『何なの、何なの、何なの⁈みんなして…』


午後の授業を受ける気がなくなった奏は、誰もいないであろう図書室に向けて歩いていた。


ドンっ！！ーーー


前を見ていなかった奏は、角を曲がった時に思い切り誰かとぶつかってしまった。


『いったぁ…ご、ごめんなさい‼︎…ぁ、』
「高咲じゃねぇかァ。」


よりにもよって実弥とぶつかってしまう。
頭の奥の方でチャイムの音を確認していた奏は、今が授業中であること。
そして、この時間に廊下を歩いているという事はサボっています!と自ら言っているようなもので、命の危機を感じていた。


『おっと、不死川先生ではありませんか。それでは失礼しま』
「待てェ。」
『あの、見なかったことには』
「出来ねぇなァ。」
『っすよねー…』


そのまま首根っこを掴まれて、数学準備室へと連れて行かれる。


『（あぁ、さらば私の学校生活）』


…
……


「ほらよ。」
『え？』


てっきり怒られるかと思った奏は、目の前に出されたマグカップに驚く。


「真面目なお前が授業をサボるなんて、よっぽどの事があったんじゃねぇか？」
『先生……明日は雪でも降りますか？』
「…バカにするとはいい度胸だなァ。」
『す、すみません！不死川先生が気にかけてくれると思っても見なくて…』
「………」
『（ぁ、またこの顔だ……）』