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文月二十日 (晴れ) 今日はこじゅと畑へ行きました。 きゅうりとなすとしそをとりました。 こじゅがとても楽しそうだったので、わたしも嬉しかったです。お城へ帰る途中、きゅうりを一本齧ったら、とても怒られました。すごく怖かったです。 蝉が沢山鳴いていました。また来たいです。 |
文月 二十二日 (雨) 今日は雨が沢山降っていました。 お庭の鯉が池から溢れていて可哀想だったので助けようとしたら、滑って池に落ちてしまいました。そうしたら、こじゅがすんごい顔して助けに来てくれました。 大丈夫だよって言ったけど、本当はすごく怖かったので、こじゅが助けに来てくれて嬉しかったです。 怒られたけど、嬉しかったです。 ありがとうこじゅ。 |
文月 二十四日 (晴れ) 昨日、怖い夢をみました。 こじゅが死んでしまいました。鳥肌が止まりませんでした。 眠れなくなったので、こじゅのお部屋にお邪魔しました。こじゅは生きていました。 入れて、と言ったら最初は嫌がっていたけど、こじゅはお布団を半分空けてくれました。お布団はこじゅのにおいがしました。背中に引っ付いたらちゃんとこじゅの心臓の音が聞こえました。眠れないと言ったら、無理やり目を掌で覆われました。泣いていたのがばれなければいいいなぁと思いました。あったかくて気持ち良くて、すぐにぐっすり眠れました。 こじゅが生きていてくれて本当に良かったです。 |
文月 二十五日 (晴れ) 今日は、政宗様と近くの川へ遊びに行きました。 来る途中、こじゅの畑から取ってきた西瓜を川のお水で冷やして食べました。甘くてとても美味しかったです。 水切りをして遊びました。政宗様はとてもうまかったです。 川に入って遊んでいたら、こじゅが来ました。馬から飛び降りて、ガミガミ怒りながら近づいてきました。そうしたら政宗様が、小十郎に水かけてやれと小さな声で言ってきたので、言われたとおりに水をかけました。こじゅが余計に怒ってしまいました。 さらに政宗様がこじゅに思いっきり水をかけました。こじゅに完全にすいっちが入ってしまいました。 こじゅのマジギレは本当に怖かったです。 |
文月 二十七日 (曇り) 今日は、こじゅが忙しかったので、お初さんと一緒に遊びました。 あやとりを教えてもらいました。 お初さんは、お城の女中さんです。お初さんはここよりもっと北の方で生まれたんだそうです。今は故郷のお母さんに送るお金が欲しくてここで暮らしているそうです。 初めてお話ししたけど、お初さんは物知りで、とても優しかったです。明日も遊ぶ約束をしました。楽しみです。 早く明日にならないかなぁ。 |
文月 二十九日 (晴れ) 今日は、お初さんのお部屋へ遊びに行きました。 お初さんに、一緒に遊ぼうと言ったら、いいよと笑って部屋に入れてくれました。 お初さんは、『なまえちゃん、なまえちゃん』って頭を撫でてくれます。 本当のお姉さんができたみたいで、すごくすごく嬉しいです。 お初さんのお化粧道具を借りて、ちょっとお化粧をしてもらいました。 『とっても素敵よ』って、お初さんが褒めてくれました。 こじゅに見せたら、なんて言うかな。 |
文月三十日 (晴れ) 昨日はお初さんと遊びました。 今日もお初さんと遊びました。 こじゅに、最近どこで遊んでいるのかって聞かれたけど、嘘を吐いてしまいました。 お初さんが、二人だけの秘密ねって言っていたから、内緒にしました。 二人だけの秘密はすごく嬉しいんだけど、すごく胸がもやもやします。 こじゅに、嘘を吐いてしまいました。 ごめんね、こじゅ。 |
葉月一日 (晴れ) お初さんは何でも知っています。 あの葉っぱはお薬になるとか、あの実はすっぱいからあんまり食べないほうがいいとか、このきのこは絶対に食べちゃダメよ、とか。 お歌も沢山知っています。踊りも沢山知っています。 お金がどうしても要り様で、沢山沢山お勉強したのだそうです。 お初さんといると、本当に楽しいです。 これでこじゅと政宗様もいれば、ばっちりなんだけどな。 |
葉月五日 (晴れ) 今日も、いつもの場所でお初さんと遊びました。ずっと二人で世話をしていた犬が、赤ちゃんを産みました。黒いのが三匹、白黒が二匹、白が一匹です。まだ目が開いていません。すごくかわいいです。お初さんに、こじゅもここに連れてきていいか、と聞いたら駄目だ、と言われてしまいました。お初さんはもしかしたら、あまりこじゅのことが好きじゃないのかもしれません。どうしたら、お初さんにこじゅのことを好きになってもらえるんだろう。 |
葉月八日 (晴れ) 今日、お初さんと遊んだ時にお約束をしました。 明日、二人でお城の外へ遊びに行くことになりました。 本当は、こじゅから、お城の外へ出ては駄目だって言われているんだけど、そう言ったらお初さんは、「片倉様も後で来るから大丈夫よ」、と教えてくれました。お初さんとこじゅはいつの間に仲良くなったんだろう。こじゅには明日まで内緒にしておきたいそうなので、黙っていようと思います。こじゅとわたしとお初さんの三人でお出かけです。明日がとっても楽しみです。 |
葉月九日 (晴れのち曇り) 今日は、なんだか不思議な一日でした。 お初さんと待ち合わせをした、いつも二人で遊んでいた小さい蔵の裏に行ったら、なぜかお初さんはいませんでした。代わりに、内緒にしていたはずなのに、すごく怖い顔をしたこじゅが腕を組んで立っていました。 どうしたの、と聞いたら、こじゅは、なんでもねぇと言いました。だけど、なんでもないわけないと思いました。 怒ってるの、と聞いたら、少しな、とまた怖い顔をしました。 だから、この間嘘を吐いたことをちゃんと謝ろうと思いました。 ずっともやもやしていたから、今度はちゃんと本当のことを言いました。 こじゅは、ずっと黙って聞いていてくれました。ごめんなさいをしたら、もういいと言って頭をなでてくれました。 お初さんのことを聞こうとしたのだけれど、こじゅの顔を見たら、なんだかうまく聞けませんでした。お初さんはどこに行ってしまったんだろう。また遊んでくれると嬉しいなと思いました。 久しぶりに繋いだこじゅの手は、すごくあたたかかったです。 |
葉月十日 (雨) 昨日、お初さんの部屋へ行ったら何もありませんでした。 お初さんの着物も、お初さんのお化粧台も全部なくなっていました。お部屋の真ん中でぼんやりしていたら、いつの間にか後ろにこじゅが立っていました。お初さんはどこへ行ったの、と聞いたらお国に帰ってしまったのだと教えてくれました。どうしてもやらなくてはいけないことに失敗して、昨日、お城を出て行ってしまったそうです。 どうしてもやらなくてはいけないことってなんだったんだろう、とこじゅに聞いたら、お前は知らなくていいと言われてしまいました。大人ってずるいなぁと思いました。 |
葉月十一日 (曇り) 今日、お城の女中さんが、井戸のそばで水を汲みながらこんなお話をしていました。 「結局、あの子、松永のところの忍だったのよね。」 「まさかねぇ、あの子がねぇ…」 「でも、事が起こる前に見つかって良かったわ。なまえ様も無事で。」 「そこは、ほら。片倉様が目を光らせていらっしゃるし。」 「それもそうね。」 どうしてもこじゅに会いたくなったのでこじゅの所へ行きました。こじゅはお仕事をしていました。お部屋へは、なんだか怖くて入れませんでした。 障子のところから、こじゅに、お初さんは悪い人じゃないよ、と言いました。 こじゅは何も言いませんでした。 だから、今度は、お初さんは悪い人じゃないよね? 病気のお母さんの看病しにおうちへ帰ったんだよね? と聞きました。こじゅはやっぱり何も言いませんでした。ただこっちを向いて、自分の膝をたたきました。だからわたしは、こじゅのところまで走っていって、膝に乗っかって思い切りこじゅにしがみつきました。こじゅ、ちがうよ、お初さんは悪い人じゃないよ、一緒に遊んでくれたよあやとりおしえてくれたよおてだまつくってくれたんだよ。 だけど、あの日、約束してたのに来てくれなかったね。代わりにこじゅがいたよ。そういうことなのかな。 |
2011.4.24
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