一章
夢小説設定
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おかしいな。夜になったのに、お父さんもお母さんも帰ってこない。あれから無事家に帰れた私は、涼介くんから預かったハンカチをテーブルの上に置き、テレビを見ながら両親の帰りを待った。
いつもなら17時半を過ぎれば必ずどちらかが帰って来てくれるし、今日は確か2人とも早く帰れると言っていたのに。20時を過ぎようとしていても誰かが来る気配がない。
「お腹……空いたな」
冷蔵庫に入れてあったお菓子を手に取り、それを食べた。テレビの音と私の咀嚼する音だけがリビングに響いていて、段々と怖くなって来た頃。家のインターホンが鳴った。
帰ってきた!そう思い、お菓子をテーブルに置いた私はすぐさま玄関へ向かい、扉を開けた。だけどそこに立っていたのはお父さんでもお母さんでもなく、親戚のおばさん達と祖父母だった。
「お母さんは?」
大人達の今にも壊れそうな痛々しい表情。途端に沸いてきた嫌な予感で胸がザワついた私は、思わずそう尋ねた。
すると、それを聞いたおばさんとおばあちゃんは突然泣き出した。その涙が只事では無い事を幼いながらも感じ取ってしまった私は、段々と自分の体の中から血の気が引いていくのを感じた。
「お母さんとお父さんは交通事故に遭ってしまった」
おじいちゃんが代表して私にそう告げてきたが、私はおじいちゃんが何を言っているのかよく分からなかった。
交通事故?交通事故って何だっけ。たまにテレビでやっているし、お母さんにもしつこく教わっていたけど、何故かその時はその意味が分からなかった。
その後、私はよく分からないまま両親の火葬、通夜、葬式に立ち会った。涙一つ流さず呆然としたままの私を「薄情だ」などと言う人もいたが、その人達におじさんが怒鳴りつけてくれていた。
後日おばさんから聞いた話だと、お父さんとお母さんが骨になって出てきた時、私はたった一言呟いたらしい。
「ハンカチ、洗ってほしかったのに」と。
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おかしいな。夜になったのに、お父さんもお母さんも帰ってこない。あれから無事家に帰れた私は、涼介くんから預かったハンカチをテーブルの上に置き、テレビを見ながら両親の帰りを待った。
いつもなら17時半を過ぎれば必ずどちらかが帰って来てくれるし、今日は確か2人とも早く帰れると言っていたのに。20時を過ぎようとしていても誰かが来る気配がない。
「お腹……空いたな」
冷蔵庫に入れてあったお菓子を手に取り、それを食べた。テレビの音と私の咀嚼する音だけがリビングに響いていて、段々と怖くなって来た頃。家のインターホンが鳴った。
帰ってきた!そう思い、お菓子をテーブルに置いた私はすぐさま玄関へ向かい、扉を開けた。だけどそこに立っていたのはお父さんでもお母さんでもなく、親戚のおばさん達と祖父母だった。
「お母さんは?」
大人達の今にも壊れそうな痛々しい表情。途端に沸いてきた嫌な予感で胸がザワついた私は、思わずそう尋ねた。
すると、それを聞いたおばさんとおばあちゃんは突然泣き出した。その涙が只事では無い事を幼いながらも感じ取ってしまった私は、段々と自分の体の中から血の気が引いていくのを感じた。
「お母さんとお父さんは交通事故に遭ってしまった」
おじいちゃんが代表して私にそう告げてきたが、私はおじいちゃんが何を言っているのかよく分からなかった。
交通事故?交通事故って何だっけ。たまにテレビでやっているし、お母さんにもしつこく教わっていたけど、何故かその時はその意味が分からなかった。
その後、私はよく分からないまま両親の火葬、通夜、葬式に立ち会った。涙一つ流さず呆然としたままの私を「薄情だ」などと言う人もいたが、その人達におじさんが怒鳴りつけてくれていた。
後日おばさんから聞いた話だと、お父さんとお母さんが骨になって出てきた時、私はたった一言呟いたらしい。
「ハンカチ、洗ってほしかったのに」と。
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