短いの
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「あ…出ました…アイスでも食べますか?」
脱衣所から、髪が濡れたプロデューサーさんがひょこっと顔を出した。シャワーのあとで頬は血色が良くなっている。
いつもシャワー上がりのプロデューサーさんは、恥ずかしそうに、どこかぎこちない。そんな仕草も、濡れた髪は艶めいて、色づいた頬も、僕の心を揺さぶる。
「…髪、僕が乾かしてあげようかー?」
プロデューサーさんは遠慮して慌てたように何か言っていたが、適当に丸め込ませるとおとなしく髪を乾かさせてくれる。無言になり、ドライヤーの音が部屋に響いた。
後ろから見えるプロデューサーさんの頬が、先程よりも赤い気もする。
…このあいだ大学のクラスメイトにおすすめされた流行の曲。女の子の視点で別れた恋人に向けての重たい感情を歌った曲だ。
歌の中にあった、髪の毛を乾かしてあげるというのは、女の子にとって特別なことなんだろうか。
プロデューサーさんも、何か感じてる?
穏やかに談笑するプロデューサーさんからは、歌のような仄暗さは全くなく、なんとも嬉しそうで、幸せそうだ。…と思っていいよね?
プロデューサーさんは、僕がいつでも離れてもいいと、いつでも身を引く覚悟だと、はっきりとは言わないがそう思っている。
ずっと一緒にいたいと、プロデューサーさんと幸せになりたいと、そう思ってるのは僕だけなのかな。
「…想楽さんの方が、乾かすのが上手みたいです。」
「ふふっ、そうー?」
はじめは照れくさそうに頬を赤くしていたプロデューサーさんも、終わる頃には心地良さそうにうつらうつらとしている。
ドライヤーを止めるとハッと目を覚ました様子で、僕はクスッと笑った。
「あ、ありがとうございます!」
「またいつでも乾かしてあげるよー」
この時間が、プロデューサーさんにとって、僕と離れようと考えた時、後悔になるような、僕に対して重たくて仄暗い感情を持つような、過ごしたささやかな時間が、そんな時間になるといいな。
僕の方がすでに、プロデューサーさんと離れることを考えると、曲と同じような仄暗い感情を帯びていることに気づきながらも、かわいい笑顔のプロデューサーさんと並んでアイスを食べる、そのかけがえない時間がずっと続くと信じることにした。
なまえさん、僕を、なまえさんの大切なものにしてくれる?
ひとりで、どこかにいかないでね
今度指輪でも贈ったら、喜んでくれるかな
言葉にしない言葉が浮かんでは消えていった。
俳句も和歌もよく詠むけど、曲も、そのためにあるのかなと、頭の隅で考えていた。