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※会話文のみです
「例えば、」
「うん?」
「仮に、地球上に僕とあなた、たった二人を残して人類が滅亡してしまったとしたら。」
「うん。」
「果たして、そこに道徳というものは存在し得るのでしょうか。」
「さあ…そんな難しいこと言われても、ちーとも分からないよ。」
「難しくなんかありませんよ。」
「難しいよ…」
「…いいです、分かりましたじゃあこうしましょう。」
彼は言う。
「地球上に、僕とあなたしかいない。」
「うんうん。」
「僕は飢えている。そしてあなたも。」
「…うん。」
「愛はあります。ただ僕のは少し…、」
「……違うの?」
「愛することと、食べることが、僕の中では同じ意味を持つかもしれない。」
「……それってつまり?」
「カニバリズム」
「…げえっ!」
「勿論、もしもの話です。果たしてあなたを食してしまった時に、僕はきちんと罪悪感に浸ることができるのか、そこが甚だ疑わしいところなんですよ。」
「い、嫌だよ私、食べられちゃうのは。」
「しかし咎める者もいない、その上僕が罪の意識を持っていないとなったらあなたを戴くのに何が悪いことがありますか?」
「だから私が嫌だよ!全力で咎めるよ!」
「…こう考えると道徳なんてものは一切存在しないのかもしれませんね。」
「……取り敢えず、私の意見が尊重されることはないんだね。」
僕の星
2009.03.07
「例えば、」
「うん?」
「仮に、地球上に僕とあなた、たった二人を残して人類が滅亡してしまったとしたら。」
「うん。」
「果たして、そこに道徳というものは存在し得るのでしょうか。」
「さあ…そんな難しいこと言われても、ちーとも分からないよ。」
「難しくなんかありませんよ。」
「難しいよ…」
「…いいです、分かりましたじゃあこうしましょう。」
彼は言う。
「地球上に、僕とあなたしかいない。」
「うんうん。」
「僕は飢えている。そしてあなたも。」
「…うん。」
「愛はあります。ただ僕のは少し…、」
「……違うの?」
「愛することと、食べることが、僕の中では同じ意味を持つかもしれない。」
「……それってつまり?」
「カニバリズム」
「…げえっ!」
「勿論、もしもの話です。果たしてあなたを食してしまった時に、僕はきちんと罪悪感に浸ることができるのか、そこが甚だ疑わしいところなんですよ。」
「い、嫌だよ私、食べられちゃうのは。」
「しかし咎める者もいない、その上僕が罪の意識を持っていないとなったらあなたを戴くのに何が悪いことがありますか?」
「だから私が嫌だよ!全力で咎めるよ!」
「…こう考えると道徳なんてものは一切存在しないのかもしれませんね。」
「……取り敢えず、私の意見が尊重されることはないんだね。」
僕の星
2009.03.07
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