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今宵、貴方の大切な…



※警察勝×怪盗出

※出の協力者が勝己両親+出ママ+オルマイ+グラントリ等


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【お縄に付けやクソ怪盗!】



サイレンが鳴り響く中、緑色のジャンプスーツを身にまとい、兎の様なフードを被った青年が屋根を伝いながら走っている。
その人影を追うパトカーの列は今や日常茶飯事と言われるほど、追いかけっこが行われていた。


「おいっ、今日こそはお縄に付けやクソ怪盗がっ!! ぶっ潰す!!」

「そんな言われて止まれるはずないでしょっと…」


黒い縄みたいなものを民家に貼り付けてはぴょんぴょん飛ぶ姿が兎みたいで腹ただしいっと警察で結構上の地位にいる“爆豪勝己”はパトカーから降りて拳を握り、片方の指で円を作って先の相手に向けた。【APショット】っと叫び一直線に相手を目掛けて爆破の線が向かう。
相手は見慣れた様子で避けていき、勝己が民家を狙えないのをいい事に路地裏やら民家を使って逃げていくのが通常だった。



「よいしょっと、ごめんね爆豪警視庁、今回も頂いて行くよ」

「おいっ!! 待ちやがれ兎野郎!!」

「待てって言われて待つ泥棒なんて居ないでしょ〜!! じゃあねっ」


ぴょんっとビルの屋上から飛び降り、流石の勝己も反対側に逃げられれば変装されて探し出せなくなるっと急いで回り込むも、ソコには既に人影は無く、シーンっと静まり返っていた。
今日もまた逃げられたっとイライラを募らせる勝己は傍にあった壁をBOMと軽く爆破し「クッソ」と吐き捨てた。
本日も警察の負けだっと新聞に記載されなきゃならんのかっと更に苛立ちが高まる日になった。





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「よいしょっと…」

「お疲れ様、緑谷少年」

「お疲れさま〜出久くん、今回も凄かったわね」

「勝己くんには申し訳ないけど、感謝しているよ」

「出久〜無事で良かったわ〜」

「オールマイト、お母さん、光己さん、勝さん…お疲れ様です」



屋上から飛び降りつつ、開いていた窓に黒鞭で中に入って急いで静かに窓を閉めた。 入ってきた相手を確認してからフードを脱ぐと、そこにはモサモサの緑の頭に丸っこい目、頬には特徴的なそばかすが散らばった顔が姿を表した。 警視庁上司の方に位置する“爆豪勝己”の幼馴染である“緑谷出久”は今や世間を騒がす『怪盗129』の正体でもあった。

個性が蔓延るこの世界で緑谷出久は無個性という、最底辺の地位に産まれた少年だった。 そんな出久の幼馴染は素晴らしい個性を持ち、地位でも上の方である高額納税者の内にも入れる『公務員』に位置する程の実力者であった。 それのせいか幼馴染である勝己は何事にも無個性という名の出久を比べ、馬鹿にする【水を下水で煮込んだような性格】と言われるほど最低な性格として育ってしまった。
才能マンであるが故にエベレストのように高いプライドを持ち、何事にも完璧を目指す彼は成長し警察署に勤務になった時に更に力を蓄え地位を固めて行き、上位に上り詰めた。
そんな上位にいる勝己と底辺の底にいた無個性の出久は典型的な亀裂ある幼馴染として育ってきたようなものだった。 だが、無個性だろうが母親である引子、勝己の両親である光己と勝はいつも勝己と対等に扱ってくれていた優しき人達で、出久は性格が歪む事無く、すくすくと優しい少年へと育つことが出来たのだ。

そして、そんな出久の人生を変えてくれたのが遥か昔に周りを騒がせた『怪盗ALL』という名の泥棒だった。 彼は本名はオールマイトと名乗り、出久を代々受け継がれてきたオール・フォー・ワンを9番目に受け継ぐ次の怪盗として指名してくれたのだ。 それからというもの、人々の笑顔の為に出久は『怪盗129』として任務をこなしてきたのだ。



「今回の依頼人さんへこれを…」

「助かったわ、ありがとう出久くん、騙されたって悲しんでいたのよ」

「これで、彼女もきっと喜ぶよ」

「今日もお疲れ様、出久」

「それじゃあ緑谷少年、人が集まってくる前に着替えて此処を出よう」

「はい、オールマイト」



こなした依頼を確認し、奪ってきた『大切な物』を今回の任務を受けてきた光己さんに渡し、ジャンプスーツを着替えてから背中にリュックを背負い、その民家を後にした。 この部屋は名前だけ借りている出久の部屋のひとつであり、逃げ道とかに使っていた。 1度は警察の取り調べが入っていたが、その時は協力者である“グラン・トリノ”という人物が住んでいるというカモフラージュをしてくれた。 出久にはそういう協力者が何人も存在していた。
そのお陰で、今まで警察である勝己のお縄に掛かった事が無いのが唯一の救いであった。

『怪盗129』の大体の依頼は光己さん、勝さん、お母さん、オールマイト、グラン・トリノ、死柄木弔等から入ってこなしていく。
普通の泥棒と違うところは『困っている人の為に盗む』がモットーであるという事だ。 この世界は穢れている、人を騙し騙された人達から色んな物を奪っていく【敵-ヴィラン-】という名の心が悪いもので汚された奴らが蔓延っていた。 その敵が奪っていった大事な物を奪い返すのが『怪盗』と名乗る出久達が盗んでいた物だった。 だが、やはり人間とは難しい生き物で頭では悪いこといい事を理解しているのに、納得してはいけないと心がせめぎあい、例え『盗まれたものを持ち主に返している』としたとしても、『悪は悪』なのだと捉えられてしまう。それが今回の幼馴染と出久の攻防戦の始まりだったのだ。



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【時は遡り】



それは数ヶ月前の出来事だった。 『怪盗ALL』が姿を消してから数年。
世間を騒がせていた怪盗も居なくなり、静かな世界が続いていたそんな世界に再び【ヴィラン】という名の敵が襲い掛かった。
それは勝己が警察署に務め始めた時期で、敵逮捕で上の地位に伸し上がるより前の出来事であり、出久が無個性の時だ。
無個性の出久は頭の出来は良かったが無個性の為に就職も決まらずアルバイトを転々としていた。 もちろん勝己はそんな出久に対して非道にも冷たく「来世は、個性が宿ると信じて屋上からのワンチャンダイブ」等と言い放ち、出久自身を苦しめていた元凶の1人であり、その言葉にショックを受けた出久は本当に飛び降りようかと考えていた時だった。
バイト先であったビルの屋上から高さのある下を眺めていた時、どこからともなく「わーたーしーがーキターーーー」の声と共に出久の前に1人の怪盗が現れたのだ、それが『怪盗ALL』との出会いだった。

怪盗ALLは笑顔で出久の前に跪き、優しく肩を掴むと「君が盗まれた笑顔をワタシが取り返して上げよう」と笑ってくれた。 その時に出久自身がすでに生きる活力を失いかけ、瞳に宿る光さえ無かったはずが、みるみると生きる活力を貰えた言葉だった。 最近は“無個性”という言葉に囚われ、罵られ、虐められ、就職さえ出来ず、笑顔さえも忘れてしまった出久にはとても心に染みる言葉だった。ニカッと歯をキラリと輝かせた彼の姿に久しぶりに出久は瞳に光が宿った気がした。 その時に、既に危ういと言われ後継者を探していた『怪盗ALL』の仕事内容を聞いて、出久は感銘を受け次は自分がなりますっと出久は名を挙げた。 オールマイトは元からそのことを決めていたらしく、出久に残り火であった個性を受け継がせ、怪盗のノウハウを教えこませ、2人は師弟関係という絆を持ちながらこの世に新たな“怪盗”を生み出した。それが、今や才能マンでありながら手をこまねいている“爆豪勝己”の幼馴染であり無個性の“緑谷出久”だとは誰も思っていないだろう。
最初は幼馴染を見返すためだけの怪盗だった、上手くいけば幼馴染に一泡吹かせてやれるかもっと軽い気持ちだったのだ。
だが、いざやってみると必死で追いかけてくる勝己の姿がなんとも嬉しくて出久はたまに任務を忘れて勝己“で”遊ぶという楽しさを覚えてしまったのだ。 幼い頃から出久をバカにしてきた幼馴染が“無個性”だと思っていた出久を追いかけ回すのに必死をこいていると思えば、少し嬉しさと優越感と勝利感が胸の中を駆け巡った。
だが、流石に息子さんをおちょくっているのが元々は幼馴染の自分だなんて申し訳なさが勝った出久はオールマイトに許可を取り『本当に信頼できる人』達には正直に話し、協力を試みる事にした。
最初はもちろん自分の母親である引子、そして幼馴染の親である光己と勝の3人。 最初は目を丸くしていたが、理由を聞いて納得すれば、3人とも笑顔で協力と勝己への内緒事を承諾してくれた。
そして、オールマイトの師匠であるグラン・トリノという名のお爺さんとオールマイトの相棒である、サー・ナイトアイ。
そして、無個性である出久にも優しく心を許してくれた高校からの友人である麗日お茶子、轟焦凍、飯田天哉、峰田実、蛙吹梅雨も協力者であった。
轟焦凍に至っては親であるエンデヴァーが警察署の偉い人で、勝己側の人間であった為に、断られるかと思ったがそれは杞憂に終わった。
親を毛嫌いしている焦凍にはとてつもなくいい提案だったそうだ。
出久はそんな優しい周囲に囲まれて、この現在まで『怪盗129』として名を馳せる事が出来たのだった。

最初の怪盗はもちろんオールマイトの予言通り「出久が盗まれた笑顔」だった。 訓練を積み、身体も作られた最初の予告状で“今宵、貴方の瞳を奪いに行きます”と書いた紙を勝己のロッカーに挟んで置いたのだ。
勝己は最初はもちろんイタズラかと思っていたが、出久は怪盗用のジャンプスーツを身にまとい、フードを被りながら彼の前へ姿を現した。
その瞬間、口元の甲装を外して勝己の唇へ出久自身の唇を重ねたのだ。
出久の予告した予告状通り、ファーストキスを奪われ、その姿に瞳を奪われた勝己は苛立ちと嫌悪感でジャンプスーツで飛び交う出久に向けて爆破を盛大に起こしたが、出久とてこの日まで鍛えてきたのだっと華麗に避け、勝己をおちょくってはその場を逃げ出した。 出久はジャンプスーツを着替え終わり、茂みのなかで口元を撫でて幸せそうに笑ったのが、今回の事件の幕開けだったのだ。






そして、現在、今に至るのだった。





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【現在の2人】





「…お疲れ様、かっちゃん」

「はぁ、マジでなんなんだよあのクソ怪盗めっ、次はぶっ殺す」

「…物騒…殺すのはやめた方が」

「比喩だろーが、マジで殺せるわけねぇだろ、俺は警察だぞ」

「うん、そうだけど…キミならやりかねなっ、いた、痛いギブギブっ」

「次、なんか言ったら犯す」

「…っ」

「赤くなっとんなっ!! テメェは彼氏のファーストキス奪われとんだぞ」

「それは、そうだけど…その怪盗のおかげで、そのぉ、かっちゃんと思い通じ合えたし…ね?」



疲れきった顔で帰宅した勝己は、入った早々にエプロン姿で食卓にご飯を並べる相手を視界に捉えると、無意識に笑みが零れる。
子供の頃からいじめ抜き、自分には敵わないと根っこから染め上げ自分には逆らえないと思わせ、自分の懐にいれた勝己は、その姿が今は自分の隣にあると言う事実に感激している日々を過ごしていた。
幼い頃から共にいる“緑谷出久”という名の少年はいわゆる個性環境が普通のこの世界には珍しい、最底辺の『無個性』の持ち主だ。 勝己にとってそれは凄く喜ばしい事であった、幼馴染という互いにどんな力を持つのかっと楽しみにしていた相手がむしろ『無個性』で最底辺の地位なのだからと優越感と共に独占欲が強く出た年頃だった。 勝己は幼馴染の出久が大好きだった。守ってやりたくて、自分の隣から動かせたくは無く、誰かに渡すなどもっての外だった対象だ。 高額納税者になった暁には彼をパートナーとして迎え入れ、この先の未来を囲い自分だけの檻に閉じ込めるつもりだった勝己の愛情は歪みに歪みきっていた。
だが、その歪みを壊す出来事が、最近起こった『怪盗騒動』だったのだ。
勝己の初めては全て出久のものだと決めていた。 初手繋ぎから始まり、初ギュー、初キス、初遊び等全てを勝己とさせると決めていたのに、ぽっと現れたどこぞの意味のわからん緑ウサギに唇を掠め取られたのだ。
その日のロッカーに貼られていた予告状を遊びだと勘違いしたのが悪かった。 クッソあほ面とクソ髪の「おっ、昔話題の怪盗じゃん」「すげぇ、生の予告状初めてみたわ〜」等と言いながら着替えて3人で警察署を出た。
その瞬間に目の前に現れた緑のジャンプスーツを着た青年?にいきなりの事で3人とも動きが止まってしまった。 その瞬間口元に着いていた甲装を外したソイツはニコッと口元を緩ませ、固まっていた勝己の唇を奪って逃走したのだった。 怒りで『瞳を奪いに行きます』の意味を忘れたまんまソイツを追いかけたが、既に近くには姿を確認できず、置きっぱなしだった鞄を取りに警察署前に戻れば、共に居た“上鳴電気”と“切島鋭児郎”が苦笑い含めながら「予告状通りになっちまったな」と眉を下げつつその予告状を勝己に見せてきたのだった。



「あー、腹立つ!!」

「落ち着いてかっちゃん、でもその人…巷では悪い怪盗ではないんでしょ?」

「泥棒に良いも悪いもあっかよ!! こちとら、大事なファーストキス奪われとんだ」

「そ、それは…えと、僕も既にないからお相子じゃないかな?」


ぽそっと呟かれた出久の言葉に勝己はギロッと視線を向けた。今、出久はなんと言った? 既にない? その柔らかそうなぷるぷるした唇は既に誰かに奪われたというのかっと目を吊り上げ、出久の肩を掴んで片方の手で頬を挟み込み唇を尖らせると唇を重ねた。 無理やりに近いその行為だったが、2人は付き合っているのだから良いのだっと決めつけ、柔らかい出久の唇を堪能するのだった。 出久は急な出来事に少し反応が遅れるも、勝己の弾力のある唇にうっとりと目元を伏せ、その唇を甘受し、勝己の背中に手を置いて口付けを楽しんだ。
あの日、ファーストキスを奪われた勝己は『怪盗129』の名を聞く度に奔走し、翻弄される日々を送るも、疲れながら実家に帰った時に幼馴染である出久が駆け寄り「おかえりかっちゃん、大丈夫?」と顔を覗き込んできたその姿に「おい、結婚するぞ」と告げていた。 両親は既に乗り気だったが、付き合いも吹っ飛ばして結婚はっと渋った出久に「なら、同棲から始めんぞ」と決めて、今の関係に至った。それを出久は【勝己ファーストキス事件】と名付けて、数週間後の出来事だった。

それからお付き合いを始め、同棲を始め数週間という日を過ごすが、未だに捕まえられないと嘆き苛立ちを増す相手を出久は「本人が隣にいます」とは言えずに勝己との暮らしを楽しんでいた。
もちろん身体の繋がりは流石に2人とも互いが初めてであり、デートも食事も初めては互いで済ませていた。 それなのに、出久は心が晴れない日が続いた。 理由は勝己と自分自身にあるのは分かっていた。 勝己は出久を愛してくれている、もちろん伝わっているのだ。でも、出久は怖かった。いずれ『怪盗129』に心を奪われてしまうのでは無いかと。 怪盗は出久自身だが、相手はそれを知らない。 そんな中、勝己は時には帰る暇や休暇を返上してでも現場に繰り出しては『怪盗129』を捕まえようとしていた。
一度、いつでも逃げれるからもタカをくくっていた為に、勝己に捕まれ逮捕寸前に陥った。結果としては逃げられたのだが、その捕まった瞬間に勝己は出久の口元の甲装を外し唇を重ねてきたのだ。 それは出久にとっては衝撃だった、彼氏であり恋人である出久が居るのに、彼は迷いなく怪盗の甲装を退かせ唇を重ね貪った。その事実が出久の心をギシギシと傷つけてきたのだ。


そんなとある日の事だった…出久の心は打ち砕かれる寸前の所まで追い込まれてしまう出来事が襲ったのだった。




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【絡み合う夜】




それはいつもの予告状通りに仕事をした後だった。
本日の獲物は依頼人に譲渡し、無事に仕事を終え森の中に降りたってジャンプスーツを脱ごうとしていた時だ。
ガサッと茂みが動いたことに気づいた出久は急いでパチッと緑の光を纏って逃げようとするが、その姿を視界に捉えれば逃げるのを止めていた。
目の前には愛する勝己の姿が有り、勝己はうっすらと頬を染めふらふらとしていた。 そういえば今回は極秘任務で、彼には伝えていない依頼だったなぁと考えてから勝己の予定を思い出す。 確かホワイトボードには「仕事終わり、飲み会!! 」と書きなぐっていたいたなぁと思い出し足取り不安な勝己に駆け寄りそっと抱きとめた。 その瞬間に顔を上げた勝己と視線がかち合い、互いに見つめ合うと、ジャンプスーツを脱ごうとしていた瞬間だった為、口元にはいつもの邪魔するものが無かったこともあり勝己と出久は自然と唇を重ね合っていた。 出久はいつもの癖で受け入れてしまったが、我に帰ればこれは勝己と怪盗である129との浮気ではないのか?っと思考が乱れてくる。
だが、勝己はそれを止めることも無く舌を差し込み、唇の隙間から出久の舌を絡め取り口の中を懐柔するように動かしてきた。
勝己のキスは比べたことがないが上手いと思う。舌を絡ませ表面同士を擦り合わせ、時折強弱をつけながら舌を甘噛みしたり刺激を与えてくる。 何度、このキスに腰砕けさせられたことかっと睨みつけながらも勝己はうっすらと笑みを零し、外だというのにジャンプスーツを着た出久を組み敷いた。
これは流石に不味いっと出久は抵抗するも、酔った勝己の力は強くお酒の匂いのする口で唇を塞がれ、口内を犯されながら体をまさぐる手がピッタリとしたスーツから浮き上がる乳首を認識し、キュッと摘ままれてしまった。


「…あっ」


と少し声が漏れると、勝己は気を良くしたのかスーツ越しに少し尖った乳首を口に含んで舐め始める。 スーツの上からでも分かるほどピンッと尖ったそこは散々勝己に弄られ性感帯に変わってしまった事もあり、舐められれば出久も我慢など出来なかった。


「はっ、あっ…んん、舐めたらやぁ」

「…んっ、ちゅっ、尖ってんのにか?」


チュパッと音を立てながら乳首を舐められ、片方は指でキュムッと摘まれていた出久はスーツ越しの攻めに耐えられず勝己の頭を抱き抱え乳首を押さえつけるようにしてしまう。 勝己は酔いが覚めないのか、出久の突起を弄りながら赤子のようにぺろぺろと舐め、ジャンプスーツに手をかけ白い肌を晒していく。 その行動に流石の出久も「だ、だめっ」と告げるも、酔った男は気にせず出久のその姿に鼻息を荒くし現れた肌にある色付いた乳首に顔をよせ、先程までスーツ越しだったそこを口に含んで舌先で嬲りながらいじってきた。 ビクビクっと身体を震わし乳首を這う快感に出久は気持ちよさで抵抗を諦めながら、乳首を嬲る彼の頭を優しく撫でた。
勝己は唇を離すと、肌を何度も舐め吸い付いて赤い痕を残していく。出久は思考が纏まらずにその行為を黙っていたが、勝己の「いずく…」という呼び名に反応し、力を込めて彼を引き剥がしたのだ。 流石の勝己もいきなりの引き剥がしに我に返ったのか、視線をジャンプスーツの出久に向け青ざめていた。 出久は脱げてないフードをそのまんまにジャンプスーツを着用し直し急いで森林から飛んで行った。

急いで帰宅した出久はジャンプスーツをバレないように実家で洗濯を頼み、勝己との家に帰ってはシャワーを頭から勢いよく被った。 勝己は酔いながら別の男を自分だと思い抱こうとしたという事実と、例え自分であったとしても他のやつを酔った勢いで組み敷かれた事に涙が零れた。
出久には残したことの無い真っ赤な花弁のような血痕が勝己から『怪盗』である129に付けられた証だと主張しているように感じた。


数時間後に酔いが覚めた勝己が帰宅し、迎え入れた出久の首筋に残った赤い痕に勝己は眉を顰め、苦い顔をしていた。












後編に続く予定
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