僕が守るべきもの
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5.
ピッピッピッ…
頭がふわふわとする中、誰かに名前を呼ばれてる気がした。
「…さん、ハルっ!」
必死に呼ぶこの声は、大切な人のもの。
「…れ、い、さん…?」
「よかったっ、意識が戻ったな」
重たい瞼を上げると険しい顔つきをした零さんが目の前にいた。
「ここは…?」
「病院だ。君は気絶したんだ」
「そっか…」
「朝からあまり食べてなかっただろ。貧血だ」
「うっ…食欲なかったんだもの…」
「言ってくれたら消化のいいものを作る」
「ごめんなさい…」
「まぁ、食欲がないのも無理はない」
別の理由がある、と彼が言うので不思議に思う。
「えっ、何か病気、とか?」
そんな、自分はやっと零さんと結ばれたのに病気が見つかったのかと落ち込む。彼の顔も真剣そのもので話を聞くのが怖くなった。
「ハル…落ち着いて聞くんだ」
「うん…」
彼は手を強く握りしめながら口を開いた。
「おめでた、だ」
「…えっ?」
「僕たちの赤ちゃんが君のお腹に宿ってる」
「えっ…嘘…ほんとに?」
「あぁ。本当だ」
彼を見るとふわりと優しい笑顔を向けてくれた。本当なんだ、とじんわりと胸が温かくなる。
ーーお腹に…赤ちゃん…
手をお腹に置いてスルリと撫でた。彼との家族が出来る、それが嬉しくて幸せで胸がいっぱいになって視界がボヤけていく。
「妊娠11週だそうだ」
瞬きしたらポタポタと涙が落ちるがそれよりも彼から差し出されたエコー写真を見てまた涙が溢れる。
「君が寝ている間にエコーをしたんだ。すまなかった…赤ちゃんが元気か確かめる必要があったからな」
「うん…でもどうして謝るの?」
「それは…いずれ分かる」
「そっか…早く見たいな」
ふふっと笑いながら体を起こす。
「無理はするな」
「大丈夫…助けてくれてありがとう」
「当たり前だ。君は僕の大切な人なのだから」
彼は青い瞳を揺らしながら体を近付けると優しく抱きしめられる。彼の温もりに包まれながら幸せを噛み締めた。体が離れると見つめ合いどちらともなく唇を重ねた。
ゆっくり優しく。
これからの時を、
生まれてくる小さな命を想いながら。
ーーー
ーーこれから守るべきものが増えた
彼もまたこれから生まれてくる子と彼女のことを守ると決め、この優しいキスに誓った。
ーーー
「降谷さんっ!」
「なんだ風見。朝から騒々しいな」
「ハルさんから聞きましたよ!」
「聞いたのか」
「おめでとうございますっ!」
「声を抑えろ」
「はっ!」
「顔がニヤついてるぞ。もっとしゃんとしろ」
「そりゃあ降谷さんがパパになるんですからね」
「まぁな」
「可愛いだろうなぁ〜」
「嫁にはやらん」
「女の子なんですか?!」
「まだ分からない」
「どっちでも絶対可愛いにきまってます!」
「当たり前だ」
「ハルさんの体調は?」
「つわりが酷いようだから家で休んでる」
「大変ですね…」
「風見」
「はい?」
「事件は俺がなんとかする。お前はこれを頼む」
「了解です!」
降谷さんからメモを受け取り中を確認する。
「なんだ?」
大根、白菜、人参、他野菜、哺乳瓶、ミルク、オムツ……
「って、降谷さん!これは?!」
「任せた」
「ちょっ!降谷さんっ?!」
呆然と立ち竦んで自分が任されたミッションがまさかのお使いであることに苦笑しつつもう一度メモに目を通した。哺乳瓶やミルクの部分には更に詳しくメモが加えてある。この字は彼の字だ。
ーー本当に部下をなんだと思っているのだろうか
でも彼なりに何か考えがあってのことだろうとメモを胸ポケットに仕舞い、買い物をするためにスーパーへと向かった。
僕が守るべきもの
fin.
2019.3.31
ピッピッピッ…
頭がふわふわとする中、誰かに名前を呼ばれてる気がした。
「…さん、ハルっ!」
必死に呼ぶこの声は、大切な人のもの。
「…れ、い、さん…?」
「よかったっ、意識が戻ったな」
重たい瞼を上げると険しい顔つきをした零さんが目の前にいた。
「ここは…?」
「病院だ。君は気絶したんだ」
「そっか…」
「朝からあまり食べてなかっただろ。貧血だ」
「うっ…食欲なかったんだもの…」
「言ってくれたら消化のいいものを作る」
「ごめんなさい…」
「まぁ、食欲がないのも無理はない」
別の理由がある、と彼が言うので不思議に思う。
「えっ、何か病気、とか?」
そんな、自分はやっと零さんと結ばれたのに病気が見つかったのかと落ち込む。彼の顔も真剣そのもので話を聞くのが怖くなった。
「ハル…落ち着いて聞くんだ」
「うん…」
彼は手を強く握りしめながら口を開いた。
「おめでた、だ」
「…えっ?」
「僕たちの赤ちゃんが君のお腹に宿ってる」
「えっ…嘘…ほんとに?」
「あぁ。本当だ」
彼を見るとふわりと優しい笑顔を向けてくれた。本当なんだ、とじんわりと胸が温かくなる。
ーーお腹に…赤ちゃん…
手をお腹に置いてスルリと撫でた。彼との家族が出来る、それが嬉しくて幸せで胸がいっぱいになって視界がボヤけていく。
「妊娠11週だそうだ」
瞬きしたらポタポタと涙が落ちるがそれよりも彼から差し出されたエコー写真を見てまた涙が溢れる。
「君が寝ている間にエコーをしたんだ。すまなかった…赤ちゃんが元気か確かめる必要があったからな」
「うん…でもどうして謝るの?」
「それは…いずれ分かる」
「そっか…早く見たいな」
ふふっと笑いながら体を起こす。
「無理はするな」
「大丈夫…助けてくれてありがとう」
「当たり前だ。君は僕の大切な人なのだから」
彼は青い瞳を揺らしながら体を近付けると優しく抱きしめられる。彼の温もりに包まれながら幸せを噛み締めた。体が離れると見つめ合いどちらともなく唇を重ねた。
ゆっくり優しく。
これからの時を、
生まれてくる小さな命を想いながら。
ーーー
ーーこれから守るべきものが増えた
彼もまたこれから生まれてくる子と彼女のことを守ると決め、この優しいキスに誓った。
ーーー
「降谷さんっ!」
「なんだ風見。朝から騒々しいな」
「ハルさんから聞きましたよ!」
「聞いたのか」
「おめでとうございますっ!」
「声を抑えろ」
「はっ!」
「顔がニヤついてるぞ。もっとしゃんとしろ」
「そりゃあ降谷さんがパパになるんですからね」
「まぁな」
「可愛いだろうなぁ〜」
「嫁にはやらん」
「女の子なんですか?!」
「まだ分からない」
「どっちでも絶対可愛いにきまってます!」
「当たり前だ」
「ハルさんの体調は?」
「つわりが酷いようだから家で休んでる」
「大変ですね…」
「風見」
「はい?」
「事件は俺がなんとかする。お前はこれを頼む」
「了解です!」
降谷さんからメモを受け取り中を確認する。
「なんだ?」
大根、白菜、人参、他野菜、哺乳瓶、ミルク、オムツ……
「って、降谷さん!これは?!」
「任せた」
「ちょっ!降谷さんっ?!」
呆然と立ち竦んで自分が任されたミッションがまさかのお使いであることに苦笑しつつもう一度メモに目を通した。哺乳瓶やミルクの部分には更に詳しくメモが加えてある。この字は彼の字だ。
ーー本当に部下をなんだと思っているのだろうか
でも彼なりに何か考えがあってのことだろうとメモを胸ポケットに仕舞い、買い物をするためにスーパーへと向かった。
僕が守るべきもの
fin.
2019.3.31
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