一章
夢小説設定
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*
私には、ずっとずっと忘れられない人がいます。
あれはまだ6歳の初夏の事だった。
今日は雨が降るなんて、テレビやお母さん達は一言も言っていなかった。
だから私は傘も持たずに近所にある図書館まで遊びに行ったと言うのに、その帰り道で大粒の酷い雨に遭ってしまい公園の遊具の中で雨宿りをしていた。
「うう、びしょ濡れだ……」
あいにくどこかでハンカチを落としてきてしまったようで、ポケットやカバンの中を探してみたもののどこにも入っていなかった。
今日は6月の16日。どちらかと言うと暑さの方が攻撃的な季節だが、しっかり濡れてしまった私の体は少し冷えかかっていた。
「これ、使う?」
他には誰もいなかったはずなのに、突然どこからか私と同じくらいの男の子が現れ、私にハンカチを差し出してきた。
「あ、ありがとう……」
不思議でたまらなくて、ハンカチと男の子を交互に見つめていると、男の子は少し頬を膨らませながら「何だよ」と問いかけてきた。
「ずっといたの?」
「いたよ」
「そ、そっか……」
その後、なかなか止まない雨を2人で雑談を交わしながら眺めていた。
彼はどうやら私と同じ歳の子で、この近くに住んでいるらしい。公園で遊んでいたら突然雨が降ってきて、ここで雨宿りをしていたら私が入って来たようだった。
「ねぇ、大きくなったら何になりたい?」
「え?」
「私は学校の先生!お父さんもお母さんも先生なんだよ?」
「へぇ……」
彼はサッカーが好きだから、大きくなってもサッカーをしたいと語っていた。お互いの夢について語っていると、次第に雨が弱くなってきた。帰るなら今ではないかと、私も彼も思ったのだろう。2人同時に立ち上がった。
私が「じゃあね」と帰ろうとすると、それを彼が止めた。
「ねぇ!まだ名前聞いてなかったよね!」
「あ、そうだったね!私は七瀬夏鈴!」
「夏鈴ちゃんね!俺は山田涼介!……っ、その、次は雨宿りじゃなくてさ!一緒に遊ぼうよ!」
「……!うん!」
私達は小指を絡めさせ、そんな約束を交わした。
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私には、ずっとずっと忘れられない人がいます。
あれはまだ6歳の初夏の事だった。
今日は雨が降るなんて、テレビやお母さん達は一言も言っていなかった。
だから私は傘も持たずに近所にある図書館まで遊びに行ったと言うのに、その帰り道で大粒の酷い雨に遭ってしまい公園の遊具の中で雨宿りをしていた。
「うう、びしょ濡れだ……」
あいにくどこかでハンカチを落としてきてしまったようで、ポケットやカバンの中を探してみたもののどこにも入っていなかった。
今日は6月の16日。どちらかと言うと暑さの方が攻撃的な季節だが、しっかり濡れてしまった私の体は少し冷えかかっていた。
「これ、使う?」
他には誰もいなかったはずなのに、突然どこからか私と同じくらいの男の子が現れ、私にハンカチを差し出してきた。
「あ、ありがとう……」
不思議でたまらなくて、ハンカチと男の子を交互に見つめていると、男の子は少し頬を膨らませながら「何だよ」と問いかけてきた。
「ずっといたの?」
「いたよ」
「そ、そっか……」
その後、なかなか止まない雨を2人で雑談を交わしながら眺めていた。
彼はどうやら私と同じ歳の子で、この近くに住んでいるらしい。公園で遊んでいたら突然雨が降ってきて、ここで雨宿りをしていたら私が入って来たようだった。
「ねぇ、大きくなったら何になりたい?」
「え?」
「私は学校の先生!お父さんもお母さんも先生なんだよ?」
「へぇ……」
彼はサッカーが好きだから、大きくなってもサッカーをしたいと語っていた。お互いの夢について語っていると、次第に雨が弱くなってきた。帰るなら今ではないかと、私も彼も思ったのだろう。2人同時に立ち上がった。
私が「じゃあね」と帰ろうとすると、それを彼が止めた。
「ねぇ!まだ名前聞いてなかったよね!」
「あ、そうだったね!私は七瀬夏鈴!」
「夏鈴ちゃんね!俺は山田涼介!……っ、その、次は雨宿りじゃなくてさ!一緒に遊ぼうよ!」
「……!うん!」
私達は小指を絡めさせ、そんな約束を交わした。
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