短いの
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ソファでくつろいでいると、旅行雑誌を眺めていた想楽さんから話しかけられる。
「プロデューサーさんー、一緒に温泉入りたいなー。」
おん………せん……
にこにこと誘ってくる想楽さんに、瞬時に私の頭の中をいろいろな言葉が駆け巡った。
ムダ毛…セルライト…なんか常に足にできている痣…傷…ていうか肌がなんか汚い…黒ずみ?…ムダ毛…スッピン…エトセトラ…エトセトラ…
「い、嫌です。」
「………」
間3秒くらいで、私の口から出た返事はそれだった。
想楽さんは笑顔を崩さなかったが、すっと瞳から光が消えたような気もした。
「…紅葉の時期なんか綺麗だよねー。」
「…嫌です。」
「見てーこの部屋、部屋にお風呂がついてるよー。」
「嫌ですって。」
「…だめー?」
想楽さんは私の言葉を無視して話していたが、ついに眉尻を下げて、首を傾げて私の顔を覗き込んできた。まるで子犬のような表情で。
「…っそ、んなのずるいです……」
「だってー…そんなに嫌がられるなんて…」
悲しそうな目で見つめられ、私の首に腕を回して抱きついてくる。
ずるい、ずるい、卑怯、そんな、可愛い、甘えられたら、
「う…うう……」
「僕とお風呂入るの、嫌?」
「いやっ…ていうかあ…嫌なわけじゃなくて…その…」
焦り始める私をじっ…と見ていたが、やがてフッと笑った。
「本当はプロデューサーさんも、僕と温泉入りたいんだよねー。」
「っ〜〜」
なぜだか段々と追い込まれてきた私は、両手で顔を隠して目と顔を背けた。
…が、もはやソファに座っている私の膝に跨って抱きついてくる想楽さんから逃げる場所もなく。
顔を至近距離に近づけて、またにこやかな、楽しそうな笑顔に戻った想楽さんから囁かれる。はじめに聞かれたのと同じことを。
「ねえ、プロデューサーさんー…。一緒に温泉、入りたいなー?」
「…………………はい………」
消え入るような声で返事をすると、本当に嬉しそうに笑って強く抱きしめられる。
私は基本的に、想楽さんから求められると、大抵のことには「はい」としか返事をしない人間であったのだった。