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私は小十郎さんが好きだ。
どうしようもなく好きだ。
だから、小十郎さんと少しでもお近づきになりたい。
どうしてもお近づきになりたいんだ…!
「で、こんなことやってんのか…」
「そうだよ。邪魔しないでね伊達君、私は至って真剣なんだ!」
そう、これは使命。神から与えられし高尚なる任務。
そして私は恋のスナイパー。狙った獲物を逃すなんて、私の股間に関わるんだ。
「股間じゃなくて沽券な。」
「伊達君うるさい。」
「お前、そんなんだから小十郎に邪険にされるんだぞ。」
「……」
「聞いてんのか!」
ああもう伊達君うるさいなぁ!
少しでいいから静かにしてくれないかなぁお陰で小十郎さんの独り言聞きそびれちゃったじゃないか!
小十郎さんの独り言とかどんだけレアだと思ってんだお前は!
「知るか。大体、てめぇは人んちで何やってんだ。」
「ん?何って…」
伊達君の言葉に、今の自分の格好を改めて見下ろしてみる。
…右手にスマホ。首から下げるは一眼レフ。左手に録音用高性能マイク。もちろんすべて防水加工済みである。ポケットを探れば、大量のバッテリー(カメラのものだ)が用意してある。
「…小十郎さんの入浴シーンをちょこっとカメラに収めようと…」
「Stupid girl! だからてめぇは馬鹿だ馬鹿だって言われるんだよ。小十郎に相手にされてぇならまずはその短絡的な脳みそをどうにかしたらどうだ?」
You see? だって!
どんだけ人を馬鹿にしてるんだこいつぁ…!!
「う、うるさいなぁ!伊達君に関係ないでショ!」
「ざっけんな大アリだ!!小十郎は俺の家族だぞ!」
「そ、そうだけど…!そうだけど、それとこれとは関係ないもんね!」
「馬鹿!あるに決まってんだろうが!」
ぎゃいのぎゃいの
互いの胸ぐらをつかみ合い、はたき、蹴り、肩パンし、ここが風呂場のだだっ広い脱衣場だということも忘れ二人して地味な争いを繰り広げていた。
こうなると最早意地だ。
「死んねぇええこの伊達男ぉおおお!!いっつもいっつも私と小十郎さんの仲邪魔しくさってからにぃいい…!」
「るせぇええ勘違いもいい加減にしろよこんのパッパラパー!!いつもいつもひとんち家宅侵入しやがって警察に突き出すぞ馬鹿野郎!!」
「こんの年中発情期!!」
「ファッ●!!アバズレ!!」
「眼帯男!!」
「サノバビッチ!!」
「うるせぇええええええ!!!!!」
バッシャーン
「「ギャアアアアアアア!!!」」
風呂場と脱衣所を繋ぐ曇り戸がスパーンと勢いよく開かれた。と思ったら、湯煙の向こうから突如として大量の熱湯を浴びせられ、私と伊達君は思わず悲鳴に近い絶叫をあげてしまった。
「てめぇら…」
「「 !!? 」」
ユラリ、霞がかった風呂場の向こうから姿を現したのはいつもよか若干ご機嫌斜めの小十郎さんその人であり…。(あ、もちろん腰にはタオルを巻いているよ。)
…なんか、なんかヤバい。なんかこれは凄くヤバい気がする。
「どうやら痛い目みねぇと分からねぇらしいな……」
ズゴゴゴゴゴ…
小十郎さんの背後に、禍々しいどす黒いオーラを見たような気がした。
2011.7.21
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「だ、伊達君巻き添え…プッ」
「るせぇ!てめぇが言えた義理じゃねぇだろ!!」
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