短いの
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「…ちょっとー」
「?はい」
「まだ服着てないのー?」
なまえさんはお風呂から出た後、髪も乾かさず服も着ずに、布団にくるまってゴロゴロしていた。
「んー…着ます…」
「そう言って昨日もそのまま寝そうになったでしょー。」
「キャー!」
いい加減にと思って、僕はなまえさんを包んでいた布団を強制的に剥がした。
「寒い…」
「だから服着てー。」
「はい…」
なまえさんはしぶしぶと動きだした。
ちょっと…いや大分?だらしないところがある。
もそもそとパジャマを着たなまえさんは、再び横になってスマホをいじろうとしている。
「なまえさん」
「うん…?なんですか?」
「髪濡れてない?」
「うん…?はい…」
「…しょうがないなー。はい、おいでー。」
「えっわ、わ、なんですか?」
「髪乾かしてあげる。」
ベッドに再び入ろうとしているなまえさんの脇を背中から掴み、持ち上げて…僕の力では引きずって洗面所まで連れて行く。
「えっいいですよ、自分でやりますよ。」
「昨日もそのまま寝ちゃったのは誰ー?」
「昨日は…たまたまで…」
「はいはい、いいからー。」
引きずっていると、なんとなくなまえさんも慌てて自分でも地面に足をつけて歩いてくれる。
洗面所に立たせてドライヤーの電源をつけた。
ゴーーっと風の音が鳴り、彼女の顔に風と自身の髪の毛が舞い、吹き付けている。
「わ、わあ…わあー…」
「ちゃんとしないと、髪が傷んじゃうよー?」
「わかってはいるんですが…」
「…まあ、たまには僕が乾かしてあげるから。」
「わ、悪いですよお…」
「だったらちゃんとしてー。」
「う…」
…ちゃんとする気はないようだ。
バツが悪そうに恥ずかしがりながらも黙ってしまった。
ちゃんと乾かすと彼女の髪はサラサラになり、ツヤが出て綺麗だ。
「ほらー。綺麗になったよ。」
「…ありがとうございます。」
「ふふ、顔赤くないー?」
「そ、そうですか?」
ふいっと僕から背を向ける彼女の耳も赤いように見え、頬が緩んだ。
「じゃあ、もう寝よー。」
「はい、そうですね…。先に布団入ってください。」
僕は言われた通り、先に布団に入った。
そう離れていないベッドから彼女を眺めて待った。
なまえさんは毎日寝る前に薬を飲んでいる。
飲まないと眠りが浅いようだ。悪夢を見てうなされている時もあった。
だらしないなまえさんも、それは困るようで、薬だけは忘れず怠けず飲んでいるようだ。
…しかし、お湯は沸かさずに、水をレンジに入れてあっためてお湯を作っている。
別にいいんだけど。
レンジから出したお湯に口をつけると、熱すぎたようで体をビクッとさせ慌てている。顔に皺を寄せてフーフーと一生懸命お湯に息を吹きかけ、ちょっとずつお茶のようにズズっとすすっている。
熱すぎてしばらく薬が飲めず、無言でお湯を睨んでいる様子を見て笑ってしまう。
なんとか時間をかけて薬もお湯も飲み切ると、やっと電気を消して僕のいるベッドにやって来た。
布団を広げて「おいでー」となまえさんを迎え入れると、いつもモジモジして躊躇しつつ、最終的に、のそのそとゆっくり、布団と僕の腕の中に入ってくる。
「…お湯熱かったー?」
「えっ…見てたんですか?」
「ふふ、たまたまねー。なまえさん、猫舌だもんねー。」
「……………」
「…なにー?」
「…想楽さんって…私のこと好きなんだ…」
「………」
「…ふふ……」
「……悪いー?」
「ふふ……」
「…ちょっとー、」
「…………」
「…寝たのー?……もー……。」
嬉しそうに微笑んでいたが、声をかけても反応がなくなり、暗闇で目を凝らしてみると、どうも彼女は眠りについたようだった。
「好きなんだ…」って…。
一緒の布団に毎日のように寝て、今更何を言っているんだろう。寝息を立てている彼女の頬を撫でた。
…でも、その言葉を聞いて、自分でも思った。ああ、僕、本当になまえさんのこと、好きだなあって。…どうしようもない人だけど。
どうしてか、どうしようもなく愛おしい気持ちが溢れてくる。
「…おやすみなさい。」
おでこにキスを落として、腕の中の彼女を抱きしめ僕も眠りについた。