「思い出せ。あの時代、俺たちは確かに一緒だった。時代が変わっても魂は覚えてるはずだ。」
『そ、なんこと言われても…私は、⁈』


ー風柱様！今日はたくさんお野菜をもらったんです！ー
ーすぐに風柱様を超えてみせますからね‼︎ー
ー風柱様はただでさえお顔が怖いのですから、ー
ー私もお慕いしておりました。ー

ー実弥さんー



突然2人の間に風が舞ったかと思うと、夢の続きが頭に流れ込んできた。
モヤがかかっていた顔は鮮明に見え、白髪の頭に傷のある見知った顔。目の前にいる不死川実弥だった。

認識した途端、今までの記憶がはっきりと蘇り、涙が頬を伝う。


『風柱様…』
「その呼び方、まさか思い出したのか⁈」
『はい、大変お待たせしてしまって申し訳ありません。』
「…待たせすぎだァ。」


記憶が蘇った奏は、鬼殺隊として一緒に過ごしていた時と同じ雰囲気を身に纏っていた。
柔らかく心地よいものだった。
抱きしめられたままの奏は、遠慮がちに後ろに手を回す。


「ずっとこうしていたいんだが、あいつらにも報告してやらねぇとなァ。」
『あいつら、とは？』
「煉獄と宇髄だ。2人も気にかけてたからなァ。」


めんどくせぇと言わんばかりの顔の実弥に、奏は思わず笑ってしまう。



職員室


「不死川ではないか！今日は早く帰れるのではなかったか？」
「珍しくこんな時間まで何してんだ？」


職員室にはちょうど煉獄と宇髄の2人だけだった。
実弥は自分の後ろに隠れていた奏を前に出す。


「高咲じゃないか？どうしたんだ？」
「さてはお前ら、何かあったな？？」
『炎柱様、音柱様…ご無沙汰しております。』


奏の言葉に2人が同時に立ち上がる。