって…」


僕の言葉に瀬呂くんは目を丸くしたけどすぐにぶはっと吹き出して笑った。 何故笑われたの僕っと感じながらも瀬呂くんは笑ったまんま僕の頭をポンポンと優しく撫でてくれた。 あ、なんか撫でられるの気持ちいいっと擦り寄ってしまった所を“カシャッ”とシャッター音と共に上鳴くんと峰田くんに撮影されていた。 僕と瀬呂くんは何撮ってるの!?と言いながらも「思い出ー」と言われれば、僕も欲しいっと携帯を構えた。
この写真が後にかっちゃんと僕の関係を大きく揺るがすことなど知らずに。



________





「バクゴー、あっち行こうぜ」

「行かねぇ」

「つまんねぇな!? 何のために遊園地来たんだよバクゴー」

「テメェと来るためじゃないんだわっ」

「あ、おいっ…待てよバクゴー」


パシッと手首を切島に握られ、俺は「離せや」っと少し低めに告げた。
切島は少し躊躇うも、「いいからあっち行こうぜ」っと俺の手を引っ張り連れていこうとしたその瞬間に、今俺が最高級に苛立っている相手の姿を見つけた。


「おっ、切島ぁー」

「上鳴、峰田、瀬呂、緑谷ー」

「あっ、かっちゃん。切島くん」

「聞いてくれよーバクゴーが何一つ乗ってくんなくてよぉ」

「おぉ、おぉ、可哀想になぁ。んじゃあ、俺や上鳴達が付き合ってあげよ」

「まじかっ!! バクゴーはどうす…」

「俺ァ、座っとく…」


切島の質問を即座に切り殺すと、スタスタと近場の椅子にドカッと腰を下ろした。峰田と上鳴が俺に携帯を見せてきて、その映像に俺は更に苛立ちを募らせ、「おいっ、出久ぅっ!!」と叫んだ。
デクはすぐさま「はいぃっ」と返事しながら駆け寄り、瀬呂はデクになにやら話してから4人で歩き出していた。



「なに、かっちゃん?」

「…なにじゃねぇわ、そこ座れや」

「う、うん」


シツレイシマスっとちょこんと横に座ったデクを横目でみる。 相変わらずのデカい目、丸っこい顔に柔らかそうな頬にチャームポイントのそばかすとか、コイツ…マジで男かよっと思いながら視線を遊園地に戻しながら舌打ちした。
舌打ちが聞こえたのか、デクはびくぅっと肩を震わしつつチラッと俺を見てきやがったから、膝に乗せてる両手を掴んで引っ張り立たせてから俺はデクを連れて歩き出した。



________





「ま、待ってよかっちゃん、どうしたの!?」

「うるせェ、黙って着いてこいや」

「…かっちゃん…?」



いきなり引っ張られ連れてこられたのは出来たばかりの為に綺麗なトイレだった。 一つの個室に押し入れられ、バンッと扉を閉められれば、壁に押さえつけられ唇に噛みつかれるように重なった。 僕は初めてのキスで頭がついていけなくて、ギュッとシャツを握ってかっちゃんのキスを受け入れていた。 うっすら開く唇の隙間からヌルりと入ってきた舌にビクンっと肩を震わせながら、口の中を這い回るその感覚に目尻に溜まっていた涙が落ちた。
気持ちよさと苦しさで息が出来ないっと彼の背中をポンポンと叩いて唇が離れる。 はぁはぁっと息を吐くと、かっちゃんの鋭くつり上がった赤い目が僕を捉え、一度離してからもう一度唇を重ねられた。



「んー、んん、んん、んー」

「はっ、だっせェ…鼻で息しろやばァか」

「…そんなの、知らない…キミは、慣れてるかもしれないけど僕はキミが初めてなのにっ…わっ」



泣き出す僕の手を掴んでかっちゃんは抱きしめてくれる。
その抱きしめてくれる手は優しくリズム良く背中を撫でられると流れていた涙は収まりぽわぽわと心があったかくなってきた。
僕は顔を上げて「かっちゃん?」と泣き顔のまんま名前を呼べば、目の前の彼は耳まで赤い顔で視線を逸らしながら「俺も、初めてだわクソがっ」と悪態を吐いてきた。 その姿は可愛くて、ついクスッと笑ってしまった。



「あ? 何笑っ飛んだゴラッ」

「だ、だって、あのかっちゃんが初めてって、えへへ、嬉しいなぁって…」

「別に…する相手が今まで手にはらんかっただけだわ」

「あのねぇ、キスする相手を手に入らないって物じゃないんだから…」

「あ? テメェはいつまで経っても俺のものだわ…昔からずっとな」

「…っ、はっ!? えっ…ちょ、なに、いきなり…」


ガバッと胸元に手を置いて、距離をとってから真っ赤な顔になってしまった。 今のが聞き間違いじゃ無ければ、彼が今言ったのは…今まで手に入らなかったというのは自分の事なのか!?っと分かればわけが違うだろうと僕はポポポっと赤くなり急いで彼から顔を逸らした。



「待って、待ってよ…そんなのっ、そんなのぉ…」

「あ? 今更なんだっての…こっち向けや、出久」

「ひっ、名前も…デクのまんまで良いって言ってるのにぃ」



バンッと所謂壁ドン体勢で、壁じゃなくて扉だから扉ドン?等と馬鹿な思考をしつつ、近づいてきた相手の顔にドキドキしながら目を閉じ、3回目の口付けを甘受した。 ちゅっ、と軽いリップ音だけを響かす触れるだけの優しい口付けに嬉しくなった僕は、お返しと思いながらちゅっと返す。
そして舌がさしこまれ、更に深い口付けをされ4回目のキスは舌を絡ませられ、時折甘噛みされたり、上顎を舌で刺激されたりと本当に脳が痺れるくらい気持ちのいいキスをお見舞いされることとなった。
は、初めてで4回はちょっと…っと彼の体を離してから呼吸を整えつつ、彼が伝えてくれた思いもあって、僕は覚悟を決めて手を握った。



「あのね、かっちゃん…僕、君と此処にくるの楽しみにしてたんだ」

「…は?」

「二人で遊園地に来て、手を繋いでクレープを半分こする!! その恋人同士の定義…一緒にして欲しい!! その為に今日は計画したんだっ」



真っ直ぐ見つめてきた僕に、かっちゃんは一瞬狼狽えるも、わぁったよっと頭を掻き答えてくれた。
トイレを出た後、かっちゃんはバレたくないと言っていたので手を離すと、「離すなや」っと言われながら恋人繋ぎにされ、アトラクション内を歩き出した。「み、見られるよ」っと呟いた僕に、かっちゃんは「もー、いいわ、隠さんで」と告げられ、僕はどうして?って顔になって目で訴えたら、かっちゃんが前を向いたまんま「視線がうるせェ」なんて理不尽な事を言ってきたので、「酷いや…」っと頬を膨らませながら後を着いて歩いた。
しっかりと握ってくれたその手を離さずに僕とかっちゃんはクレープが売られている屋台に足を向けたのだった………が…




「え、クレープは売られてない!?」

「…」

「で、でもでも、遊園地にクレープって付き物なんじゃっ」

「ごめんなさいねぇ、今はヒーローコラボ開催してるから、料理系や飲み物が主で…デザート系もパンケーキとかならしてるんだけど、クレープは今の人気ヒーローで合う人が居なかったのよ」

「そ、そんな、クレープをヒーローで表せられないなんて…どういうことだ、そもそもオールマイトはパンケーキだし、いや、かき氷になった事もある人だ、飲み物だとオールマイトカラーだ、飲みたいぃぃぃぃ、いや、そうじゃなくて、クレープが表せられ…グラントリノとか黄色いし、あぁっ、たい焼き!! グラントリノのたい焼きってなってる、それもそうか、グラントリノのにはたい焼きが普通か、普通?でも、他にも…あっ、今回は活躍したヒーローの中にチャージズマ居る!! 上鳴くんにも教えてあげないとって、上鳴くんも、クレープじゃないんだ…え、チャージズマ特性ウェーイ炭酸ジュース!? 黄色1色凄いや、上鳴くんらしい…いやいやまてまて、それなら更にクレープの幅なら…例えば麗日さんとみたいな女の子らしさなら…あぁ、ウラビティのお餅御膳!? 可愛いっ、可愛すぎるよ麗日さんっ…て、あれ?僕なんの話しを…あぁ、かっちゃん、見てよかっちゃんのもあるよ、これ…って、あれ?」


「ブツブツ…ブツブツ」

「…あ…」

「うるせェんだよォ!! こんのォ…クソナードがぁぁぁぁぁぁ」

「ひぃぃぃ、ご、ごめんなさいっ!!」

「はぁ、別になんでもいーだろ、半分こにするやつなんざ」

「…え?」



ブチ切れたかっちゃんに素早く謝るも、彼らしくない一言に僕は顔を上げて、視線を合わす。 するとかっちゃんは、少し耳を赤くしながら視線をさ迷わせてから首に手を置きつつ、溜息を吐いてから僕を真っ直ぐ見つめ直して口を開いた。


「これから先もテメェとは出かける予定なんざ沢山あんだ、今日だけが全部じゃねェだろ」

「…それって、その…また、僕とデートしてくれるって、こと?」

「…ヂィッ…」

「ね、ねぇ、かっちゃん、お願い…ききたい、んだ」



ギュッと彼のシャツを引っ張ると、かっちゃんはだぁぁぁっと頭を掻きむしってから、僕の手を引いて顔をよせ、耳元で…



「お前となら…例え死んだ後に地獄で食うクレープでも味わってやらんこともない」



と、話してくれた。かっちゃんからしたら譲歩してくれたお誘いだった事だろうっと僕は笑顔で彼の腕にしがみついた。



「大好き、かっちゃん!!」

「…っそんなん…知っとるわ」


前髪を退かされ、ちゅっと額に口付けをされ、僕はデコを抑えながら真っ赤になりつつ、にへらっと笑った。

暫くしてから待ち合わせ場所に集まると、皆がヒーローコラボしたクレープを持ってたのでどこで買ったのか聞くと、入口の売店のみで販売してたと聞いて、かっちゃんも僕も苦笑いしながら皆が買ってくれていたクレープを受け取って歩き出した。
皆が前を進む中、クレープをあむっと食べた後に、ぐいっと肩を引かれ後ろを向けば、僕の手の中にあるクレープにガブッとかぶりついた後に、口元に付いていたのだろう舌でぺろっと唇付近を舐められてから、離れて「半分こ、だろ?」と楽しそうに笑って歩いていったかっちゃんに僕は叫ぶしか無かった。
本当に僕の恋人は…なんて意地悪でかっこよくて、素敵なんだっとその背中にピョンッと飛びついた。









END




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