短いの
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「うわ」
運転中、赤信号で道を横断する自転車に慌ててブレーキを踏む。
もともとそれほどスピードが出てなくてよかった。急ブレーキともならないほどであった。
こちらにはお構いなしでサーっと走り抜けていく自転車を眺め、いつもの私なら、なんだよ、とイライラぶつぶつと悪態をつくところであったが、ふと、助手席に座る彼の存在を思い出す。
大丈夫だったかなと、ミラー越しに彼の姿を確認すると、特に表情も変えずに座っているようだった。
今日は想楽さんと仕事を終え、事務所に戻るところだった。アイドルの皆さんを乗せている時は当然いつも以上に安全運転だ。ちょっとでも危ない場面は避けたい。こっちは大事な大事なアイドルを乗せて安全運転しているというのに!と、なおのこといつもよりイライラしてしまう。
…が、しかし、実を言うと私は彼が好きだ。正直彼の前では常に良い格好していたい。可愛い私でありたい。
あやうくいつものように悪態をつくのを見せるところだった。危ない危ない…。
「プロデューサーさん、大丈夫だったー?」
「…え?」
「今の人、危ないと思わないー?赤信号、ギリギリ渡れど、一か八。あんなの繰り返してたらそのうち轢かれちゃうよねー。」
「…ふふ、そうですよね。轢かなくてよかったです。」
「轢いちゃう人の身になってほしいよねー。」
まったくーと想楽さんの方がぷんぷんと怒っているようであった。同じように考えていたのか、とわかって、いろいろ考えを巡らせていたが気が抜けて笑ってしまった。
「…プロデューサーさん?…なんでニコニコしてるのー?」
「え?…ふふ、私、想楽さんが好きです。」
運転しながら、思わずそう口に出すと一瞬間があったが、すぐ返事がある。
「知ってるけどー?」
「ふふふ、言いたくなっただけです。」
なんで急にそんなこと言い出すのかといった怪訝そうな声だが、そんな返答も私は嬉しく、さらに気持ちも積もっていくのだった。