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プロローグ

家の離れにある、薄暗くて狭い閉じられた部屋。
それが僕の、小さなちいさな世界。

その世界で、起きて朝ご飯を食べて何度も読んでボロボロになった本を読んで、昼ご飯を食べてはまたボロボロの本を読んで、それから掃除したりなんて、そんな変わり映えのない毎日をずっと過ごしていたけれど──

あの日、僕の小さな世界に一筋の光が差し込んだ。

「ここに、行かないか?」
「え……」

そう言って目の前に差し出されたそれは、学校のパンフレット。
僕は恐るおそる、そろりと手を伸ばしてそれを受け取った。

「あ、の……」

驚き、喜び、不安。
胸の中に色んな気持ちが溢れ出す。

こんなこと許されるのでしょうか?
あんなことをした僕に、許されてもいいのでしょうか……?

複雑な気持ちで伺うようにチラリと見上げると、慈愛に満ちた瞳と目が合った。
その慈愛に満ちた瞳が、僕の中から否定的な気持ちを消していく。

「手続きは全部済ませてる。あとは、頷くだけだよ」

そう言って差し出された優しい手に、僕はかすかに震える自分の手をそっと重ねて頷いた。





*end*

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