やきもち
「それにさー」
「……うん」
「俺がさくらに飽きるとかありえなくね」
また、一瞬顔が熱くなってしまったけど。
……気のせい気のせい。
「そ、そんなの……わかんないじゃん」
「じゃあ、さくらは俺に飽きるのかよ?」
「それは絶対ない!」
愚問だなぁと思いながら勢いよく答えてしまったことに恥ずかしさを感じているあたしに大野くんは笑いかける。
「だろ? それと同じだよ」
「あ……、そ、そっか」
あたしは変に納得してしまう。
だって、あたしが大野くんを好きじゃなくなるとか、ありえないし!
「ん、じゃあ帰るかー」
「うん! あー、なんか安心したらお腹空いてきたー」
「相変わらず食い意地張ってんなー」
「な、なにさっ! いいでしょ別に!」
あたしがぷんすこ怒っていると、大野くんは笑いながら「さくらは飽きねーなぁ」なんて言う。
「じゃあ、なんかおごってやるよ」
「えっ!?珍しい……」
「不安にさせたお詫び。何がいい?」
ポンポン、と頭を叩かれて押し黙ってしまう。
……ずるい。
そんなの、あまりにかっこよすぎる。
「……アイス」
「バカ。今冬だぞ?」
「冗談だよ!じゃあー、駄菓子!」
「ははっ、相変わらず年寄りくせー」
その言葉に「なにさ」って怒りながら、笑ってしまう。
やっぱりあたしの隣は大野くんじゃなきゃ。
大野くんの隣はあたしじゃなきゃ。
……嫌だな。
*END
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