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ふたつの霧と空色の王様

「眠ってもいいよ」

そう、優しく催促する綱吉に、目尻を擦りながらも骸は首を横に振った。

「嫌、です。……僕達はあなたの護衛ですよ」
「でもほら、クロームは寝ちゃってるし」

骸と共に霧の守護者を負うクロームは綱吉に抱かれすぴすぴと愛らしい寝息を立てている。
だから骸も寝ちゃっていいよ、オレは気にしないから。気楽に言う綱吉に骸は怒ってみせた。

「子供両手に抱いたら、もしもの時に戦えないでしょう」
「屋敷までもうちょっとだし」
「あなたは危機感が足りないんです!」

その叫びは――怒りも、正しい。グローブを武器とする綱吉は骸も抱き上げると丸腰に等しくなり、危機感に関しては元家庭教師から説教をねっちょり受けるほどに薄い。

「…………骸は心配性だね」

ブルーブラックの髪を誉めるように撫でて綱吉は笑みを深める。骸はそれをおとなしく受け入れた。子供扱いされるのは嫌だが、綱吉だけは特別で――素直に言ってしまえば彼に触れられるのは好きだった。

「でも屋敷に着いたらお昼寝しよう。遠出して疲れただろう?」
「……はい」

疲れたのは事実と骸は頷く。幼い身体に今日の日程は少々ハードだったが、なかなか楽しかった。
綱吉が骸の手を握る。嫌じゃない、と感じる自分を奇妙だと思いながら、骸は茶色の髪を見上げた。陽に透けた茶が、金に光る。

「また遊びにいこうね」
「そう……ですね」

ボンゴレ十代目は忙しい。次、はずっと先になるだろう。
けれど約束したから、いつかその日がくる。

「……楽しみにしてます、ボンゴレ」

にこり、ぎこちなく笑って骸は綱吉の手を握り返した。




執務室の大きなソファーで眠る二人の子供。彼等を見つめ、綱吉はまなじりを下げる。
こんこん、ノックの音にも機嫌良く答えると、灰色の髪をした少年――もう二、三年は青年とは呼べないだろう――が失礼します、と礼儀正しく頭を下げて入ってきた。少年は幾枚かの用紙を綱吉に手渡し、聞いた。

「十代目、今日はどこに出かけられたのですか?」
「えっと……ご飯食べて、本屋と服屋に寄って、おやつ食べてきたよ」

にこにこと、聞かずとも事細かに報告しようする綱吉に少年は僅かに眉を寄せる。

「襲撃は……」
「無かった。視線は感じたけど、すぐに消えたし」
「……やはり護衛か守護者を連れて――」
「連れてったよ」

お小言になりかけた少年の言葉を遮り、綱吉は眠る子供たちを指した。

「とびきりの霧を二人、ね」

そう言って自慢げに笑む大空。
嵐の名を持つ少年は深く溜息を吐いたが、何も言わなかった。


*****
沢田さん最強伝説。獄寺少年に勝ち目はありません。
……というか、この沢田さんなら両手に霧の子等を抱えてても敵をばりばり薙ぎ
倒す気がしてならないのですが……(((゜Д゜;;)))誰も勝てねぇ

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