拍手置場
※カゲ/プロ『ロスタイムメモリー』を軸に書いてます
※内容的に暗いです、でもハピエンっぽく目指しました
※勝デクです
※他の拍手文と同じであくまでも軸としてお借りしています。 全てを写して居ないので、捉え方が上手くいってない時があります。
※折寺からの雄英です
拍手をくれた方々に感謝の気持ちを込めて
________
【ロスタイムメモリー】
アイツが居なくなって何年経ったんだろう…思い出す度に吐き気と目眩が襲ってくる、こんな感情になるなら、なんで俺はあんな事をアイツに言ったんだろうか。 あれはいつの事だったっけっと病室の上で俺は目を閉じ直した。
「かっちゃん…」
数年たっても、何年経ってもアイツは俺の中から消えることはない。
心の中で影が何度もチラついて、感情だけが募っていつも心臓がいてぇんだよ。 なんで、どうしてだよ…なんで、お前は…
蹲って泣き叫ぶ俺に、お前の声が聞こえたきがした。
あぁ、全部…あの時の俺のせいなんだよな…
________
「かっちゃん!!」
炎天夏の夏の日に、お前は怯えながらも俺を呼んだ。
いつもの帰り道の坂の上で、大きな鞄を背負ったお前は俺に追いついて名前を呼ぶ。 俺は暑いっと思いながら坂を登って着いてきたソイツの為に一度足を止めて、2人で歩き出す。
そのひの真夏の暑さは…俺の目にその温度を残した気がした日だった。
「ねぇ、かっちゃん…この間の体育の時の怪我大丈夫だった?」
「…あ?」
「君は強いから、言わないかもしれないけど…僕、心配だったから…だからさ、その…大丈夫?」
ドクッと胸が鳴ったきがした。 またコイツはガキの頃のように俺を苛立たせてんのかっと睨みつける。 ソイツは少し怯えながらも俺の手を掴んでもう一度「大丈夫?」と顔を覗き込む。やめてくれ、俺に触んな…俺の心に入ってくんじゃねーよっと心を暗いモヤが支配していく。
「俺に構ってんじゃねーよ!テメェの情けなんざ、要らねぇんだよ!どっか行けや! あぁ、行くって言うんなら…アレはどうだ? この間も言ってやったよなぁ?」
止めろ、言うな…その先を言うなっと俺は感じながらも手を伸ばし直す相手を見つめてからニヤッと口元を上げ言葉を投げかけた。
「…来世は、個性が宿ると信じて屋上からのワンチャンダイブ…丁度、逝く場所がわかるんじゃねぇの? 無個性のお前にはお似合いだろ」
伸ばしてきたソイツの手を払って、俺はまた歩き出した。 すると、俺の言葉に傷ついてるはずなのに、コイツはめげずに俺の制服の裾を掴む。
そして、泣きそうな顔で俺を見つめながら「い、行かないよ!!」っと反論してきやがった。俺はその言葉と態度にもう一度手を払ってから「うるせぇ!俺に着いてくんじゃねーよっ!!」そう告げてから俺は、ソイツの先をスタスタと歩き出した。1度も振り向かずに…言葉をかけてきたアイツに…本当の俺の…
『…気持ちは…?』
________
はっと目を覚ます。気だるい身体を起こしながら、寮のベットで目が覚めた。 昨日まで、病院にっと記憶を辿りながら額を抑え手のひらを見つめた。
前から色んなやつに俺がなんでもできて、才能があり【聡明】と言われても…俺はあの日から前を向けないままでいた。
このまんまじゃ俺はあの日のあれからずっと動けねぇまんまだ…どうせ、動けなくて、苦しくて腐っていくだけなら…どうか、どうか、あの日まで時が…
「巻き戻ってくれりゃ、いいのに…」
そう告げてからカレンダーの数字を見つめる。
死のうかなんて、逃げようなんて…毎度思っても出来ない俺をお前はどう思ってんだろうなっと視線を向けた先で、机に飾られた写真の中のそいつは笑う。 何年経っても、俺は死ねねぇ…死んだら行けねぇっと心が叫ぶから…なんて、希望論だけを叩きつけてのうのうと生きながらえている。
どんだけ叫んで足掻いても、俺の隣に…「お前は居ないのにな…」と部屋の中にポツリと言葉が零れた。
あの時、お前が俺を叱りつけて言い返せば良かったのに…と何度も何度も手首を握っては爪を食い込ませる。 アイツの手の感触を思い出す度に苦しくなる。 アイツが握った時に「僕に死ねって言うなら君も死んでよ、かっちゃん」なんて言ってくれてれば、少しでも言い返してくれてれば…俺はその言葉を呪いの言葉として受け取って、自分を呪えたのにっと頭を抱える。
それなのにお前が何も言わないから、俺はのうのうと世界を生きて何も出来ないまんま人生を貪って生きているのだ。
ベットに横になりつつ、もう一度目を閉じてから、馬鹿みたいに願いを口に出してしまう。誰も居ないその部屋で、俺は…
「なぁ、この真夏の暑さが夢を見せてくれんならよ…たのむ、頼むから…アイツが消えちまう前に、戻してくれよ…っ」
横になりながら目尻から少しだけ涙が伝っていく。
あん時お前に心配されたことを、俺がお前に適わねぇってデケェって思っちまった俺を隠したかったからあんな事言ってしまった…そんな、俺を流れ行く日常が空気を照らして、あの日の俺を脳裏に焼き付けていくんだ。
もう一度起き上がって俺は部屋を出ていって、ひとつの場所を目指して歩いていく。 きっと俺は、16になっても何歳になってもどこかで信じていたんだ、信じていたかったんだっと足を進める。 風が吹いた瞬間に一瞬だけ…カゲボウシが滲む姿を思い出して。
俺が歩いてついた先は校舎がある。 俺が卒業した中学で、アイツが卒業出来なかった中学だ。 炎天下の中にあるくせに、とても澄んでいたその校舎に俺は足を踏み入れる。 その瞬間に…怯えていたくせに俺に近寄っていつも笑って「遊ぼうよ!かっちゃん!」と言ったアイツの姿がユラユラ揺れた気がした。
________
「おい、大丈夫か? 顔色悪いぜ?」
「ほっとけよ、てめぇにゃ関係ねーわ」
心配そうな顔をして話しを掛けてくる隣人のクラスメートにも冷たく返す。 どうせテメェらにゃわかんねーんだよ、何も知らねーんだから、悲しそうなフリを見せてんじゃねぇよ、クソうぜぇ。
俺は寮へ帰ってまた部屋に戻るとベットに横になる。
ダリィ、面倒だなっと意識が朦朧とした時にあの日のことを考える。いつも通り、アイツが居なくなってしまったあの日を思い出して過ごそう、例え不自然な俺だとしても、アイツの温度が無くならねぇように…
アイツが死んでないんだとか、生きてるんだとか…叶わない夢を願うくらいならいっそ、アイツがいた頃の掠れた過去を思い出して抱きしめてやろう。
覚めない夢を見て、自分だけの世界に閉じこもってやろうと誓う。
「それじゃあ、明日も見えないままだよ?」
目を閉じた俺に、顔の見えないソイツが語ってくる。
うるせぇ、それならそれでいいんだ…あいつの居ないこの世界をのうのうと馬鹿みたいに1人生き続ける位なら、つまらないこんな日々を過ごすくれぇなら…っと、脳に語りかけてきた見えないソイツの顔を振り払うように身体を起こして、桜の中笑う中学の制服を着た、ソイツの写真を指でなぞる。
お前が居ないくだらない毎日を繰り返すだけなら…そんな日々を殺す様に手を染めて『お前だけ』を選ぶから。
『爆豪 勝己 16歳』
幼稚園、小学校、高校と通い、ある出来事から人生が腐りきってしまったと思っていた。 どんな時もどんな場所にいても、毎日、その腐った世界と自分に信じてもいない神に祈った。 昔に振り向いた『彼』の色めいた笑顔にずっとしがみつくように、『会いたい』と何度も何度もその世界で願った。
「オレも、俺を連れてってくれよ…いっそ、俺も…テメェの居ない世界なんざ…生きれねぇ」
炎天下の中、俺はもう一度項垂れたベットの上で、ヒュっと少しだけ息を止め一人でそう呟いた。
________
なんだ? 身体が重い…何も、動かせねぇ…此処は、何処だ…
目だけを開いてその世界に意識が入ると心臓が鳴った…
なんで、なんでだよ…此処は…
『あの日』に2人で登った坂道に立っている、その事実だけで心音が増す気がする。
今更、なんで? もう、戻れないあんな日なら見せなくていいのに…出てこなくていいのに…もう、もう誰も…
「俺に、俺の心に触らないでくれよ…」
「…ねぇ、__ちゃん」
『あの日』の重苦しい世界の中で、誰かの声が聞こえた。耳を抑え、周りを遮断した俺の手を捉え、もう一度その世界でハッキリと声が聞こえる。
「かっちゃん、聞こえる? 僕の声、覚えてる?」
その声と姿にずっとモヤがかかっていた気持ち悪いそれが晴れていくきがした。 『俺、死ねたのか?お前の傍に行けたか?』などと口を開こうとするが、その言葉はソイツの重ねられた唇に飲み込まれた。
こいつの声が聞こえた理由がわかった気がした…俺は、認められなかったんだ、まだ傍に居たかったんだ、『大好きな木偶の坊の傍に…』っと消えそうなそいつに俺は必死で手を伸ばした。 そこはやはり暑いあの日の真夏のまんまだった。
手を伸ばした瞬間にもう一度放り出された世界にはソイツがまた居た。
あの時初めてアイツに俺がワンチャンダイブを伝えたあの日の光景だ。
俺が、戻りたくて会いたかったソイツがただ、ブツブツと椅子に座りひたすらノートとにらめっこしていた。 そんなソイツの姿をいつも遠くから眺める「俺」のあの頃に、俺は立っていた。
そんな他人事のように見えるその位置からは、俺と話す時に怯えながらも俺を認識する度に夏のように笑うお前の笑顔が、変わらなくて…涙が頬を濡らす。
黒焦げのノートを抱きしめながらお前は俺の傍にきて、昔のあの日の様に笑う。
「あのね、かっちゃん…僕ね…」
言うな、言わないでくれ、その顔で声で…俺の好きなその笑顔で…
「死んじゃった…へへ、ごめんね」
なんて、そんなこと聞きたくなかった…、それなのにお前はトドメをさすように言葉を続ける。
「…君が、もう苦しむ必要ないんだ…だから、ね?」
やめてくれ、俺は、俺はその先を…聞きたく…
「『サヨウナラ』しよう?」
胸を抑えてその笑顔を見た俺は伸ばした手をうっすら消えていく意識の中、そいつに手を伸ばした。 精一杯の感情を込めて…
「んな事言うなよ、んな寂しいこと言うんじゃねぇよ…なぁ、なぁ、くそなーーーーど…いくなよ、いくんじゃねぇぇぇぇよぉぉぉぉぉ」
その世界で崩れ落ちたそんな俺を、アイツを象ったかのように見えたカゲボウシが見つめていたきがした。
________
ある夏の日、病院の一室にて昏睡状態だった高校生の意識が戻ったという連絡が生徒たちに入る。
その報告に涙を流すもの、喜ぶもの、会いたいと告げるもの様々だった。
だが、高校生は目が覚めてから呼んだその名前に会いたいと呟いた事から、急遽、その名前を呼ばれた少年を病院に連れてきたのだ。
白い扉を開いて、眠り続けている間に包帯が少しずつ取れた彼の身体を見た僕は、急いで駆け寄り彼に抱きついた。
彼は僕をぎゅっと抱きしめて、まだ起きたばかりで動かすのも辛い身体を使いながらしっかりと体温を送ってくれる。
「なぁ、…俺、お前にずっとさ言いたいことあったんだ、あのな…」
僕を少しだけ離してから、彼は怪我だらけだったその身体の手を僕の頬に添えて、目尻に浮かんだ僕の涙を指で掬ってから苦笑いする。
「ワンチャンダイブ 、飛び降りないで居てくれてありがとうな…出久、辛い気持ちにさせたのに、俺の後ろ、ずっと、ずっと離れないでいてくれて、サンキューな」
目を覚めた彼は僕にそう告げてから抱きしめてくれる。
その言葉に涙腺が崩壊した僕は、「当たり前だよ、一生離れてやんないからね! こんなこと、もう本当にやだよ、君が死ぬ時は、僕が隣に居たいんだ」っと泣きじゃくる僕に触れるだけの口付けをくれた。
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【爆豪勝己 18歳】【爆豪出久 18歳】
この度、入籍しましたっと卒業後の出久の誕生日から1ヶ月後に世界を賑わすニュースとなった。
END
※内容的に暗いです、でもハピエンっぽく目指しました
※勝デクです
※他の拍手文と同じであくまでも軸としてお借りしています。 全てを写して居ないので、捉え方が上手くいってない時があります。
※折寺からの雄英です
拍手をくれた方々に感謝の気持ちを込めて
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【ロスタイムメモリー】
アイツが居なくなって何年経ったんだろう…思い出す度に吐き気と目眩が襲ってくる、こんな感情になるなら、なんで俺はあんな事をアイツに言ったんだろうか。 あれはいつの事だったっけっと病室の上で俺は目を閉じ直した。
「かっちゃん…」
数年たっても、何年経ってもアイツは俺の中から消えることはない。
心の中で影が何度もチラついて、感情だけが募っていつも心臓がいてぇんだよ。 なんで、どうしてだよ…なんで、お前は…
蹲って泣き叫ぶ俺に、お前の声が聞こえたきがした。
あぁ、全部…あの時の俺のせいなんだよな…
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「かっちゃん!!」
炎天夏の夏の日に、お前は怯えながらも俺を呼んだ。
いつもの帰り道の坂の上で、大きな鞄を背負ったお前は俺に追いついて名前を呼ぶ。 俺は暑いっと思いながら坂を登って着いてきたソイツの為に一度足を止めて、2人で歩き出す。
そのひの真夏の暑さは…俺の目にその温度を残した気がした日だった。
「ねぇ、かっちゃん…この間の体育の時の怪我大丈夫だった?」
「…あ?」
「君は強いから、言わないかもしれないけど…僕、心配だったから…だからさ、その…大丈夫?」
ドクッと胸が鳴ったきがした。 またコイツはガキの頃のように俺を苛立たせてんのかっと睨みつける。 ソイツは少し怯えながらも俺の手を掴んでもう一度「大丈夫?」と顔を覗き込む。やめてくれ、俺に触んな…俺の心に入ってくんじゃねーよっと心を暗いモヤが支配していく。
「俺に構ってんじゃねーよ!テメェの情けなんざ、要らねぇんだよ!どっか行けや! あぁ、行くって言うんなら…アレはどうだ? この間も言ってやったよなぁ?」
止めろ、言うな…その先を言うなっと俺は感じながらも手を伸ばし直す相手を見つめてからニヤッと口元を上げ言葉を投げかけた。
「…来世は、個性が宿ると信じて屋上からのワンチャンダイブ…丁度、逝く場所がわかるんじゃねぇの? 無個性のお前にはお似合いだろ」
伸ばしてきたソイツの手を払って、俺はまた歩き出した。 すると、俺の言葉に傷ついてるはずなのに、コイツはめげずに俺の制服の裾を掴む。
そして、泣きそうな顔で俺を見つめながら「い、行かないよ!!」っと反論してきやがった。俺はその言葉と態度にもう一度手を払ってから「うるせぇ!俺に着いてくんじゃねーよっ!!」そう告げてから俺は、ソイツの先をスタスタと歩き出した。1度も振り向かずに…言葉をかけてきたアイツに…本当の俺の…
『…気持ちは…?』
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はっと目を覚ます。気だるい身体を起こしながら、寮のベットで目が覚めた。 昨日まで、病院にっと記憶を辿りながら額を抑え手のひらを見つめた。
前から色んなやつに俺がなんでもできて、才能があり【聡明】と言われても…俺はあの日から前を向けないままでいた。
このまんまじゃ俺はあの日のあれからずっと動けねぇまんまだ…どうせ、動けなくて、苦しくて腐っていくだけなら…どうか、どうか、あの日まで時が…
「巻き戻ってくれりゃ、いいのに…」
そう告げてからカレンダーの数字を見つめる。
死のうかなんて、逃げようなんて…毎度思っても出来ない俺をお前はどう思ってんだろうなっと視線を向けた先で、机に飾られた写真の中のそいつは笑う。 何年経っても、俺は死ねねぇ…死んだら行けねぇっと心が叫ぶから…なんて、希望論だけを叩きつけてのうのうと生きながらえている。
どんだけ叫んで足掻いても、俺の隣に…「お前は居ないのにな…」と部屋の中にポツリと言葉が零れた。
あの時、お前が俺を叱りつけて言い返せば良かったのに…と何度も何度も手首を握っては爪を食い込ませる。 アイツの手の感触を思い出す度に苦しくなる。 アイツが握った時に「僕に死ねって言うなら君も死んでよ、かっちゃん」なんて言ってくれてれば、少しでも言い返してくれてれば…俺はその言葉を呪いの言葉として受け取って、自分を呪えたのにっと頭を抱える。
それなのにお前が何も言わないから、俺はのうのうと世界を生きて何も出来ないまんま人生を貪って生きているのだ。
ベットに横になりつつ、もう一度目を閉じてから、馬鹿みたいに願いを口に出してしまう。誰も居ないその部屋で、俺は…
「なぁ、この真夏の暑さが夢を見せてくれんならよ…たのむ、頼むから…アイツが消えちまう前に、戻してくれよ…っ」
横になりながら目尻から少しだけ涙が伝っていく。
あん時お前に心配されたことを、俺がお前に適わねぇってデケェって思っちまった俺を隠したかったからあんな事言ってしまった…そんな、俺を流れ行く日常が空気を照らして、あの日の俺を脳裏に焼き付けていくんだ。
もう一度起き上がって俺は部屋を出ていって、ひとつの場所を目指して歩いていく。 きっと俺は、16になっても何歳になってもどこかで信じていたんだ、信じていたかったんだっと足を進める。 風が吹いた瞬間に一瞬だけ…カゲボウシが滲む姿を思い出して。
俺が歩いてついた先は校舎がある。 俺が卒業した中学で、アイツが卒業出来なかった中学だ。 炎天下の中にあるくせに、とても澄んでいたその校舎に俺は足を踏み入れる。 その瞬間に…怯えていたくせに俺に近寄っていつも笑って「遊ぼうよ!かっちゃん!」と言ったアイツの姿がユラユラ揺れた気がした。
________
「おい、大丈夫か? 顔色悪いぜ?」
「ほっとけよ、てめぇにゃ関係ねーわ」
心配そうな顔をして話しを掛けてくる隣人のクラスメートにも冷たく返す。 どうせテメェらにゃわかんねーんだよ、何も知らねーんだから、悲しそうなフリを見せてんじゃねぇよ、クソうぜぇ。
俺は寮へ帰ってまた部屋に戻るとベットに横になる。
ダリィ、面倒だなっと意識が朦朧とした時にあの日のことを考える。いつも通り、アイツが居なくなってしまったあの日を思い出して過ごそう、例え不自然な俺だとしても、アイツの温度が無くならねぇように…
アイツが死んでないんだとか、生きてるんだとか…叶わない夢を願うくらいならいっそ、アイツがいた頃の掠れた過去を思い出して抱きしめてやろう。
覚めない夢を見て、自分だけの世界に閉じこもってやろうと誓う。
「それじゃあ、明日も見えないままだよ?」
目を閉じた俺に、顔の見えないソイツが語ってくる。
うるせぇ、それならそれでいいんだ…あいつの居ないこの世界をのうのうと馬鹿みたいに1人生き続ける位なら、つまらないこんな日々を過ごすくれぇなら…っと、脳に語りかけてきた見えないソイツの顔を振り払うように身体を起こして、桜の中笑う中学の制服を着た、ソイツの写真を指でなぞる。
お前が居ないくだらない毎日を繰り返すだけなら…そんな日々を殺す様に手を染めて『お前だけ』を選ぶから。
『爆豪 勝己 16歳』
幼稚園、小学校、高校と通い、ある出来事から人生が腐りきってしまったと思っていた。 どんな時もどんな場所にいても、毎日、その腐った世界と自分に信じてもいない神に祈った。 昔に振り向いた『彼』の色めいた笑顔にずっとしがみつくように、『会いたい』と何度も何度もその世界で願った。
「オレも、俺を連れてってくれよ…いっそ、俺も…テメェの居ない世界なんざ…生きれねぇ」
炎天下の中、俺はもう一度項垂れたベットの上で、ヒュっと少しだけ息を止め一人でそう呟いた。
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なんだ? 身体が重い…何も、動かせねぇ…此処は、何処だ…
目だけを開いてその世界に意識が入ると心臓が鳴った…
なんで、なんでだよ…此処は…
『あの日』に2人で登った坂道に立っている、その事実だけで心音が増す気がする。
今更、なんで? もう、戻れないあんな日なら見せなくていいのに…出てこなくていいのに…もう、もう誰も…
「俺に、俺の心に触らないでくれよ…」
「…ねぇ、__ちゃん」
『あの日』の重苦しい世界の中で、誰かの声が聞こえた。耳を抑え、周りを遮断した俺の手を捉え、もう一度その世界でハッキリと声が聞こえる。
「かっちゃん、聞こえる? 僕の声、覚えてる?」
その声と姿にずっとモヤがかかっていた気持ち悪いそれが晴れていくきがした。 『俺、死ねたのか?お前の傍に行けたか?』などと口を開こうとするが、その言葉はソイツの重ねられた唇に飲み込まれた。
こいつの声が聞こえた理由がわかった気がした…俺は、認められなかったんだ、まだ傍に居たかったんだ、『大好きな木偶の坊の傍に…』っと消えそうなそいつに俺は必死で手を伸ばした。 そこはやはり暑いあの日の真夏のまんまだった。
手を伸ばした瞬間にもう一度放り出された世界にはソイツがまた居た。
あの時初めてアイツに俺がワンチャンダイブを伝えたあの日の光景だ。
俺が、戻りたくて会いたかったソイツがただ、ブツブツと椅子に座りひたすらノートとにらめっこしていた。 そんなソイツの姿をいつも遠くから眺める「俺」のあの頃に、俺は立っていた。
そんな他人事のように見えるその位置からは、俺と話す時に怯えながらも俺を認識する度に夏のように笑うお前の笑顔が、変わらなくて…涙が頬を濡らす。
黒焦げのノートを抱きしめながらお前は俺の傍にきて、昔のあの日の様に笑う。
「あのね、かっちゃん…僕ね…」
言うな、言わないでくれ、その顔で声で…俺の好きなその笑顔で…
「死んじゃった…へへ、ごめんね」
なんて、そんなこと聞きたくなかった…、それなのにお前はトドメをさすように言葉を続ける。
「…君が、もう苦しむ必要ないんだ…だから、ね?」
やめてくれ、俺は、俺はその先を…聞きたく…
「『サヨウナラ』しよう?」
胸を抑えてその笑顔を見た俺は伸ばした手をうっすら消えていく意識の中、そいつに手を伸ばした。 精一杯の感情を込めて…
「んな事言うなよ、んな寂しいこと言うんじゃねぇよ…なぁ、なぁ、くそなーーーーど…いくなよ、いくんじゃねぇぇぇぇよぉぉぉぉぉ」
その世界で崩れ落ちたそんな俺を、アイツを象ったかのように見えたカゲボウシが見つめていたきがした。
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ある夏の日、病院の一室にて昏睡状態だった高校生の意識が戻ったという連絡が生徒たちに入る。
その報告に涙を流すもの、喜ぶもの、会いたいと告げるもの様々だった。
だが、高校生は目が覚めてから呼んだその名前に会いたいと呟いた事から、急遽、その名前を呼ばれた少年を病院に連れてきたのだ。
白い扉を開いて、眠り続けている間に包帯が少しずつ取れた彼の身体を見た僕は、急いで駆け寄り彼に抱きついた。
彼は僕をぎゅっと抱きしめて、まだ起きたばかりで動かすのも辛い身体を使いながらしっかりと体温を送ってくれる。
「なぁ、…俺、お前にずっとさ言いたいことあったんだ、あのな…」
僕を少しだけ離してから、彼は怪我だらけだったその身体の手を僕の頬に添えて、目尻に浮かんだ僕の涙を指で掬ってから苦笑いする。
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目を覚めた彼は僕にそう告げてから抱きしめてくれる。
その言葉に涙腺が崩壊した僕は、「当たり前だよ、一生離れてやんないからね! こんなこと、もう本当にやだよ、君が死ぬ時は、僕が隣に居たいんだ」っと泣きじゃくる僕に触れるだけの口付けをくれた。
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【爆豪勝己 18歳】【爆豪出久 18歳】
この度、入籍しましたっと卒業後の出久の誕生日から1ヶ月後に世界を賑わすニュースとなった。
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