短いの
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湯船に浸かり大きなため息をついた。
1日の疲れを癒すはずのお湯も、今はあまり効きそうにない。
今日は疲れた。
今日あったこと、嫌だったこと、思いめぐらせていると、余計なことも浮かんでくるようだった。
仕事でミス、しちゃったなあ。久しぶりにあんな単純なミスしてしまった。なんで、確認したと思ったのに。
それに、取引先の人、嫌なこと言われたな…辛かったな。
想楽さんと今日は会えなかった、タイミング合わなかったな…。
想楽さん…学校忙しそうだな。そりゃそうだよな。学業に、アイドルに…私なんかに構ってる暇ないよ。やっぱり付き合ったりなんかして、想楽さんの貴重な時間を奪ってるんじゃないかな。
お腹空いてきた、今日はお昼食べる時間なかった…けど、何が作る元気もない。
私、私ができることってないな…すごい無力だ。自分ってちっぽけな人間だ。
湯気がのぼる浴室で目を閉じた。
ぎゅっと苦しくなった心を押さえ込むように縮こまって、膝を抱いた。
…疲れた。
力強く目をつぶった。
しばらく、そうしていたようだった。
しかし突然ガラッと開いた浴室の扉に驚かされた私は顔を上げ、声もなく体を強張らせた。
焦った表情の想楽さんが見えた。
一瞬、目が合った私たちはお互い驚いた顔で目を丸くしていた。
私は何が起きたかわからず呆然と、体も隠さず、目を合わせていたが、想楽さんはすぐ扉を閉めた。
「……ごめん。」
扉の向こうから想楽さんの小さい声がした。
「合鍵で、入ったけど、靴があるのに呼んでもどこにもいなくて、…倒れてたりしたらどうしようと思って、ちょっと慌てちゃったー。」
「あ、あ、そ、そうだったんですね、すみません、全く気がつかなくて…今、少し寝ちゃってたかも…」
あははとわざとらしく笑って、扉越しに返事をすると、「湯船で寝るのは危ないよー」とため息をつかれる。
「す、すみません。すぐ上がります。」
「ゆっくりでいいよー。待ってるから。」
そう言って消えそうになった気配に慌てて声をかける。
「あ、あの!」
「なにー?」
「……探してくれて、ありがとうございます。」
「…心配したよー」
何もなくて良かったー、と言って扉の前からいなくなったようだった。
心配、してくれたんだ。
……わかってる、よくない、んだけど、こんなことで満たされては、よくない。でも、
今の私の心にはとても効いてしまったようだった。
すっかり柔らかくなった心で、髪を洗い、体を洗い、さっぱりとした私はお風呂を出て、再び想楽さんと対峙した。
「あ、あの、心配かけてしまい、すみません…。」
「いいよー、僕も急に来ちゃったからねー。」
罰が悪い顔をした私に近づき、スッと首筋に想楽さんの手が触れた。
「…こんな形で、なまえさんの肌、見るつもりじゃなかったから、」
ほおに触れた手で顔を優しく包まれ、間近で目が合った。
「ちゃんと、今度見せてね」
「今、度」
「…ごはん、食べよー。」
「は、はい…」
パッと手を離して、真っ赤にした顔の私を見て想楽さんは笑った。
お弁当買ってきたんだーと机に並べてくれる。
熱くなった自分の頬に触れ、今日の悲しかったことも、空腹も忘れるくらい、ドキドキしていたことに気づいた。
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