短いの
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「なまえさん」
名前を呼ばれた。私のことを名前でさん付けで呼ぶなんて誰だろう?
「僕だよー」
「え…想楽さん?」
「いつも名前で呼んでるでしょー、なまえさん」
「そ、そうでしたっけ…あれ…」
「どうしたのー?」
「なんだか…あの…ちょっと近くないですか…?」
「そうかなー?恋人同士なら当たり前じゃない?」
「…こっ?!え?!」
聞いていない。私はいつの間にプロデューサーという立場を超えて罪を犯してしまったのだろうか。
と、いうか、あれ?私…服着てなかったっけ?!まって、昨日の夜は…待って…え?!
「やだなー、忘れちゃったの?」
「いえ?!え?!」
「じゃあ、思い出させてあげないと…」
「待っ…!」
想楽さんの顔が近づいてきて目を閉じて叫んだ。
「ちょっと待って!!!!!」
「わっ」
「…えっ?」
飛び起きると心配そうに想楽さんが顔を覗き込んでいた。
「プロデューサーさん、大丈夫ー?」
「う、うわああああ!!!!!!」
「…失礼だなー」
「あっ!え!想楽さん?!ん?!ぎゃっ!」
「わっ…と、ちょっと本当に大丈夫ー?」
仮眠していた事務所のソファで飛び起きたら、心配そうに顔を覗き込む想楽さんがおり、さらに驚いた私は後退り。ソファから落ちそうなところを想楽さんが支えてくれた。
支えて………ち、近い!!!
「あ、あああありがとうございます!!!」
急いで起き上がりシュバっと想楽さんから離れた。
「いいえー。落ちなくてよかったよー。」
「は、はい、いえ、す、すみません…!」
「すごい叫んでたよー。どんな夢見てたの?」
「え?!…え?!夢?!夢ですか?!」
「何か怖い夢でも見てたんだ?」
「いえ、えっと…、」
聞かれて先ほどの夢の情景が再び頭に浮かんできて、自分の顔がどんどん赤くなっていくのがわかった。
「いえ…!何も…?!どんな夢だったかな?!はは…」
忘れたことにしてごまかしたが想楽さんは「ふーん…」と訝しげにこちらを見ている。
そりゃそうだ。こんな大声あげて慌てて動揺しておいて無理がある。
でも、でも、あ、あ、あんな夢を見るなんて…?!
欲求不満?!情緒不安定?!プロデューサー失格…!
とにかく本当最低だ…!
「お見苦しいところをお見せしてすみません…!えっと、えっと、私、打ち合わせが…!」
「うん、間に合うならよかったー。いってらっしゃいー。」
にこやかに手を振ってくれる想楽さんを背後に、泣きそうになりながら逃げるように部屋を後にした。
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「ま、まともに想楽さんと話せない…!」
私は1人デスクで頭を抱えた。
あの事件があってからというもの、1週間ぐらい経った。
…が、想楽さんを見ると勝手に夢のことを思い出しては、勝手に意識して、勝手に緊張して、勝手に上手く喋れなくなっているのだ。
めちゃくちゃわかりやすく避けてるみたいになってる…!
このままじゃだめだ、想楽さんに失礼なだけでなく、他のアイドルの皆さんにも不審に思われてしまう。
と思ってもいざ彼を目の前にすると…
今も、もやもやと、鮮明に夢の情景が思い出された。
「はあ…」
机に突っ伏して大きなため息をついた。
「ため息ついてどーしたのー?」
「!!!」
渦中の想楽さんの声が間近で聞こえて、勢いよく頭を上げると、
「いっっっ…」
「た〜〜…」
想楽さんの頭と私の頭が思いっきりぶつかってしまった。痛みに悶えていたがすぐハッとする。
「す、すみません!!大丈夫ですか!?怪我してないですか!?」
「いてて……でも、大丈夫大丈夫〜。プロデューサーさんも大丈夫?」
心配になり想楽さんの頭を見ていたら、ニコッと笑ってこっちを見てくれた。
「!!」
顔同士が近かったので思わず後ろに飛び退いた。そしてすぐ気づく。
…あ、また露骨に避けてしまったかも。
「ほ、本当にすみません、今救急箱を…」
「…大丈夫だから、ちょっと待ってー?」
慌てて取り繕い、救急箱を探しに行こうとしたが腕をガシッと掴まれた。
「プロデューサーさん、最近おかしくないー?僕のこと避けてる…よね?」
「!!」
想楽さんの顔が見れない。
冷や汗が流れる。
「気のせいかなーと思ったけど、ちょっともう気のせいとは思えないし、一時的でもないよねー?」
「え…と……」
「…僕何かしちゃったー?」
「!!いえ!!想楽さんは悪くありません!!」
「あー、やっとこっち見てくれたー」
バッと振り向いて否定すると悲しそうな笑顔をしていた。
私何してんだろうか、心配かけて、迷惑かけて、
「…本当にごめんなさい…」
「こんな風に聞き出したいわけじゃないんだけど、でも本当になんで避けられてるか理由が思い当たらなくてー。」
「すみません…全部私が悪いんです…」
本当に申し訳なくて居た堪れず顔が見られない。
「うーん、僕のこと好きになっちゃったとか?」
なんてね、と想楽さんが言い終わる前に、私は本人に言い当てられてしまい、あからさまに体がビクッと反応して顔を引き攣らせて真っ赤にしていただろう。
そんな私を見て想楽さんは目を丸くしている。
やばい、やばい、ばれた、まずい、
「…ごめんなさい!!」
「待って、待って、プロデューサーさん」
顔を隠して再び逃げ出そうとするが、想楽さんが掴んだ手は緩めてくれず叶わなかった。
「ごめんなさい…こんな…本当にすみません…プロデューサー失格です…」
「…そんなに謝らないでよー、嬉しいんだから」
「…え?」
「むしろ、そうじゃない理由で避けられてたらどうしよーって、困ってたよ。」
「………」
「好きな子に避けられて悲しかったんだよー?」
「…………………………え?」
「ふふ、僕もアイドル失格かなー?」
「えっ!いいえ!!想楽さんは最高のアイドルです!!」
思考が追いつかず放心状態だったが、思わず全力で答えた。
今度は本当に嬉しそうな笑顔が見えた。
「ふふー、プロデューサーさん…なまえさん、好きだよ」
私はまだ夢の中にいるようで目をつむった。
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「そういえばプロデューサーさん、あの時どんな夢見てたのー?」
「えっ…?!」
「だって、僕のこと避け始めたのあの時からでしょ?すっごく動揺してたし」
「えっ、えっと……あの…………その………………………………
…………………言えません………」
「えー、言えないような僕の夢見てたのー?」
「そっ…」
「…なまえさんのえっち」
「!!!!!!」
…私の反応を楽しんでいるようだ。