弱虫ペダルshort
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「今日も練習してたんだ」
「あぁ、お前はまた居残りか?」
「またって何よー、あれっきりしてないもの」
「日も落ちたし、帰るか?」
「そうだねー、うん。帰ろっか」
約束をしたわけでも無いけれど、毎週火曜日の放課後。
私と金城くんは一緒に帰る。
部活が終わって日が沈み、教室に顔を出す彼を待って一緒に歩く。
部活の話を聞いたり、私が最近ハマってるものの話をしたり。
……まぁ、その、かっこいいなーと思ってる人と帰れるのは、嬉しかったりするのです。
***
始まりは私の居残り勉強。
ちょーっとテストの点が悪かっただけでーす。
プリント提出して疲れたなーって思って、外を見た時にちょうど彼の姿が見えたの。
びっくりするぐらい早い自転車、なんであの自転車で転ばないのか本当に不思議だったのを覚えてる。
まだ日が落ちるのが早かったから、その日はすでに暗くなってた。
帰る準備をして、さて帰るかと思ったら教室の扉が開いた。
「…雛鶴か」
「金城くん?忘れ物?」
「あぁ、明日の授業のものを忘れた…居残りか?」
「いやいや、ちょっとだけだよ?ほんとちょっとだけ点数が?悪くて?」
「そうか」
「ちょっとー、馬鹿にしてない?たまたまなんだって本当に!」
「いや、馬鹿にはしてない」
「ほんとー?もー、恥ずかしいところ見られたー」
「真面目にやってるのはいいことじゃ無いか?」
「いやぁ、恥ずかしいって」
そんな他愛のない話をしながらたどり着いた下駄箱。
なんか、今まであんまり話したことなかったけど、金城くん面白い人だなー。
「金城くんは帰りも自転車?」
「普段はそうだな、雛鶴は?」
「私は歩き、じゃーここまでかな。また明日だね」
「……いや、近くまでは送っていこう」
「んー?いいよ、気にしなくて?」
「日も暮れたし、方向的には変わらない。夜道を1人で歩く方が危ないだろう」
「もー、金城くんは真面目だなー…じゃあ、お言葉に甘えて!」
せっかくの親切だし、こんな機会滅多にないかなって思った。
少しテンポの違う足音と心地のいい会話、少しの沈黙。
その沈黙だって不安になるものじゃなかった。
金城君の部活の話も聞いて、なかなか面白かった。
どれだけ歩いただろう、気付いたら家のすぐ近くまで来ていた。
なんだろう……こう、もったいないなって、思った。
「ざーんねん、私の家ここなんだよね」
「本当に近いな」
「でしょ、徒歩圏内よー」
「この距離なら確かにそうだな」
「送ってくれてありがとね……じゃ、また明日、ね」
「…あぁ、また明日」
自転車にまたがる金城君を見送る。
いやー、あれは早いね。すごい。
…そして、かっこいいねぇ。ずるいよ。私は金城君が乗ってる自転車のことなんて一つもわからない。
でもかっこいい、それはよくわかるんだ。
部長…主将だっけ?きっと大変なことも多くて、やらなきゃいけないことも多いんじゃないかなって思う。
………私こんな惚れっぽかったかなぁ?
***
なんやかんや1週間。
今日は居残りじゃなくて日直。日誌を書いているうちにこんな時間になっていた。
そういえば、先週だったなぁってふと窓の外を見たらまた自転車に乗った彼を見た。
一瞬目が合ったような気がして、ちょっとドキッとする。
そんなわけないかー。
荷物をもって下駄箱へ、外に出ると門のところに金城君。
「居残りか?」
「ちーがーいーまーすー」
「そうか」
「金城君意地悪、私が日直だったの知ってるでしょ?」
「そんなつもりはないが……まぁいい、ついでだ送っていく」
「いいよー、気にしなくて。先週でわかったでしょ?私の家近いから」
「もう日が暮れるからな」
「……なんか悪いなぁ」
「俺が勝手にすることだ、気にするな」
やっぱりタイミングの合わない足音、でも速度は私に合わせてくれる。
会話も多くない、けど嫌な沈黙じゃない。
…なんて、心地のいい時間なんだろう。
今日も先週と同じ、他愛無い世間話。
部活の話を聞くのがなんか楽しい。
だけど、あっという間に家の前。
「じゃ、また明日」
「ああ、また明日」
自転車に跨る金城くんを見送る。
姿はあっという間に消えていく。
…………また来週、待ってみようかなって。そう思った。
***
それから何ヶ月だろう?
毎週火曜日は一緒に帰る日。
いろんな話をした。私のことどう思ってるのーなんて馬鹿な話はしない。
だって十分に楽しいもの。
「雛鶴」
「んー?」
「知ってるかも知れないが、今度インターハイがある」
「言ってたね、ってことは練習だ」
「ああ、来週は多分一緒に帰れない」
「いいよー、気にしないで。成り行きってやつだし」
「…もし良ければだが、見にこないか?」
「インターハイ?え、だって私なんの関係もないよ…?」
「無理にとは言わん、レースは見たことないだろう?」
「まぁね、気になってたけど部外者が行っていいものなの?」
「観客があるレースだから気にせず来るといい」
「そっか!3日あるんだよね?ゴールって一つなの?」
「いや、3日間それぞれにゴールはある。ただし最後のゴール、これが最終的な順位を決める」
「へぇ…じゃ、3日間毎日その日のゴールに立っててあげよう!」
「きてくれるのか」
「だって、かっこいいところが見られるでしょ?金城くんが来るの待っててあげるよ」
「あぁ、必ず先頭でたどり着く」
「うん、待ってる」
今日も私の家にたどり着く。
今日は特に短かったなぁ。
ちょっと考え込んでいたように見えた金城くんが顔をあげる。
「雛鶴、お前は部外者だと言ったが俺は…」
「いやいや、部外者だよ。んーまぁ、クラスメイトだし応援に行くのは間違ってないかもしれないけどね」
ちょっと意固地だったかな…?
けど金城くんは部活のこと頑張ってほしいんだ。
邪魔はしたくないなーって思ってるんだよ。
「…………インターハイが終わったら、話をさせてくれ」
「うん、わかった、待ってる」
「いつも待たせてるな」
「好きで待ってるのよ、じゃ…また明日ね」
「あぁ、また明日」
金城くんを見送る。
困ったなぁ…いや、ちょっと期待してたよ?
なんとも思ってない人と毎週一緒に帰るわけないもんね。
けど、こう…自覚してしまったら、また明日なんてまともに喋ることができるのだろうか…。
顔がだんだん熱くなる。
……これで違ったら本当ただの道化なんだけども!
本当に困ってしまう。けどとっても楽しみ。
私は金城くんに優勝してほしいのよ、頑張ってるのを知ってるからね。初めてレースを見るのも楽しみ!
だから、今はただのクラスメイト。
インターハイでその早い自転車に乗って一番最初にきてね。
私ゴールで待ってるからさ。迎えられたら伝えてもいいかな。
好きです。って。
本当は伝える気なんてなかった。
だって、私なんかより自転車のこと知ってる子とか支えになるようなお姉さんとかさ!金城くんに相応しい人いると思ったしね。
けどあなたが私を選んでくれるなら、私が答えないわけないんだよ。我慢強いの、だから待ってるね。
だから、ゴールで待ってるよ。
「あぁ、お前はまた居残りか?」
「またって何よー、あれっきりしてないもの」
「日も落ちたし、帰るか?」
「そうだねー、うん。帰ろっか」
約束をしたわけでも無いけれど、毎週火曜日の放課後。
私と金城くんは一緒に帰る。
部活が終わって日が沈み、教室に顔を出す彼を待って一緒に歩く。
部活の話を聞いたり、私が最近ハマってるものの話をしたり。
……まぁ、その、かっこいいなーと思ってる人と帰れるのは、嬉しかったりするのです。
***
始まりは私の居残り勉強。
ちょーっとテストの点が悪かっただけでーす。
プリント提出して疲れたなーって思って、外を見た時にちょうど彼の姿が見えたの。
びっくりするぐらい早い自転車、なんであの自転車で転ばないのか本当に不思議だったのを覚えてる。
まだ日が落ちるのが早かったから、その日はすでに暗くなってた。
帰る準備をして、さて帰るかと思ったら教室の扉が開いた。
「…雛鶴か」
「金城くん?忘れ物?」
「あぁ、明日の授業のものを忘れた…居残りか?」
「いやいや、ちょっとだけだよ?ほんとちょっとだけ点数が?悪くて?」
「そうか」
「ちょっとー、馬鹿にしてない?たまたまなんだって本当に!」
「いや、馬鹿にはしてない」
「ほんとー?もー、恥ずかしいところ見られたー」
「真面目にやってるのはいいことじゃ無いか?」
「いやぁ、恥ずかしいって」
そんな他愛のない話をしながらたどり着いた下駄箱。
なんか、今まであんまり話したことなかったけど、金城くん面白い人だなー。
「金城くんは帰りも自転車?」
「普段はそうだな、雛鶴は?」
「私は歩き、じゃーここまでかな。また明日だね」
「……いや、近くまでは送っていこう」
「んー?いいよ、気にしなくて?」
「日も暮れたし、方向的には変わらない。夜道を1人で歩く方が危ないだろう」
「もー、金城くんは真面目だなー…じゃあ、お言葉に甘えて!」
せっかくの親切だし、こんな機会滅多にないかなって思った。
少しテンポの違う足音と心地のいい会話、少しの沈黙。
その沈黙だって不安になるものじゃなかった。
金城君の部活の話も聞いて、なかなか面白かった。
どれだけ歩いただろう、気付いたら家のすぐ近くまで来ていた。
なんだろう……こう、もったいないなって、思った。
「ざーんねん、私の家ここなんだよね」
「本当に近いな」
「でしょ、徒歩圏内よー」
「この距離なら確かにそうだな」
「送ってくれてありがとね……じゃ、また明日、ね」
「…あぁ、また明日」
自転車にまたがる金城君を見送る。
いやー、あれは早いね。すごい。
…そして、かっこいいねぇ。ずるいよ。私は金城君が乗ってる自転車のことなんて一つもわからない。
でもかっこいい、それはよくわかるんだ。
部長…主将だっけ?きっと大変なことも多くて、やらなきゃいけないことも多いんじゃないかなって思う。
………私こんな惚れっぽかったかなぁ?
***
なんやかんや1週間。
今日は居残りじゃなくて日直。日誌を書いているうちにこんな時間になっていた。
そういえば、先週だったなぁってふと窓の外を見たらまた自転車に乗った彼を見た。
一瞬目が合ったような気がして、ちょっとドキッとする。
そんなわけないかー。
荷物をもって下駄箱へ、外に出ると門のところに金城君。
「居残りか?」
「ちーがーいーまーすー」
「そうか」
「金城君意地悪、私が日直だったの知ってるでしょ?」
「そんなつもりはないが……まぁいい、ついでだ送っていく」
「いいよー、気にしなくて。先週でわかったでしょ?私の家近いから」
「もう日が暮れるからな」
「……なんか悪いなぁ」
「俺が勝手にすることだ、気にするな」
やっぱりタイミングの合わない足音、でも速度は私に合わせてくれる。
会話も多くない、けど嫌な沈黙じゃない。
…なんて、心地のいい時間なんだろう。
今日も先週と同じ、他愛無い世間話。
部活の話を聞くのがなんか楽しい。
だけど、あっという間に家の前。
「じゃ、また明日」
「ああ、また明日」
自転車に跨る金城くんを見送る。
姿はあっという間に消えていく。
…………また来週、待ってみようかなって。そう思った。
***
それから何ヶ月だろう?
毎週火曜日は一緒に帰る日。
いろんな話をした。私のことどう思ってるのーなんて馬鹿な話はしない。
だって十分に楽しいもの。
「雛鶴」
「んー?」
「知ってるかも知れないが、今度インターハイがある」
「言ってたね、ってことは練習だ」
「ああ、来週は多分一緒に帰れない」
「いいよー、気にしないで。成り行きってやつだし」
「…もし良ければだが、見にこないか?」
「インターハイ?え、だって私なんの関係もないよ…?」
「無理にとは言わん、レースは見たことないだろう?」
「まぁね、気になってたけど部外者が行っていいものなの?」
「観客があるレースだから気にせず来るといい」
「そっか!3日あるんだよね?ゴールって一つなの?」
「いや、3日間それぞれにゴールはある。ただし最後のゴール、これが最終的な順位を決める」
「へぇ…じゃ、3日間毎日その日のゴールに立っててあげよう!」
「きてくれるのか」
「だって、かっこいいところが見られるでしょ?金城くんが来るの待っててあげるよ」
「あぁ、必ず先頭でたどり着く」
「うん、待ってる」
今日も私の家にたどり着く。
今日は特に短かったなぁ。
ちょっと考え込んでいたように見えた金城くんが顔をあげる。
「雛鶴、お前は部外者だと言ったが俺は…」
「いやいや、部外者だよ。んーまぁ、クラスメイトだし応援に行くのは間違ってないかもしれないけどね」
ちょっと意固地だったかな…?
けど金城くんは部活のこと頑張ってほしいんだ。
邪魔はしたくないなーって思ってるんだよ。
「…………インターハイが終わったら、話をさせてくれ」
「うん、わかった、待ってる」
「いつも待たせてるな」
「好きで待ってるのよ、じゃ…また明日ね」
「あぁ、また明日」
金城くんを見送る。
困ったなぁ…いや、ちょっと期待してたよ?
なんとも思ってない人と毎週一緒に帰るわけないもんね。
けど、こう…自覚してしまったら、また明日なんてまともに喋ることができるのだろうか…。
顔がだんだん熱くなる。
……これで違ったら本当ただの道化なんだけども!
本当に困ってしまう。けどとっても楽しみ。
私は金城くんに優勝してほしいのよ、頑張ってるのを知ってるからね。初めてレースを見るのも楽しみ!
だから、今はただのクラスメイト。
インターハイでその早い自転車に乗って一番最初にきてね。
私ゴールで待ってるからさ。迎えられたら伝えてもいいかな。
好きです。って。
本当は伝える気なんてなかった。
だって、私なんかより自転車のこと知ってる子とか支えになるようなお姉さんとかさ!金城くんに相応しい人いると思ったしね。
けどあなたが私を選んでくれるなら、私が答えないわけないんだよ。我慢強いの、だから待ってるね。
だから、ゴールで待ってるよ。
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