短いの
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「…いたっ」
「…あ、」
あー…またやっちゃったー…。
「…ごめんー」
「あ…いえいえ、ぜんぜん痛くないですから!」
そう言って笑うプロデューサーさんの肩にはくっきり僕の歯形がついている。
…さっき、「いたっ」って言ってたしー。
なんでだか最近、プロデューサーさんを見ていると、気付いたら身体に噛みついている。しかも結構思い切り。
この間は腕、耳、首、今度は肩。
自分でもわからない感情に支配されて気づいた時にはプロデューサーさんの白くて細い身体に赤い傷をつけている。
あとでこっそり、プロデューサーさんが絆創膏を貼っているのも知っている。
やってしまったあとは自分でも何がしたいんだと呆れてしまう。
「想楽さん」
「……」
「本当に大丈夫なんですよ、気にしなくていいですからね。」
プロデューサーさんはいつもそう言ってくれるけど。
それに安心しつつも、嫌な気分にもなり、自分でももう訳がわからない。
ただただプロデューサーさんに抱きついた。
…肌が近くにあると、また噛みついてしまいそうになる気持ちを抑え込んだ。
「…大事にしたいのに。」
ボソッと呟くと、空気でプロデューサーさんが微笑んだのが伝わってきた。
するとまた心がざわついた。
これはなんなんだろう?独占欲?支配欲?性欲?
仕事中のプロデューサーさんは色んな人に囲まれて、頼れる大人に見えるけど、僕と一緒にいる時のプロデューサーさんは、なんだか小さく見えて、弱そうで、柔らかそうで、可愛くて…
…だから何なんだろう。
自分のものにしたい、傷つけたい、食べてしまいたい、どれもそんな気もするし、違う気もした。
強くギュッと抱きしめると、少しは気がおさまる気がした。
P目線
かまれる
「…いたっ」
「…あ、」
そう思った時には大体もう遅い。
「…ごめんー」
「あ…いえいえ、ぜんぜん痛くないですから!」
嘘だ。結構痛い。ジンジンと噛まれた箇所が痛みを帯びる。
それでも笑ってみせるが、想楽さんの顔は暗いままだった。
想楽さんとは恋人同士になって結構経つ。一緒にいると部屋着や薄着でいることもあるけど、最近、想楽さんに身体を噛まれることが増えた。
この間は腕、耳、首、今度は肩。
大体、思わず痛いと声を上げると、いつも想楽さん自身も驚いた顔をして悲しそうに謝ってくる。
その顔を見ると、何で噛むの?とは聞けないでいた。それに、多分想楽さんもわからないんだろうと思った。
あとで絆創膏を貼っているが、この間は腕を捲った拍子にクリスさんに見られてしまい、なんとか誤魔化したが心配されてしまった。
雨彦さんみたいに勘のいい人に見つかったら、上手く誤魔化せないかもしれないなあ。
ぼんやりと他人事のように考えていた。
キスマークというわけでもなく、その後いい雰囲気になるかというとそういうわけでもなく。
はじめは痛いし、驚いたけど、だんだんとその行為の理由がなんとなくわかるような気がしていた。
私も、想楽さんがアイドルじゃなければ、やっていたかもしれないと思った。想楽さんはアイドルなので、絶対やらないけれど。
でも自分にされるならいくらでも良くなってきていた。
「想楽さん」
「……」
「本当に大丈夫なんですよ、気にしなくていいですからね。」
こう言われるの、嫌かなあ。
でも本当に、そういう、全てがないまぜになった感情を、想楽さんから向けられること、嫌じゃなくて。
「…大事にしたいのに。」
私の腕の中で想楽さんがつぶやいて、思わず口元が緩んだ。
ああ、本当に、私って、だめなんだろうな。