01/新しい世界
「っ、静夏 」
「……っ」
「あっ、雪弥 !」
大きな声が、まわりにキーンと響きわたりました。
なにかと思って前を見ると、そこに居たのは黒縁眼鏡をかけたモジャモジャな髪型の男の子でした。
顔は髪で隠れてるから見えないけれど、背格好は僕と同じくらいです。
この部屋から出てきたということは……もしかして、同室者の方でしょうか?
だとしたら、なんて偶然でしょう。
「ちょうどいいところに! いつもマジメな天が授業サボってるんだっ! 一緒に授業に出るよう説得してくれよ!!」
「ふふっ、静夏もサボってるのに?」
「俺は授業免除の特権があるからいいんだよ!」
「でもほどほどにしないと授業に──あっ、すみません沖守君。大丈夫ですか?」
「あ、は、はい。大丈夫です」
いけません、尻餅をついたままボーっとしてました。
いつまでも座ったままじゃいけませんよね、早く立たなければ!
そう思って立ち上がろうとしたとき。
「立てます──っ」
「──あっ」
あの方が僕に手を差し出してくれようとしましたが、その手を途中で止めてしまいました。
そうさせてしまったのは、僕がさきほどあの方の手を叩き払ってしまったからでしょう。
あぁ、また気まずい空気になってしまいました;
でもこのままじゃいけません。
手を差し出してくれたお礼を言って、さきほどのことをしっかりあやまらなければ!
「あの、ありがとうございます!」
「っ……いえ」
そう言って中途半端に差し出されたままだった手を握り返す。
あの方は一瞬固まったものの、すぐに手を貸してくれました。
「怪我などはしていませんか?」
「大丈夫です」
よし、お礼はしっかり言えました。
あとはさきほどのことをあやまるだけです!
「あの、さきほどは申し──「お前、見たことないヤツだな!」
申し訳ありませんでしたと言おうと思ったのですが、遮られてしまいました。
うぅ、せっかくのチャンスが;
僕の馬鹿……
「雪弥の友達か?! いつの間に作ったんだよ、雪弥!」
「あ……」
どうしましょう、落ち込んでいるあいだになにか勘違いをされてしまいました。
や、優しくしてくれていたから勘違いをされてしまったのでしょうか?
いくら優しくしてくれたとはいえ、僕と友達なんて勘違いをされてはあの方も迷惑ですよね;
「い、いえ、その……」
「ん? 友達じゃないのか?」
あぁ、やっぱり困っています。
なんとかしなければ!
「あの、そ、その方は──「だったら今から友達になればいいよな!」
「「えっ?」」
えっ、待ってください。
今なんて言いましたか?
「こいつは2年の雪弥!」
「……保科 、雪弥です」
「お前はなんて言うんだ?」
「え? えっと、1年の沖守 凛と申します」
あっ、勢いよく聞かれて答えてしまいましたが……
ちょっ、ちょっと待ってくださいっ!
「これで2人は友達だ! はい、握手っ!」
「──っ」
あ、あわあわしてるあいだに紹介が終わって、気づいたら握手をしていました。
えっ、友達になれるのは嬉しいですが、いいのでしょうか?
「よろしくお願いします、沖守君」
「あ、は、はい。よろしくお願いいたします、保科先輩」
「ちなみに俺は甘露寺 静夏だ! 雪弥の友達は俺の友達ってことで、よろしくな凛っ!」
甘露寺さんは元気に笑って、手を差し出してきました。
僕は戸惑いながらも、勢いに押されて甘露寺さんと握手をする。
もちろん、振り払ったりしないように気をつけながら──
けれど、その心配はいらなかったみたいです。
わざとじゃないみたいですが、手を握る力が強すぎます。
うぅ、強く握られすぎて手が痛いです;
「は、い……よろしくお願い、いたします」
「俺の友達も紹介するなっ! 中入れよ!」
「えっ、うわっ!」
「静夏、待ってくださいっ」
甘露寺さんはそう言うと握っていた手を引っ張って、僕を部屋の中に連れて行こうとします。
突然のことに、僕は転びそうになってしまいました。
な、なんとか堪えましたが危なかったです;
「みんなイイヤツだからきっと仲良くなれるぜ!」
「えっ、あのっ、か、甘露寺さん!?」
「みんな……?」
急な展開に驚いていているあいだに、リビングの前に着きました。
あとから着いてきていた保科さんは、甘露寺さんの言葉に怪訝そうな顔をしています。
どうしたのでしょう?
「……っ」
「あっ、
大きな声が、まわりにキーンと響きわたりました。
なにかと思って前を見ると、そこに居たのは黒縁眼鏡をかけたモジャモジャな髪型の男の子でした。
顔は髪で隠れてるから見えないけれど、背格好は僕と同じくらいです。
この部屋から出てきたということは……もしかして、同室者の方でしょうか?
だとしたら、なんて偶然でしょう。
「ちょうどいいところに! いつもマジメな天が授業サボってるんだっ! 一緒に授業に出るよう説得してくれよ!!」
「ふふっ、静夏もサボってるのに?」
「俺は授業免除の特権があるからいいんだよ!」
「でもほどほどにしないと授業に──あっ、すみません沖守君。大丈夫ですか?」
「あ、は、はい。大丈夫です」
いけません、尻餅をついたままボーっとしてました。
いつまでも座ったままじゃいけませんよね、早く立たなければ!
そう思って立ち上がろうとしたとき。
「立てます──っ」
「──あっ」
あの方が僕に手を差し出してくれようとしましたが、その手を途中で止めてしまいました。
そうさせてしまったのは、僕がさきほどあの方の手を叩き払ってしまったからでしょう。
あぁ、また気まずい空気になってしまいました;
でもこのままじゃいけません。
手を差し出してくれたお礼を言って、さきほどのことをしっかりあやまらなければ!
「あの、ありがとうございます!」
「っ……いえ」
そう言って中途半端に差し出されたままだった手を握り返す。
あの方は一瞬固まったものの、すぐに手を貸してくれました。
「怪我などはしていませんか?」
「大丈夫です」
よし、お礼はしっかり言えました。
あとはさきほどのことをあやまるだけです!
「あの、さきほどは申し──「お前、見たことないヤツだな!」
申し訳ありませんでしたと言おうと思ったのですが、遮られてしまいました。
うぅ、せっかくのチャンスが;
僕の馬鹿……
「雪弥の友達か?! いつの間に作ったんだよ、雪弥!」
「あ……」
どうしましょう、落ち込んでいるあいだになにか勘違いをされてしまいました。
や、優しくしてくれていたから勘違いをされてしまったのでしょうか?
いくら優しくしてくれたとはいえ、僕と友達なんて勘違いをされてはあの方も迷惑ですよね;
「い、いえ、その……」
「ん? 友達じゃないのか?」
あぁ、やっぱり困っています。
なんとかしなければ!
「あの、そ、その方は──「だったら今から友達になればいいよな!」
「「えっ?」」
えっ、待ってください。
今なんて言いましたか?
「こいつは2年の雪弥!」
「……
「お前はなんて言うんだ?」
「え? えっと、1年の沖守 凛と申します」
あっ、勢いよく聞かれて答えてしまいましたが……
ちょっ、ちょっと待ってくださいっ!
「これで2人は友達だ! はい、握手っ!」
「──っ」
あ、あわあわしてるあいだに紹介が終わって、気づいたら握手をしていました。
えっ、友達になれるのは嬉しいですが、いいのでしょうか?
「よろしくお願いします、沖守君」
「あ、は、はい。よろしくお願いいたします、保科先輩」
「ちなみに俺は甘露寺 静夏だ! 雪弥の友達は俺の友達ってことで、よろしくな凛っ!」
甘露寺さんは元気に笑って、手を差し出してきました。
僕は戸惑いながらも、勢いに押されて甘露寺さんと握手をする。
もちろん、振り払ったりしないように気をつけながら──
けれど、その心配はいらなかったみたいです。
わざとじゃないみたいですが、手を握る力が強すぎます。
うぅ、強く握られすぎて手が痛いです;
「は、い……よろしくお願い、いたします」
「俺の友達も紹介するなっ! 中入れよ!」
「えっ、うわっ!」
「静夏、待ってくださいっ」
甘露寺さんはそう言うと握っていた手を引っ張って、僕を部屋の中に連れて行こうとします。
突然のことに、僕は転びそうになってしまいました。
な、なんとか堪えましたが危なかったです;
「みんなイイヤツだからきっと仲良くなれるぜ!」
「えっ、あのっ、か、甘露寺さん!?」
「みんな……?」
急な展開に驚いていているあいだに、リビングの前に着きました。
あとから着いてきていた保科さんは、甘露寺さんの言葉に怪訝そうな顔をしています。
どうしたのでしょう?