ー奏！ー

誰？

ー風柱様！いつか追いついてみせます‼︎ー

これは、私？

ー風柱様、今日の任務も大変だったんですよ⁈ー
ー風柱様は本当におはぎが好きなんですね。ー
ーすみ、ませっ…あなたを残して…しま、うー

ー奏、死ぬんじゃねェ‼︎ー


『……またこの夢。』


窓から差し込む光で目が覚めた奏は、乱暴に目元をパジャマの袖で拭った。
キメツ学園に入学してから半年たったくらいから見始め、ここ2週間ほぼ毎日見るようになっていた。


『いい加減にして欲しいなぁ。』


なぜ、こんな夢を見るのか分からない。
しかし、夢に出てくる自分は黒い制服を着て、腰から刀を下げていた。
師匠と呼ぶ相手も同じような格好だが、肝心の顔の部分はモヤがかかっていてハッキリとは分からない。


『…サボろうかな…ぁ、ダメだ。今日は数学のテストがあるから、不死川先生に殺される。』


将来数学なんか使わないと言った生徒をぶん投げた、通称スマッシュブラザーズ事件。
あれ以降、実弥に対して悪態をつく生徒は1人もいなくなったという。
奏も、実弥の授業だけは真面目に受けなければと思う生徒の1人だった。