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サーヴァントとヒーローを目指す

所謂前世というものを思い出したのは4歳の時だった。小説の主人公とか、訳あり不思議系ヒロインとかならだいたい自身の身が危うくなって思い出す、とかいう劇的な感じだったりしたのかもしれないがきっかけはとても些細なことだった。
家族で大きなショッピングモールに行った時、迷子になってしまったのだ。当時は幼かったし何よりいつもと違う場所で心細くて泣きじゃくりながら、おかあさんどこー、なんて言っていたのだ。そしたら隣から、それも上から声がしたのだ。「君の母親になった覚えはないのだがね」と。赤を基調とした服の男の人だった。というか赤いアーチャーの人だった。もちろんびっくりした。涙も引っ込むレベルで。あれよあれよと気付けば母親(アーチャーの方ではなく)が見つけてくれてその日は無事に家に帰った。後日、病院に連れて行かれて個性がなんたらとか言われたけどよく覚えていない。(英霊を召喚する個性なんだろうとは思ってる)小難しい医者の話より気になって仕方がないことがあったのだ。

「初めて召喚するのはいつも頼りになる可愛い後輩だと思ってたのにな」

先輩、と自分を呼び慕ってくれていた声がとても懐かしくなった。

















中学で進路を決める際に「特に何も考えてないです」と言うと担任は呆れながら雄英高校を薦めてきた。勉強は出来るんだからここの普通科でも受けてみたらどうだ、就職の時雄英卒ってだけでも他と違うぞ、とかなんとか。とりあえず両親とも相談してみます、と言って適当に流した。流したかったけれど両親に相談したら「折角だからヒーロー科目指してみたら?」の一言でまぁ両方の学科受けてみたらいいか、なんて軽い気持ちで受けてみたら、

「まさかのヒーロー科に受かった……」

自分の力というより半分は心強いサーヴァントのおかげなので果たして純粋に喜んでいいのか……。

「その合格は間違いなく君が勝ち取ったものだろう」

自信を持ちたまえ。と、普段は特に何も言ってこないのにこういう時には声をかけてくるこの赤いアーチャー、実は試験の時に一度も呼んでいなかったりする。
ごめん、だってぶっちゃけ全体宝具打ってくれるバーサーカーの方が一掃しやすかったの……。

個性が召喚なんていうもののおかげでほとんど実技試験はバーサーカー無双だった。1度召喚したことがある英霊なら呼び出せるみたいで本当にバーサーカー無双をした。チートじゃないかと思う。しかも令呪も使えるのだがなんとこの令呪、一日に一画回復する。さすがに1度に令呪全てを使ったら全回復まで三日かかるので使う時は慎重に使用すると心に誓った(実は個性が発覚した時に令呪を使ってアーチャーのご飯が食べたいとか言ったらめちゃくちゃ怒られた)。話が逸れた気がする。まぁ、カルデアにいた時とあまり変わらない感じの個性なおかげでとても扱いやすいとは思っている。気持ち的には強くてニューゲームというやつだ。

「だってヒーローになったとしても戦うのはみんなじゃん。ちょっと複雑な気分だなぁ……」

そうは言いながらも四月からの高校生活一年目、この心強い仲間と共に乗り越えていけるだろうと確信していた。
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