短いの
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ゆったりとした休日だった。
私の部屋で、想楽さんも私も部屋着のままだらだらとソファで並んで過ごしている。
こんな時間がずっと続くといいなと思う。
想楽さんは、九郎さんからいただいたというお茶を淹れてくれ、何か小説を読んでいるようだった。
私はファッション誌を読みながら時折想楽さんの横顔を眺めて、綺麗だなーと思いながら、美味しいお茶を飲んで過ごす幸せを噛み締めていた。
雑誌はもうクリスマス一色。クリスマス商戦に向けてアクセサリーなどが載っており華やかだった。
もうすぐクリスマスかー。
また、今年もXmasLiveはやるとして…どんな衣装がいいかな。以前のサンタ風の衣装もかわいいし、白のタキシードもかっこいいし…。
つい休日でも仕事のことを考えてしまう。想楽さんはなんでも着こなすんだろうな。
また横顔を眺めてニヤける。どんな衣装がいいか、本人を前に考える贅沢な時間。プロデューサーの特権だなー。
仕事のこともいいけど、クリスマスプレゼントも何か考えないとな…。どんなものが喜んでもらえるだろうか。雑誌になにかヒントが載っているかもしれない…。
パラパラとめくっていくと、着回しコーデのコーナーではいろいろな設定で服のコーデが紹介されていた。
年上の彼と大人のクリスマスディナーコーデ…年下の彼と楽しくクリスマスデートコーデ…
ふーん、と思いながらも、じっと観察した。年上の人とは大人っぽい格好がいいってこと…?年下の人とは可愛い系の格好がいいってこと…?
想楽さんは私より年下…だけど、そんな可愛い格好して、若作りしてると思われないかな…私っぽくないんじゃ…
でも並んで歩いたら姉弟と思われるよりはいいか…?
いやでも大人っぽい格好で大人っぽく見られたいという思いも…。
うーん。
想楽さんはどういう女の子の格好が好きとかあるのかな。
また横目でチラリと想楽さんを見ると、お茶を飲みながら小説に集中しているようだった。
…格好いい…何もしてないのに…部屋着なのに…。こんな人の隣に、一体何を着て並べばいいんだろうか。
…別に出かける予定、ないけど。
それに外ではあんまり目立ってファンにバレちゃっても大変だし。
でも、クリスマスだからどこかに誘おうかな…?うーん…だったらどこに行くのがいいのか…
さらにわからなくなって悩みつつも、雑誌のページをめくっていく。
次の特集は下着だった。
……すっご………。
赤とかすっご…。クリスマスだから…?ヒモみたいなのがついたセクシーなものも多い。
現在、なんの装飾も一切ないノンワイヤーのスポーツブラのようなものを着けている私にとっては、縁がなさすぎてポカーンとしてしまった。
そして、危機感も覚えた。女としてこれでいいんだろうか。
そ、想楽さんは…こういうの好きかな…?
恐る恐るまたチラ見すると今度は目が合った。
「!!」
「さっきからチラチラ見てきて何ー?」
「え!!気づいてたんですか?!」
「そりゃあ、あんなに熱い視線向けられちゃったらねー。」
「え…と…見てただけです!すみません!」
「ふーん。…プロデューサーさんは何読んでるのー?」
想楽さんに雑誌を覗き込まれそうになって、バン!!!!と雑誌を閉じた。
「…なんで隠すのー?」
「い、いえ、ただのファッション誌です。」
「じゃ、見せてー。」
「あっ」
一瞬のうちにバッと雑誌を奪われて想楽さんはページをパラパラめくっていく。
「んー…何か買ってほしいものでも載ってたー?」
「え?!想楽さんに?!」
「クリスマスでしょー。プレゼントあげるよー。」
「何言ってるんですか!いいですいいです!学生で生活費も稼いでる想楽さんからいただくわけにはいきません!」
「…嘘でしょー?恋人なんだから当然あげたいよー。」
「いえ!ダメです!お兄さんに生活費渡してるのも、アイドルのお給料だって多くないことも私知っちゃってますから…!」
「…でもプロデューサーさんは何かくれる気でしょー?不公平じゃないー?」
「う………。じゃ、じゃあ、何かお金のかからない、物じゃないものをいただけますか?それなら、受け取りたいと思います。」
「物じゃないもの?変な日本語ー。」
「え、えーと…。物じゃなくて…どこか行きたい場所に連れてってくれるとか。」
雑誌を眺めながら、私の発言を聞いて想楽さんがフッと笑った。
「デートしたいならそう言えばー?」
「!?!?い、いえ…!?そういうわけでは…!?」
「えー?プロデューサーさんは行きたくないのー?」
「…………行きたい……です……。」
「まー、もともとどこか行こうとは考えてたからねー。じゃあご要望どおりどこかに連れてってあげるから楽しみにしててねー。」
「は、はい………。」
……想楽さんと話していると、自分がすごく頭悪い気がしてくる。なぜだか。
想楽さんはフフフと笑いながら雑誌を眺めている。
「うわー、この下着すごいねー。」
「!!!!」
「…あー、これ見てたんだー。」
想楽さんの発言にびくっとした私を見て想楽さんの口角がニヤリと上がった。
私って…わかりやすすぎ…馬鹿…?
「これ見て…僕のこと見てたのー?何考えてたのかなー。」
「い、いえ…あの………えっと……」
「…これ買ってあげよっかー?」
「は?!?!?!い、いりませんよ!!!」
しどろもどろになる私を見て、フッと笑って想楽さんが近づいてくる。そして私にそっと耳打ちした。
「何つけてても可愛いから大丈夫だよー。」
「!!!」
「ね」
とん、と私の鎖骨の下辺りを指差してつついた。
「〜〜〜!!!!」
「ふふー。なんてねー。」
「も、もう…!!からかわないでください!!」
「えー?僕にからかわれるの好きなくせに」
「はっ……」
怒りたいのに口をパクパクさせるだけになってしまった私を見てまた嬉しそうに想楽さんは笑う。
「それに、からかってるけど、言ってることは本当だよー。」
「う…うそばっか…」
「えー、本当なのにー。」
想楽さんは私の肩に頭をのせてくっついてきた。
私はもう恥ずかしくて仕方ない。
「本当に可愛いと思ってるよー。」
「………」
「あー、また照れて黙っちゃったー。」
「う…わ、私だって、想楽さんのことめちゃくちゃかっこいいと思ってますから!」
「…ふふ、見とれてくれてたもんねー?」
「う、うう…」
全然勝てない…!
きっと、私が想楽さんのこと好きすぎるから、もう勝つのは無理なんだろうとわかってはいた。勝敗とかではないんだけども。
…今度出かける時に着て行く服は、やっぱり大人っぽい格好にしよう。
想楽さんは着回しコーデのページを眺めながら、また見透かしたように、
「デートの時は何着てきてくれるのかなー。」
と言っていてまた私は渋い表情になり口をつぐんだ。
でも、これが悪くないと思っている私がいると、気づかないふりをまだしていたい。