短いの
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「プロデューサーさん…じゃなくて、…名前で呼んでもいいー?」
何度かキスしたあと、ふと尋ねられた。
大したキスじゃなくても沸騰しそうな私の頭は、突然予想外の質問には上手く対応できず。
「…えっ?名前?…私の?」
「うん、だって、恋人同士、でしょー。こういう時は名前で呼び合う方がそれらしいかと思ってー。」
「名前…お、覚えてるんですか?」
思わずそう言うと一瞬ムッとした表情をさせてしまった。
「…あんまりなめないでほしいなー。もらった名刺だって大事にしてるしー。」
「いやっ、あの、最近あまり呼ばれないもので…!でも名刺か…そっか…。名刺渡してるんだから、アイドルの皆さんは当然名前知ってますよね。家族以外には最近名前で呼ぶ人なんて…特に仕事中なんて、名前呼ばれることなんてないから、なんとなくみんな私の名前なんて知らないかと…。」
怒らせてしまい慌てて言い訳のように喋り出すが、自分で言いながら苦笑いしてしまう。
でも、本当にここ最近名前を呼ばれた記憶がないのだ。自分でも自分の名前は“プロデューサー”なのかもと思うほどだった。それほどに自分の名前を呼ぶ人はいないし、みんながプロデューサーと私を呼んでいた。もちろん想楽さんも。
「なまえさん」
そう考えていたところ、耳元で名前を呼ばれて心臓が跳ねた。どっと全身が熱くなる。
想楽さんの声と慣れない響きにとても違和感がある。驚いて目を見開くと、少し照れているような嬉しそうなような、得意げなような表情をしているような気もした。
次の瞬間にはまたキスの嵐が降ってきて私の頭はまた再沸騰し何も考えられなくなっていた。
「…じゃあ名前呼ぶの、僕だけ、ねー。」
両手を頬に添えられ、鼻が触れ合うほど近くでじっと見つめられた瞳は、若干細められていたかもしれない。
想楽さん、と思わずこちらも名前を呼ぼうとして動いた唇は、また想楽さんの唇によって動きを封じられた。
そのあとは、何度も何度も私の名前を口にする想楽さんの声しか覚えていない。