一章
夢小説設定
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あれから結局私は埼玉のおばさん達に引き取られ、涼介くんとの約束もハンカチも返せないまま大人になった。
中学生の頃、テレビで流れたHey! Say! JUMPというアイドルグループの中に山田涼介というあの時の男の子と同じ名前を見つけ、その時初めて彼がサッカーではなくアイドルの道へ進んだ事を知った。
大人になり、私はあの時彼に語った通り教師の道へ進む事ができた。去年から私は都心に近いある公立中学に国語教師として勤務し、両親が亡くなってから初めて東京で一人暮らす事になった。
「……ふふ、いい歌だな」
あの時の彼がアイドルになったと知ってから、私はずっと彼のいるグループや彼がソロで出したCDを全て買っていた。だから私のスマホにもHey! Say! JUMPの曲がたくさん入っている。
学生の時からずっとそうだが、それを通勤や退勤の途中で聴くのが私の日課だ。とは言えまだコンサートには行った事がない。行きたい気持ちはもちろんあるけど、何だか恥ずかしんだよね……。
「さてと。行こうかな」
今日は日曜日で仕事は休みだ。だけど休みでも教師はやる事がたくさんある。今日はテスト問題の作成だ。家でやるとどうしても甘えが出てしまう為、いつも私は態々渋谷駅の裏路地にある小さな喫茶店を借りている。
人でいつもごった返している渋谷にも関わらず、その喫茶店は休日でも客足は落ち着いていて、とても過ごしやすい。店主も凄く優しくて「いくらでも居ていいよ」と言ってくれる。だからその店は私の行き付けなのだ。
今日もいつもの席に座り作業をしようと思ったのだが、いつも座っている窓際の席には既に先客がいた。その為、私は渋々その隣の席に座り、準備を始めた。
「……」
隣の席の人、やたらと雰囲気があるな。良くないと思いつつ、思わず目がいってしまう。横から見ても鼻立ちとか、輪郭とか凄く綺麗で……。珈琲を飲む手つきも、凄くお洒落だ。
だがピアスの形といい、どこかで見た事があるような雰囲気を醸し出している。いや、それだけじゃない。一般人とは違うオーラさえ感じる。一体……誰なんだろう。
「……あれ?」
ない。メモ用紙はあるのに、ペンがない。家を出る時には確かに入れたはずなのに。
「……もしかしてこれですか?」
鞄を漁っていると、隣にいた人が探していた私のペンを手渡してくれた。どうやら気付かない間に落としてしまっていたようだ。
「ありがとうございま……え?」
*
あれから結局私は埼玉のおばさん達に引き取られ、涼介くんとの約束もハンカチも返せないまま大人になった。
中学生の頃、テレビで流れたHey! Say! JUMPというアイドルグループの中に山田涼介というあの時の男の子と同じ名前を見つけ、その時初めて彼がサッカーではなくアイドルの道へ進んだ事を知った。
大人になり、私はあの時彼に語った通り教師の道へ進む事ができた。去年から私は都心に近いある公立中学に国語教師として勤務し、両親が亡くなってから初めて東京で一人暮らす事になった。
「……ふふ、いい歌だな」
あの時の彼がアイドルになったと知ってから、私はずっと彼のいるグループや彼がソロで出したCDを全て買っていた。だから私のスマホにもHey! Say! JUMPの曲がたくさん入っている。
学生の時からずっとそうだが、それを通勤や退勤の途中で聴くのが私の日課だ。とは言えまだコンサートには行った事がない。行きたい気持ちはもちろんあるけど、何だか恥ずかしんだよね……。
「さてと。行こうかな」
今日は日曜日で仕事は休みだ。だけど休みでも教師はやる事がたくさんある。今日はテスト問題の作成だ。家でやるとどうしても甘えが出てしまう為、いつも私は態々渋谷駅の裏路地にある小さな喫茶店を借りている。
人でいつもごった返している渋谷にも関わらず、その喫茶店は休日でも客足は落ち着いていて、とても過ごしやすい。店主も凄く優しくて「いくらでも居ていいよ」と言ってくれる。だからその店は私の行き付けなのだ。
今日もいつもの席に座り作業をしようと思ったのだが、いつも座っている窓際の席には既に先客がいた。その為、私は渋々その隣の席に座り、準備を始めた。
「……」
隣の席の人、やたらと雰囲気があるな。良くないと思いつつ、思わず目がいってしまう。横から見ても鼻立ちとか、輪郭とか凄く綺麗で……。珈琲を飲む手つきも、凄くお洒落だ。
だがピアスの形といい、どこかで見た事があるような雰囲気を醸し出している。いや、それだけじゃない。一般人とは違うオーラさえ感じる。一体……誰なんだろう。
「……あれ?」
ない。メモ用紙はあるのに、ペンがない。家を出る時には確かに入れたはずなのに。
「……もしかしてこれですか?」
鞄を漁っていると、隣にいた人が探していた私のペンを手渡してくれた。どうやら気付かない間に落としてしまっていたようだ。
「ありがとうございま……え?」
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