短いの
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彼を家に呼ぶのは何度目だろう。
私の家で一緒にくつろぐ彼を見て思考をめぐらせた。
もう何度も来てくれている。今後はいちいち何回目かなんて数えることもなくなっていくのだろうかとぼんやり思った。
はじめは彼の気持ちを疑って、若いからとか、一時的なものなのだろうかとか、そんな気持ちも徐々になくなっていた。
一緒に過ごしていてわかったことだが、彼は意外と素直な人だった。好きだとか、あれをしたいとかこれが欲しいとか、思ったことを言ってくれている感じがする。ひねくれてるなあと思うこともあるけど。からかわれることもあるけど。
私といる時の彼は確かに自然体な気もしたし、何より私を好きだということをまっすぐ伝えてくれることが嬉しかった。
「プロデューサーさん、クリスマスは一緒にケーキでも食べる?どんなケーキがいいー?」
「……」
「…プロデューサーさん?」
何気ない会話でも、伝わってくる。
そして、それは私にしては衝動的に動いていた。
「想楽さん…、あのっ…、ちょっと待ってください。」
「?急にどうしたのー?」
「えっと…どこにしまってあったっけ…えーと…あった。想楽さん、あの、これを…」
「なにー?…これ、鍵?」
私は奥にしまい込んでいた私の部屋のスペアキーを想楽さんに手渡した。
想楽さんが驚いた顔をしたので、衝動的に行動した私はハッと我に帰った。
いきなりこんなの、重たかったかもしれない。焦って言い訳する。
「あ、あの、すみません急に。いえ、必要ないかもしれないんですが…、いえ、私が、想楽さんに持っていて欲しいなと…思いたって…それで…。いえ!要らなければいいんですが!すみません、重たいかも…」
「いる」
「え?」
「いるよ、要る、…ありがとうー。なまえさん。」
想楽さんが本当に嬉しそうに笑ったので胸の奥が締め付けられた。
想楽さんは手のひらの鍵を見てぎゅっと握りしめると、私を抱きしめた。
「すっごい嬉しいー。」
「あ…よかったです。えっと…いつでも来てください。」
「ふふ、毎日来ちゃおうかなー。」
「…いいですよ。」
「ふふっいいのー?」
「はい、だから渡したんです。」
「ふふ…よかったー、僕ばっかり好きだと思ってたから。
…僕が思ってるより、なまえさん、僕のこと好きと思っていいー?」
「そう…です。」
「ふふ、やったー。」
嬉しそうな想楽さんを見て安心した反面、やっぱり今まで不安にさせてたのかなと思って申し訳なくなった。
「あの、私はこういう…想いを伝えるのが苦手な方です。相手から受け取っても信用するのも…苦手です。そのせいで、これからも想楽さんを困らせることもあるかと…。」
「固いなープロデューサーさんは。わかってるから大丈夫だよー。」
「う…でも、想楽さんの気持ちが伝わってくるので、それが嬉しかったので…私も頑張りたいなと…」
「えー、僕そんなに好きな気持ち滲み出ちゃってたかなー?」
「…もしかしたら、私がそうあって欲しいと思っているから、そう感じるのかもしれません。」
「ふふ、そうだから、そう思うんだよー。
…なまえさんも、なまえさんが思ってるより、僕がなまえさんのこと好きってこと、わかっておいてねー。」
「がん…ばります。」
頑張ろうと、本当に思って、頑張って想楽さんの目を見てみた。
また嬉しそうな顔をして私の頬に手を添えて見つめ返してくれるので、ダメな私は耐えられず目を逸らした。それでもふふっと笑っているのがわかってますます恥ずかしくなった。
「僕も頑張るよー。」
「いえ、想楽さんは頑張らなくていいです…!」
「えー、でもプロデューサーさんは疑り深いからなー。」
「もう伝わってますので…!」
「うん、これからも、もっと伝えたいんだー。」
そのままキスを落とされる。
「…ふふっ、頑張ってねー?」
真っ赤な顔の私にそう言った。もう私の気持ちなんか、この人には筒抜けなんじゃないかと感じた。