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よみきり

「…………、ツナ」
ふ、と呼ばれてオレは漫画から顔を上げた。隣で雑誌を読んでた筈の山本がじっとオレを見てる。
何かオレについてる?、と尋ねようと口を開く。けど声が出る前に山本ははっとして、首を横に振った。
「……あ、いや、なんでもねえ。悪りぃ」
そう答えて雑誌に目を戻した山本の横顔を眺める。毎日の様に顔を合わせてるけど、部活や修行があるからこうやって傍にいられる機会はどうしても限られる。
ぼんやりと考えてしまうのは、どうしようもない欲求。
(ちゅーしたい。山本に触りたい。)
一緒にいるのに、こんなに近くにいるのに、それでもまだ満たされない。
山本が好きだって言って、想いが繋がっていると知ってから、オレの欲求は限度を知らず広がって行く。
もっともっとと、求めてやまない。なんて浅ましい。
(駄目だ、オレ。)
天井を見上げて息を吐く。それに気付いた山本が心配そうに聞いてきた。
「どうした?溜息なんて吐いちまって」
「……何か、自分の駄目さに落ち込んでる」
「んなことねえって。ツナは俺のヒーローだぜ」
そう言ってくれた山本は、オレの視界に入り込んでにかりと笑う。
そしてそのまま顔を寄せてきて、額にキスされた。
煩悩と欲求を見透かされた気がして、頬に血が上る。そんなオレを可愛いと言って、山本は頭を撫でてくる。
触りたいと思って、触れられて、もう我慢できなかった。
火に油を注ぐ、ってこういうことを言うんだ。身をもって実感したオレは山本から雑誌を取り上げて、膝の上に乗った。
山本の広い背中に手を回して、顔を近づける。
「ツナ?」
きょとんとオレを呼んだその唇に、オレはキスをした。
最初は触れるだけ。かさついた唇が重なって、少しだけ離れる。オレはぺろりと山本の唇を舐めて、また口付ける。
初めてじゃない。だから、触れるだけでは終わらない。止まらない。
口を開いて舌を絡めて、互いを求める。その度に背中にぞくぞくと快楽が走る。混ざった唾液の立てるやらしい水音に煽られて、またキスが深くなる。
「っ、ふ……ぁ」
「…………ん」
夢中になってキスをして、でも酸素を求めて唇が離れる。物足りなくて、オレは山本の色んな所に口づけを落としていく。額に、鼻先に、頬に、幾つかボタンを外したシャツから覗く鎖骨に。
ふ、と気がつくとうっかり首筋に赤い跡をつけてしまっていた。
(後で絆創膏貼ってあげよう。)
ちょっと我に返ったオレは、ぎゅっと山本を抱きしめた。山本も大きな手をオレの背中に回してくれる。
くっついた所があったかい。
「やまもと」
「ん?」
「だいすき」
「俺も、ツナのことだいすきなのな」
山本の言葉がオレの中に染みていく。ほんわりと心までもあったかくなって、しあわせだな、って思う。
満たされる。
その分だけ、愛しさが募って、欲が広がっていく。
いつか山本への色んな気持ちが飽和して爆発しちゃうかもしれない。それでも構わないって思うオレはきっと馬鹿だ。
「ね、山本、もっと」
――もっと、山本をちょうだい。
そう囁いて赤い耳に歯を立てると、山本はびくんと身体を震わせる。そしてオレを痛いくらい強く抱きしめて、答えた。
「俺も、もっとしたい」
そうしてオレ達はまたキスをする。
ちゅ、と音を立てて唇が重なる。
飽きることなく繰り返される行為。その先がある事に、オレも山本も薄々気付いてる。
けど、今はただこうしていたかった。


*****
あれだよ!
あいしてるよりもだいすきのほうがきみらしいんだよ!!
下の方までツナが手を出しちゃう版も考えたけどそのまんま一線こえちゃいそうなんで却下。
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