01/新しい世界
Side.???
今日の私はついていなかった。
編入生を迎えに行くはずだった会長の姿が見えず、変わりに迎えに行ったその間に私が好意を寄せる静夏に悪い虫がまとわりつき。
迎えに行けば、私の本心を見抜いたのには目を見張ったが無駄にオドオドしてあやまる編入生に苛つかされて。
迎えを終えて、静夏に会いに生徒会室に行けばなぜか居なくなったあと。
本当についていない。
苛つきも倍増する。
早く静夏に会って癒されたい……
そんなことを思いながら、人気のない寮の廊下を颯爽と歩く。
向かう場所は決まっている。
きっと静夏はあそこにいるだろう。
最近気に入っている天 とかいうやつの部屋。
目的の場所に着き、インターフォンを押す。
……出ないな。
苛立ちが増し、もう一度インターフォンを押そうと手を伸ばしたとき──
「──あっ」
「君は……」
聞こえた声に振り向くと、そこには苛ついた原因のひとつが。
はぁ、本当についていないな……
私はこの編入生のようにおどおどして、つねに人の顔色をうかがって生きているような人間は嫌いだ。
そして、ただあやまってすませようという考えの持ち主も──
大抵そういう人物は、自分より強い人間には媚びを売り、自分より弱い立場の者には強気に出て虐げたりするんだ。
気持ちが悪い。虫唾が走る。
嫌悪感に思わず眉をひそめそうになるが、なんとかこらえて編入生からさり気なく顔を反らす。
編入生には見抜かれているでしょうが、万が一、他の人に見られる可能性もありますからね。
案の定、私の本心を見抜いたのか怯えたように編入生の身体がビクリと跳ねた。
はぁ……本当に不愉快ですね。
でも、これでどこかに行くでしょう。
そう思い編入生を無視したまま、気を取り直してインターフォンに手をのばそうとしたけれど──
「えと……ぐ、偶然、ですね……」
編入生は話しかけてきた。
意外だな。
どちらかと言うと目でも潤ませて、どこかへ行くと思ったのに。
「そうですね」
意外だとは思ったがさして興味もわかず、表面上はにこやかに、けれどそのまま適当に返事をしてインターフォンを押す。
私のその態度に編入生の顔は青くなり、身体を震わせた。
その様子に、今度こそ私の前から立ち去るかと思えば──
「あの、さ、さきほどは……すぐに返事ができなくて、申し訳ありませんでした……っ!」
「……!!」
編入生は、私にあやまってきた。
ただあやまったのではない。
言い訳ひとつも言わずに、さきほどのことを理由を言ったうえでしっかりと頭を下げてあやまっている。
「しかも、理由も言わずにただ、あやまるだけなんて……不愉快に、させてしまいましたよね。本当に、申し訳ありませんでした!」
愕然としながら、私は遥か下の、下げられたままの小さな頭を見つめる。
私は、大きな思い違いをしていたのか?
そうだとしたら、私はなんてことを──
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今日の私はついていなかった。
編入生を迎えに行くはずだった会長の姿が見えず、変わりに迎えに行ったその間に私が好意を寄せる静夏に悪い虫がまとわりつき。
迎えに行けば、私の本心を見抜いたのには目を見張ったが無駄にオドオドしてあやまる編入生に苛つかされて。
迎えを終えて、静夏に会いに生徒会室に行けばなぜか居なくなったあと。
本当についていない。
苛つきも倍増する。
早く静夏に会って癒されたい……
そんなことを思いながら、人気のない寮の廊下を颯爽と歩く。
向かう場所は決まっている。
きっと静夏はあそこにいるだろう。
最近気に入っている
目的の場所に着き、インターフォンを押す。
……出ないな。
苛立ちが増し、もう一度インターフォンを押そうと手を伸ばしたとき──
「──あっ」
「君は……」
聞こえた声に振り向くと、そこには苛ついた原因のひとつが。
はぁ、本当についていないな……
私はこの編入生のようにおどおどして、つねに人の顔色をうかがって生きているような人間は嫌いだ。
そして、ただあやまってすませようという考えの持ち主も──
大抵そういう人物は、自分より強い人間には媚びを売り、自分より弱い立場の者には強気に出て虐げたりするんだ。
気持ちが悪い。虫唾が走る。
嫌悪感に思わず眉をひそめそうになるが、なんとかこらえて編入生からさり気なく顔を反らす。
編入生には見抜かれているでしょうが、万が一、他の人に見られる可能性もありますからね。
案の定、私の本心を見抜いたのか怯えたように編入生の身体がビクリと跳ねた。
はぁ……本当に不愉快ですね。
でも、これでどこかに行くでしょう。
そう思い編入生を無視したまま、気を取り直してインターフォンに手をのばそうとしたけれど──
「えと……ぐ、偶然、ですね……」
編入生は話しかけてきた。
意外だな。
どちらかと言うと目でも潤ませて、どこかへ行くと思ったのに。
「そうですね」
意外だとは思ったがさして興味もわかず、表面上はにこやかに、けれどそのまま適当に返事をしてインターフォンを押す。
私のその態度に編入生の顔は青くなり、身体を震わせた。
その様子に、今度こそ私の前から立ち去るかと思えば──
「あの、さ、さきほどは……すぐに返事ができなくて、申し訳ありませんでした……っ!」
「……!!」
編入生は、私にあやまってきた。
ただあやまったのではない。
言い訳ひとつも言わずに、さきほどのことを理由を言ったうえでしっかりと頭を下げてあやまっている。
「しかも、理由も言わずにただ、あやまるだけなんて……不愉快に、させてしまいましたよね。本当に、申し訳ありませんでした!」
愕然としながら、私は遥か下の、下げられたままの小さな頭を見つめる。
私は、大きな思い違いをしていたのか?
そうだとしたら、私はなんてことを──
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