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ふたつの霧と空色の王様

子供とはいえ、戦わねばならない時もある。
対の霧として、大空の許に在ると決めたのだから。


「……降ろしてください、ボンゴレ。僕も戦います」
そう、腕の中で言った骸に綱吉は不安そうな視線を投げた。敵の数は多いが、捌けない事もない。第一綱吉は子供を戦わせるのを嫌がっている。けれど骸は譲らず、色違いの目でしっかと見返し、僅かに唇を歪める。
「こんなのに僕はやられはしません」
「わたしからもおねがい、むくろさまをいかせて」
クロームまで綱吉をじっと見て、可愛らしい声で頼み込んだ。綱吉は眉間に皺を寄せ――ついに、折れた。
「…………無理しちゃ駄目だよ」
「仰せのままに、ボンゴレ」
ぴょん。骸は綱吉の腕から降りると、とことこと駆け出した。クロームを抱いたまま綱吉は彼の後を追う。何気ない動作で虚空から三叉槍を取り出した骸に綱吉は聞いた。
「クロームが傍にいなくても幻術は使えるの?」
「隣にいる必要はありません。彼女が、僕の知覚する範囲にいればいいんです」
じゃないと危険でしょう。
言われ、納得する。確かに槍を振り回す骸のすぐ近くに無力なクロームがいて、彼女が無事でいられるとは考えにくい。けれどクロームの存在無しには骸は幻術が使えない――戦えない。反対に骸がいなければクロームは僅かにも命を
留められない。
けれど、それでも案外快適に生きていけるらしい。
「それより、ちゃんとクロームを守ってください」
「大丈夫だよ。オレだって戦えるもん」
答えた綱吉はクロームにしっかり掴まってるんだよ、と笑顔で言い聞かせ、握った拳に炎を灯した。


そして、駆け出す。
幻覚の蓮が舞い、銃声の響く戦場に。
「…………うちの可愛い子達を危ない目に合わせて、許しはしないよ」
「……ぼす…」
普段より低く冷えた綱吉の、怒りのにじんだ呟きを聞き取ったのはクロームだけだった。


*****
「せっかく三人でジェラート食べにいこうとしてたのに!!」
沢田さんの滅多にないお休みは、こうして潰されるのでした。


ってなわけで、年齢逆転パロです。
霧ふたりと沢田さんを中心にこんなかんじでやってきたいと思っています。
骸とクロームは大体5歳児くらいだと思っていただけたら。
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