幼馴染
※主に会話文
※出が個性事故ったみたいです
※付き合ってません
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「はい、あーん」
「…は?」
いきなりの事に思考が追い付かなかった。
周囲を見れば、やってやれと目が訴えてる。
「なにやっとんだお前は」
「…食べてくれないの?」
「キメェ」
その一言をはなった瞬間だった。
周りから口を塞がれ、目の前の相手を見ると目の前の幼馴染は大量の涙を零した。
「ばか。ばくごー」
「大人しくあーんくらいしてやれ」
「緑谷、個性事故ったんだよ」
「あ? またかよ、マジで個性事故ほいほいだな」
めそめそ泣いてる目の前のモサモサに呆れる。
なんの個性かはわかんねぇけど、俺は面倒くさそうにため息を吐いてから口を開いた。
「おら、食わせろや」
「かっちゃん!! はい、あーん」
「…んっ、あー」
皆の前でとかどんな羞恥ぷれいかわかんねぇけど大人しく食ってやった。
「あ、うめぇ」
「本当に!? えへへ、轟くんちのお姉さんのマーボーのレシピ見たんだ」
「お前にしては、上手く出来とる」
「やったぁ」
ほわっと周りに花が咲いたように笑う相手に、目をパチパチさせた。
今、一瞬だけなんか、心臓跳ねたような気がした。
…気だけだからな?
「良かったな、緑谷〜。大好きな爆豪のあーん出来て」
「うん、ありがとう切島くん」
「夜にまたしたら解除だっけか?」
「うーんと、確か1品平らげたらじゃなかったかな」
「なら、とっとと爆豪に食わせて解除させよーぜ」
ガシッと両腕を捕まれ、目の前には幼馴染がレンゲを差し出し、にこっと笑顔を向けてきた。
「はい、あーん」
「…まだすんのかよ、なんの個性なんだよ、めんどくせぇ」
「とか言いながら、ちゃんと食ってやってるの優じゃん」
「これ、全部食えば戻んだろ」
「らしいな、ほら、緑谷早くしてやれ」
「あ、うん。ふー、ふぅー」
「…は?」
目の前の馬鹿みたいな幼馴染はレンゲに息を吹きかけ、少し冷ませたのを此方に突き出し、ほわっと笑顔で告げる。
「はい、あーん」
「…はぁ、…あー」
早く食ってやろ、羞恥に耐えらんねぇっと無心で食ってから、皿が空になると、目の前の幼馴染の目が先程より大きく見開いた。
「…あっ」
「おっ、解けたか?」
「うわぁぁ。な、なんてことを僕…ごめんねかっちゃん」
「…はぁ、解けたんならいいわ、おい、離せや。付き合ってやったろーが」
掴まれていた両腕を離すように告げればスタスタと自室に戻るために足を向けた。
あんな馬鹿な個性に大人しく付き合ってやるとか前の俺じゃ考えらんねぇなっとチラリと幼馴染を横目で見てやる。
「恥ずかしい事を…ごめんね、皆」
「別に恥ずかしくねぇだろ、『好きな人にあーんしたくなる個性』とかある意味された側は嬉しいだろ」
「オレもされてぇ、切島ぁ〜でんぴにあーんしてー?」
「ばっか、個性無くてもしてやんよ」
「お前ら、またんな馬鹿やってっと澤先に怒られっぞ」
「あはは、なんにせよありがと〜」
今、なんといった?
『好きな人にあーんしたくなる』?と言ったか?
え、じゃあ、アイツは俺が好きってことか?
THE☆RYOUOMOI!?って、ことぉ?
ぐるっと足を止めてスタスタと幼馴染の元へ戻って首根っこ掴む
「ぐぇ」
「蛙が踏まれたような声だすなよ」
「蛙が踏まれて喋ったとこ見たことあるの!? それは気になる」
「うるせぇ例えだろーが」
「それより、どしたの?個性解けたよ?」
「あ? 付き合ってやったお礼貰ってねぇわ」
「え、あー…何がいい?」
幼馴染は付き合ってもらったもんねっと笑う。
貰うもんは一択のみだろっと胸ぐら掴んでひきよせた。
“ぷちゅっ”
可愛らしい音と共に唇が重なり、数秒で離れてやった。
目の前には真っ赤な顔の幼馴染とあほ面、クソ髪、しょうゆ顔がぽかんとしていた。
自分の唇をぺろりと舌なめずりしてからスタスタと部屋に戻る道を歩いた。
ざまぁwwwwっと後ろを振り返り舌を出して笑った。
幼馴染の雄叫びが寮内に響くまであと…
END
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