このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

拍手置場

※うしろ向き/じれっ隊の曲を参考にしております。

※まんま写している訳ではないので気持ち参考程度にお願い致します。

※勝デクです


いつもサイトに来てくれている方々に感謝を込めて。



________




【奇跡のプレゼント】




彼と会えずに1ヶ月が過ぎた。
今日は久しぶりに彼と連絡が取れて約束を取り付けることが出来た日であり、僕は待ち合わせ場所に駆けていった。
待ち合わせ場所は遊園地で、彼にしては騒がしい場所を選んだなぁっと思いつつ、入口で彼を待つ。
どんな顔で会えばいいんだろうっとドキドキしながら、焦れったい気持ちのまんまソワソワしてしまう。

暫くすると、ザワザワとざわめく人の中から1人の青年が姿を現す。
誰なんて見なくてもわかる、ふわりと香ったニトロの香りに顔を上げた。 案の定、色んな人に囲まれつつもまっすぐ僕に足を向けるその姿に「やっと会えた」っと彼に駆け寄り抱きついた。
流石は鍛えた彼の身体であるか、僕をなんなく抱き停めれば皆に見られているのに気にせず抱き締め返してくれた。


「あぶねぇだろーが」

「えへへ、君なら受け止めてくれるって信じてたから」

「キメェ…おら、行くぞ。せっかくの夜の遊園地だ、楽しませてやるよ」

「わっとと、うん!かっちゃん!」


手を掴まれ、指を絡めるように繋がれれば、その手をギュッと握って後ろからついて行く。 夜空がキラキラしてるその空の下で手を繋いだ僕は、ロマンチックながら広い宇宙の中に彼と居るような気分になれた。

最初は王道のに乗りたいっと恥ずかしがる彼を引っ張ってメリーゴーランドに引きずっていく。ぜってぇヤダっと言い切る彼を引っ張りながら、「久しぶりなんだよ?」と上目で見つめれば彼は一度渋った顔をしつつも、僕に負けたように「1回な、奥席ならいい」っと諦めてくれる。



「おら、手ぇ貸せ」

「…な、なんか恥ずかしいなぁ、かっちゃん王子様みたい」

「俺は更に恥ずかしいわクソが」


あんまり人が居ないと思いきや夜の遊園地は珍しく、結構なカップルがいる。流石に子供連れは居ないが、気恥しい気もしつつ誘った手前、ちゃんと乗りたいなぁっと彼と内側の奥にある白い木馬に移動する。
彼はほらっと僕の手を掴んで木馬に乗ると、恥ずかしそうにその後ろに乗ってくれた。2人乗りなんて普通はダメなんだろうが、優しき従業員は何も言わずに見届けてくれている。は、恥ずかしいっと感じながら、かっちゃんの胸元に顔を埋め擦り寄った。 その瞬間にかっちゃんが「んんっ」と声を出すから見上げれば、それはもう恥ずかしそうに耳を真っ赤に染め上げていた。




________




恥ずかしさ満杯のまんま、次は夜のジェットコースターに向かう。
夜ということもあいまって、スリルとサスペンス満点の星空での風のジェットコースターだっと気合いを入れる。

かっちゃんが隣に乗り込むと、やはり楽しみが1番の先頭に並んで僕はそっと隣の彼の手を握りこんだ。 落ちる時の怖さとかそんなのもあるが、これのスリルは恋人とのこんな瞬間でもある。 隣にいるかっちゃんの整った顔が間近で見れるチャンスかもっとにへらっと笑えば「気持ちわりぃ」っと額をペチリと叩かれた。痛くは無かったのに、なんとなくジンジンと額が暑くなった。

ジェットコースターが動き出し、上に上り詰めていく。その瞬間に彼の手をギュッと力強く握れば、僕の手に驚いたのか、それとも落下の瞬間からか彼は息をヒュっと吐き出した。 いつも空を飛んでる彼にジェットコースターは怖さの欠片もないだろうっと落下した瞬間に「うわぁぁぁぁぁ」と声をあげ楽しむと、隣の彼は息を止めていたのか落下してあっという間にゴールに着いた瞬間に口元を抑え、「はぁ、可愛すぎかよ」と呟かれた。 あー、そうか、あんな一気に落下する瞬間にも君は僕を見ていたのかっと僕は思わずときめいてしまった。




________




7時を過ぎた辺りで、遊園地の池での恋人同士で乗るボートが出せるという。 僕は彼を引っ張り連れていき、『天の川ボート』というボートに乗り込んだ。 銀色の三日月形のボートを才能マンの彼は器用に漕いで少し揺れる。 途中、ぐらりと足場が揺れ彼の胸元にぽすっと収まれば、2人の顔が近づき目を閉じて影が重なる。 彼は照れくさそうに顔を離せば、川に映った星を見つめてから「ブサイク」と笑った。


「もぉ、君は失礼なやつだなぁ、ムードって知ってる?」

「俺にムード求めとんのかお前は、あー…最初がメリーゴーランドだもんなぁ?」

「うぅ、うるさいなぁ!君だって、最終的には折れてくれた癖に」

「どっかのナードがどうしてもって言うからだろーが」

「…恋人だからじゃ、ないの?」

「……はぁ、てめぇマジで煽んな」

「へへ」



彼の隣に座ると、「おい、バランス崩れっぞ」っと笑いながらも退かさない肩に寄り添う。 暫くボートを止めて、夜空の星を見上げながら2人で笑いあった。 珍しく彼がキザに「この夜空、てめぇに今日は贈ってやるよ」とかいう青臭いセリフを告げたことに「ぷはっ」と吹き出すと「笑うなや」って言いつつ寒イボ立ったわっとケラケラ笑い返す君に「なら、僕は君を天の川に連れて行ってあげる」と同じように下手なセリフを吐いてから抱き合った。




________




ボートを降りると、地に足が着いた感覚を取り戻しつつ、2人で仲良く手を繋いで歩いていく。 次に出てきたのはコーヒーカップで、彼はそれを見れば「…やな事思い出したわ」っと言いつつも、コーヒーカップに向けて足を進めてくれる。 「なにかあったの?」と聞けば、彼は高校の頃に遊園地で行われたチームアップミッションについて語ってくれた。
轟くん、切島くん、士傑の現見さんの4人で行ったヒーローショーについて教えて貰えば、仲良しだなぁっと口を次いだと同時にモヤモヤっと黒い感情も渦巻いた。 わかっているのだ、仕事だと、学校の授業なのだと。
でも、やはり知らない彼が居るのは嫌で、ぽすんっと彼の胸元に擦り寄って少しだけ頬を膨らました。


「けっ、妬いてんのかよ」

「悪い?」

「…」


素直に告げる僕に彼は「あー、うー…悪くねぇ」と言ってくれたから、僕は気兼ねなく彼に抱きついて寄りかかった。
コーヒーカップを選ぶと、かっちゃんがいきなりムードを壊すように「うっし、回しまくって降りた後にしっかり体幹取れてる方が勝ちな」とか言い出して「いきなり!?」と僕は驚いた。 チームアップミッションの時に轟くんに負けたことが悔しかったらしい。 相変わらずみみっちいなーっと思いつつも、僕はその提案に乗って、負けた方は勝った方のお願い聞くっていうのでどう?っと持ちかけ、その勝負は幕を開けた。

少しはしゃくだけのコーヒーカップだったのに、意外と回しまくる相手に顔が少しずつぼやけていく気がした。 あー、かっちゃんの顔みたかったなぁっと思いつつ、回されていく。 くるくるくるりでなく、これじゃあグルグルグルグルだっと思いながらスピードが早くなっていき、空を見つめた瞬間に入ってきた夜空をすり抜けていった感覚だった。


「星空、ゆっくり見れる暇もなかったなぁ」


と呟いた僕に、フラフラとしながらもその場で立ち尽くす彼は「今、みりゃいいだろーが…おぇぇぇ」と床によろよろと倒れ込む。 僕は無心だったからか、回す彼を見つめていただけだったからか、何事もなく足取り変わらず降り、彼を支えていた。 僕の勝ちだねぇっと笑えば「余裕こくな、クソが」と言われながらも、後で何聞いてもらおうかなっと彼に笑った。



________




彼が誘ってくれた夜の遊園地もそろそろ最後だっと大トリである観覧車に向かった。 やはり最後はロマンチックな観覧車だよねっ!とかっちゃんに乗る順番を変えてもらった甲斐があるよっと気合いをいれて並ぶ。 やはり夜はロマンチックなのか、恋人同士、両片思いのような人達が列を作っている。
かなり待つかなぁっと隣の彼に告げれば、彼は「待ったとしても、乗ってやるよ」と付き合ってくれるき満々の言葉で答えてくれた。

待ってる間も彼は手を握ってくれ、最近の敵についてなどの会話を2人でわいわい楽しむ。 この間の共闘もあーだ、こーだ、ここが良かった悪かったなどの反省も話しつつ順番を少しずつ詰めていった。
遂に自分たちの乗り込む番だっと観覧車に足をかけると129という番号の観覧車に乗り込めて、少し浮ついた気持ちになった。
黙ったまんまソレに乗り込むと、スタートしてから少しずつ上がっていく途中に黙っていた彼が口を開く。


129いずくだったな、番号」

「き、気づいたの!?」

「そら、あんだけ番号ガン見してりゃわかるわ」

「うぅ、恥ずかしい」

「ばぁか、恥ずかしがる必要なんかねーだろ、喜べや」

「…子供っぽいって笑わない?」

「あ? 笑うわけねーだろ、むしろ俺はラッキーだわ」



久しぶりのデートでテメェの名前の観覧車とかロマンチックだろーがっとロマンチックとは程遠そうな彼からの言葉に「んんんっ」と顔が真っ赤になる。 本当にこの人はっとチラッと見てから彼の隣にそそそっと移動し座る。
次は理由がわかっていたのか、バランスなどとは言わずに肩に手を置いて引き寄せてくれた。 この遊園地を選んだのは何も夜だからとかではない、実はこの遊園地は1番上に観覧車が来る度に一定時間時をとめてくれるのだ。

少しの間だけの恋人同士のサービスタイムというものなのか、これが話題で人気の夜の遊園地となった。
ジンクスなんてさらさら信じる気はないし、そういうのに僕らは夢見るタイプでもない、だけどそういうのに乗っかりたいというのは少し気分的に好きなのだ。 彼が元々これを目的に来ているとわかったから、観覧車は最後に回したし、こうやって隣同士の時間も楽しむことができた。
本当に久しぶりのデートは最高そのものだった。


頂点に上り詰める。その瞬間にガクンっと観覧車が動きを止め、互いに揺れた衝撃で顔を見合わせる。 外を見上げれば高い位置のそこはまるで青い夜空の真ん中みたいで、互いに抱きしめ合い、彼の胸元に顔をよせ頬をあてて、彼の心臓のメロディをしっかりと耳に残した。



________



僕は彼に恋をした、彼は僕に恋を許してくれた。
彼は僕を選んでくれた、僕は彼に選ばれた。

いつか、もし、なんて揺れる気持ちを拭うように、後ろ向きな僕の気持ちを離さないようにしっかりと答えをくれた。

観覧車から降りると、別れの時間が近づいてくる。
どちらからも繋いだ手は離せずに、観覧車の明かりを背に唇を重ねた。

後ろ向きの僕の心を、後ろ向きで進めなかった僕を彼はしっかりと繋いでくれた。 後ろ向きならそのまんま進め、転けそうなら俺が支えてやるっと言ってくれた彼に僕は笑ってお礼を告げた、思いが重なり合った日を思い出す。


「…帰りたく、ない」

「…帰したくねぇ…」



同時に零した言葉に互いに笑う。 さよならは言いたくないし言われたくない、だから僕は今日こそ彼に言おうと口を開いた瞬間にもう一度彼の唇に飲み込まれた。


「…お前からは言わせねぇ」

「かっちゃ…」

「一緒に住むぞ、出久いずく


返事はYESかはいしか受け付けねぇっと笑う君に「君らしいね、もちろん、YESかはいしかないよ」っと僕は答えた。







遊園地がくれた僕への奇跡のプレゼント。




END
3/6ページ
スキ