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犬と僕の暮らし

 アラウディに持たされた月餅を一口かじり、綱吉はおいしいと笑った。
「どこからもらってきたんだろ、こんなの」
「あれは変な所とよく繋がっているからな。深く探るのは不作法だな。――うん、うまい」
 ご相伴に与っているジョットもそうだな、と頷き態々買ってきた烏龍茶の入ったカップを持ち上げる。そうしながら彼は思いついたように、綱吉に聞いてきた。
「お前が勝手に仕事を取ってくるとは思わなかった」
 だって、と。綱吉はぷくりと頬を膨らませ、暇だったし。とか言い訳をしでかす。それだけじゃないと彼は続けた。
「たまには働かないと。俺やナッツのおやつだってゲーム代だってタダじゃないし」
 な、ナッツ。そう隣の子ライオンに綱吉は話しかけたが、肝心のナッツは返事もせず尻尾をぱたんと揺らすだけだった。どうやらこちらはお昼寝のつもりらしい。目を閉じてまあるくなっている。
ジョットはお代わりの烏龍茶を入れながら言い聞かせるように口を開く。
「アラウディの寄こした仕事でなかったら、反対していたぞ」
 綱吉に与えられる任務は、そう多くない。基本的にはジョット含むボンゴレの者が計画を進め、機動力に富む綱吉が必要な場合は白羽の矢が立つが、それもさほど多くはなかった。
「……それくらい、分かってるよ」
 綱吉は唇を尖らせて頷いて見せた。分かっているならいいさ。ジョットは慰めるように彼の頭を撫でた。
子供扱い、と綱吉はたまに腹を立てるが、ボンゴレの末の子たる綱吉はボンゴレの長であるジョットにとって、――無論他のボンゴレの面子においても――可愛くて仕方のない存在なのだ。
「ほんとうは、お前は仕事などせず自由になって欲しいんだがな」
「なにそれ」
綱吉は皮肉そうに笑って、けど眉は下がって困り顔にも見える。
「オレをデーチモって決めたのはあなたでしょう、プリーモ」
「…………降参だ」
両手を上げてジョットは苦笑いを返した。

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