短いの
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まさに今、想楽さんと、私。
ベッドの上で向き合って座っている私たち。
“そういうこと”になろうとしていた。
え?まって、そういうこと?って?なに?
いや、わかってる、わかってるからやばい
まって、心臓の音はやい
好きな人と、そういうことまでになれて、嬉しい気持ちと、それを上回る恥ずかしさ、緊張が私の脳内を占めてグルグルしていた。
服に手をかけられてそんな思いもピークに達しようという時、ふとグッと私の肩を掴む手の力が強くなった。
一瞬だけ、想楽さんの、余裕のなさそうな顔が見えた気がする。
次の瞬間強く抱きしめられていた。
苦しいくらい強く、顔を私の肩に埋めて、もう想楽さんの表情を見ることはできなかった。
…表情は見れないけど、想楽さんの心臓の音が伝わってきた。
私より早いかもしれない。
混乱していると、想楽さんが口を開いた。
「…ごめんー…。今顔見せられない…」
「…えっと…、」
「ごめん…どうしたらいいかわからなくてー…いや、そうじゃなくって……、あーダメだ、カッコわるー」
肩越しに、想楽さんがフッと自嘲気味に息を吐いたのがわかった。
こんな想楽さん初めて見る。
カッコ悪くなんてないと言おうとしたが、初めて見せてくれる姿に嬉しくなり何も言えなくなってしまい、首をふるふると振るだけしかできなかった。
「…ちょっと喋っていいー?」
必死に頷くと、強く私を抱きしめたまま、想楽さんは話し始める。表情を見ることはできない。
「…プロデューサーさんはさー、今まで恋人いた事あったでしょー?」
「へっ?」
「まあ、プロデューサーさんは僕より歳上だし、可愛いし、いたんだろうなーと思ってはいたんだけど、わかってはいたつもりなんだけど…、」
突然、予想もしていなかった質問をされ変な声を出してしまった。ろくな返事もする前に想楽さんは話し続ける。
な、なんの話?
「いざプロデューサーさん本人を前にして、こういうことをしようとした時に…、思っちゃったんだー。今までの男と比べられたくないなーって。」
「そっ…」
「それは、勝手に思っちゃった僕が悪いからー。…でも、だから、プロデューサーさんを、今まで経験した事ないくらい1番気持ち良くさせたい、ものすごく…すっごく1番、優しく優しくしてあげたいって思ってるのー。」
何か言おうとして口を開けたが、…そんなことを思っていたなんて、そんなこと今からしようとしていたなんて、と考えてしまい、私の口からは息も出なくなり固まった。
「…でも、今までにどんな風にされてきたんだろうと思っちゃったら、…勝手にものすごい腹が立って、優しくしたいと思ってるのに、他のやつを忘れるくらい激しく痛くして、僕のこと…なまえさんに刻みつけたいって思っちゃった…」
強く抱きしめられた腕の力がもっと強くなったように感じた。
今までに、こんな、感情剥き出しの彼を見たことがあっただろうか。
「両方の気持ちがどっちもあって、やっと…やっとなのに、いざって時なのに、正反対の気持ちが頭の中でごちゃごちゃになっちゃって、どっちの気持ちに従えばいいかわかんなくなっちゃったー…。」
「………私は、」
こんな姿を見せてもらえて、隠していた感情を目の当たりにして、そんな彼を見せられたら、胸の奥がきゅうっとなった。
今まで抱きしめられ、次々と溢れ出てくる想楽さん思いに圧倒されて、硬直していたが、やっと私は口を開いた。
顔が見たい。もっと見せて欲しい。
力の入った肩にそっと手を置いて少し離し、想楽さんの頬に触れた。
「…私は、どっちの想楽さんも好きです」
「…っ、」
気がつくと視界が反転し、想楽さんの背景は天井になっていた。
「プロデューサーさんが…っ悪いから…」
彼の表情にまた、胸の奥が締め付けられてきゅんとなった。
「私が全部、悪いですから。全部私のせいにしてください。」
これは心の底から思っていたことなので、必死に訴えたが、もう何も言うなと言うように唇を塞がれ、その通り私は何も言えなくなった。