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言峰綺礼という男について話をしよう。
彼は神に仕える敬虔な信者である。同時に、教会の意に反する背徳行為をしでかした異端者に、それ相応の罰を与えることを使命とする、いわゆる『代行者』の肩書きを持つ教会の重要人物だ。言峰璃正、綺礼父子と聞いて思い当たる方もいるかもしれない。かつて血で血を洗う壮絶な死闘が繰り広げられた第四次聖杯戦争で、教会の人間という立場にありながら、異例ではあるがアサシンのマスターとして戦いに参加し、魔術師界きっての大貴族・遠坂時臣師を勝利へ導かんと影で暗躍した。歪んだ己が本質を見極めんがため、最終的には随従していた師さえをも手に掛けたという話は、一部の人間と一部のサーバントを除いて知る者は少ない。
一般的な基礎教養はもちろんのこと、魔術・体術・その他ありとあらゆる殺人術をたたき込まれた彼に一度目を付けられれば最後、その息耐えるまでどこまででも逃げ回ることとなる。この世のどこにも安住の地はないと言っていい。
「心外だな。」
ふ、と息を吐くように笑みをこぼすと、言峰はソファの上で組んでいた足を解いた。
「いやはやずいぶんな言い様だよ。実に心外だ。」
「…あんたなんか、わたしのマスターじゃなかったらすぐにでも殺してるところだ。」
「おっと、それは怖い。」
「あんたみたいな性格破綻者、あの殺人狂いの気違いキャスターにでもやられてさっさと死んでしまえば良かったのに。」
「ほう?だがその時はお前が私を助けてくれる。」
「っだれが」
「違うか?」
右手の甲に浮かび上がる令呪を左手でわざとらしくなぞり、にやりと音が付きそうなほど厭らしい笑みで奴が笑えばわたしの中の感情の沸点は一気に急下降する。ぐつぐつと煮えたぎる怒りのマグマをなんとか鎮めつつ、全ての感情を押し殺しありったけの嫌みを込めて死ねと一言吐き捨て、吐き捨ててから嗚呼、またやってしまったのだと気が付く。言葉の選択を誤ったのは明白だ。
「褒め言葉として受け取ろう。」
奴の笑みがさらに深まるのを見、湧き上がる嫌悪感そのままに舌打った。
奴の愉悦とやらはいつだって理解に苦しむ。理解したいとも思わないが。
***
いつか続きを書けたら、いいネ…(:3っ )つ
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