僕が守るべきもの
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4.
「風見。早くしろっ」
「了解っ」
今、銀行の屋上にいる。
隣のビルとさほど距離が離れていないため助走をつけてジャンプした。風見も後を追って来たところに屋上ドアの鍵を早く開けるように急かす。それもそのはずヘリコプターが来ておりあまり長居は出来ないからだ。鍵を開けて静かにかつ迅速に侵入する。
「それにしても助かったよ。鍵なんてどこから持ってきたんだ?」
「それを聞くなんて野暮じゃないですか?」
「それもそうだな」
恐らく何かの伝手で入手したのだろう。さすがは我が国の公安だ。拳銃を前に突き出しながら階段を静かに降りる。犯人が二人なら1階に留まっているはずだ。1階まで降りると周りに注意を配り誰も居ない事を確認して廊下を走る。
「風見は合図をしたらブレーカーを落とせ。そして10秒後にまた点灯しろ」
「了解」
風見と分かれて自分は犯人がいるであろう窓口の裏へと回る。静かにドアを開けて中を見る。人質がいる場所を確認すると侵入ルートを探る。まだ昼間なのでブレーカーを落としても外の光でかなり明るい。いけるか?と思ったがやるしかない。ひとまず彼女の元へ行って安心させたい。
『降谷さん、準備完了です』
「了解だ。合図を待て」
目を閉じて光を遮断する。
3、2、1…
「GO」
合図とともにガチャンと銀行のあらゆる電気系統が落ちる音がした。すかさず目を開けてドアを静かに開けると腰を屈めて侵入する。
「きゃー!」
「な、なんだ?!おい!ブレーカーを上げに行け!」
「停電だ!」
「わぁー!」
バァン!
物陰に隠れながら人質の塊に近づいて行くと銃声の音がして思わず止まる。
「おめぇら静かにしやがれ!」
5、4、3…
奴の視線が逸れた隙に人質の背後に回って背を向けた。後ろにいた人の数名が自分に気付くが人差し指を口元に当て静かにするようジェスチャーする。
2、1…
パッと電気が点いて部屋が再び明るくなる。じっと待っていると男が苛立ち始めた。
「クソ!アイツ何やってんだ!電気ついたなら早く戻ってこいよ!」
もう一人の男が戻って来ない事に苛立ちを感じ始めているようだ。恐らく風見が対応したのだろう。
ーーでかした
ニヤリと笑うと男がこっちに叫ぶ。
「そこから様子を見る、変な真似は絶対に起こすなよ!撃つぞ!」
「ひぃぃ!」
みんな怯えているようで恐怖が空気を震わせ伝わってきた。
ーー彼女はどこに
男に背を向けるようにしながら少しずつ動く。幸いにも男はこちらに気付いていないようで人質に隠れるようにしながら移動する。その際人質に囚われている人達に声を上げないよう細心の注意を払った。男がドアから廊下を見た隙に前へと移動する。
そこには顔色がかなり悪い彼女の姿があった。
「ハル」
「れ、いさん?」
「大丈夫か?!」
「助けに、来てくれると思ってました…」
「クソっ!しっかりするんだ!」
「大丈夫…ちょっと貧血みたいな感じだから…」
大丈夫ではない。
今にも気絶しそうだ。
男の様子を見て声をかける。
「必ず助ける。待ってくれ」
「うん…」
彼女は弱々しく微笑むと目を閉じて気絶してしまった。その姿を見て体調の悪い彼女を何故一人で行かせたのか後悔した。そして自分が許せなかった。
その時気配がしたので顔を上げると男がこっちに戻って来そうだったため彼女を近くの人の膝を貸してもらいそこへ寝かせ自分はまた人質の背後へと回り込む。
イヤホンのマイク部分に指を当ててトントンと風見へ合図を送るとまたブレーカーが落ちて少し薄暗くなる。
「なんなんだ!誰かいるのか?!くそっ!アイツもどこ行きやがったんだ!」
男が取り乱してるうちに反対側の受付の下へと潜り込む。受付台の物陰から頭を少し出して手にしている拳銃を構えた。男はこちらには気付いておらず狙いを男の手元、銃に定める。
緊迫の瞬間。
空気がピンと張り詰めているようだ。
だがいつもの訓練と同じように深呼吸する。
再び電気がつき、狙いを固定、銃を撃ち抜いた。
パァン
「ぅあぁあ!」
弾は見事男の手元をかすり銃を手放した。男はその手を抑えるようにして周囲をキョロキョロしているが瞬時に台から身を出すと乗り越えて男の顔面に殴りかかる。
バキッと嫌な音がした気がしたが気にしない。男は倒れピクリとも動かなくなった。
「風見。こっちは終わった」
『了解。彼女は?!無事ですか?!』
「無事だ。が、気絶している」
『き、気絶?!何故で…』
風見の話が途中になるがそれよりも彼女の方が優先だ。人質一人の手脚の縄を解き、警察を呼びに行かせた。そして彼女の手脚の縄も解いて抱え、包み込むようにして抱きしめる。
手足が冷たい。
早く病院に連れて行かなければ。
「すみません。彼女は救急車で搬送させるので先に救助します。後は警察の方達がやってくれますので待っていて下さい」
「それは構わんが…君は…」
「僕ですか?僕は…彼女のパートナーです」
安室透の顔で笑顔を作り答えた。そこへ警察がどっと入ってきてそれに紛れるようにして彼女を抱え外へ出る。
「安室さん!どうしてここに!」
「刑事さんっ。そんなことよりも彼女を救急車で運んで下さいっ」
「あぁ、彼女は君の奥さんだったね…気絶しているのか。すでに手配している。こっちだ」
ポアロに来ている刑事さんを見かけ声をかけると救急車の元へと走る。幸い入り口から救急車まではブルーシートで外との世界が遮断されており好都合だった。
ストレッチャーに彼女を乗せて救急車に乗り込み病院へ向かう。走ってる間、彼女の手を握りしめ無事を祈った。それからもう一つ。彼女の体調不良についてあることを考え病院についたらそれの検査もしてもらおうと考えていた。
「風見。早くしろっ」
「了解っ」
今、銀行の屋上にいる。
隣のビルとさほど距離が離れていないため助走をつけてジャンプした。風見も後を追って来たところに屋上ドアの鍵を早く開けるように急かす。それもそのはずヘリコプターが来ておりあまり長居は出来ないからだ。鍵を開けて静かにかつ迅速に侵入する。
「それにしても助かったよ。鍵なんてどこから持ってきたんだ?」
「それを聞くなんて野暮じゃないですか?」
「それもそうだな」
恐らく何かの伝手で入手したのだろう。さすがは我が国の公安だ。拳銃を前に突き出しながら階段を静かに降りる。犯人が二人なら1階に留まっているはずだ。1階まで降りると周りに注意を配り誰も居ない事を確認して廊下を走る。
「風見は合図をしたらブレーカーを落とせ。そして10秒後にまた点灯しろ」
「了解」
風見と分かれて自分は犯人がいるであろう窓口の裏へと回る。静かにドアを開けて中を見る。人質がいる場所を確認すると侵入ルートを探る。まだ昼間なのでブレーカーを落としても外の光でかなり明るい。いけるか?と思ったがやるしかない。ひとまず彼女の元へ行って安心させたい。
『降谷さん、準備完了です』
「了解だ。合図を待て」
目を閉じて光を遮断する。
3、2、1…
「GO」
合図とともにガチャンと銀行のあらゆる電気系統が落ちる音がした。すかさず目を開けてドアを静かに開けると腰を屈めて侵入する。
「きゃー!」
「な、なんだ?!おい!ブレーカーを上げに行け!」
「停電だ!」
「わぁー!」
バァン!
物陰に隠れながら人質の塊に近づいて行くと銃声の音がして思わず止まる。
「おめぇら静かにしやがれ!」
5、4、3…
奴の視線が逸れた隙に人質の背後に回って背を向けた。後ろにいた人の数名が自分に気付くが人差し指を口元に当て静かにするようジェスチャーする。
2、1…
パッと電気が点いて部屋が再び明るくなる。じっと待っていると男が苛立ち始めた。
「クソ!アイツ何やってんだ!電気ついたなら早く戻ってこいよ!」
もう一人の男が戻って来ない事に苛立ちを感じ始めているようだ。恐らく風見が対応したのだろう。
ーーでかした
ニヤリと笑うと男がこっちに叫ぶ。
「そこから様子を見る、変な真似は絶対に起こすなよ!撃つぞ!」
「ひぃぃ!」
みんな怯えているようで恐怖が空気を震わせ伝わってきた。
ーー彼女はどこに
男に背を向けるようにしながら少しずつ動く。幸いにも男はこちらに気付いていないようで人質に隠れるようにしながら移動する。その際人質に囚われている人達に声を上げないよう細心の注意を払った。男がドアから廊下を見た隙に前へと移動する。
そこには顔色がかなり悪い彼女の姿があった。
「ハル」
「れ、いさん?」
「大丈夫か?!」
「助けに、来てくれると思ってました…」
「クソっ!しっかりするんだ!」
「大丈夫…ちょっと貧血みたいな感じだから…」
大丈夫ではない。
今にも気絶しそうだ。
男の様子を見て声をかける。
「必ず助ける。待ってくれ」
「うん…」
彼女は弱々しく微笑むと目を閉じて気絶してしまった。その姿を見て体調の悪い彼女を何故一人で行かせたのか後悔した。そして自分が許せなかった。
その時気配がしたので顔を上げると男がこっちに戻って来そうだったため彼女を近くの人の膝を貸してもらいそこへ寝かせ自分はまた人質の背後へと回り込む。
イヤホンのマイク部分に指を当ててトントンと風見へ合図を送るとまたブレーカーが落ちて少し薄暗くなる。
「なんなんだ!誰かいるのか?!くそっ!アイツもどこ行きやがったんだ!」
男が取り乱してるうちに反対側の受付の下へと潜り込む。受付台の物陰から頭を少し出して手にしている拳銃を構えた。男はこちらには気付いておらず狙いを男の手元、銃に定める。
緊迫の瞬間。
空気がピンと張り詰めているようだ。
だがいつもの訓練と同じように深呼吸する。
再び電気がつき、狙いを固定、銃を撃ち抜いた。
パァン
「ぅあぁあ!」
弾は見事男の手元をかすり銃を手放した。男はその手を抑えるようにして周囲をキョロキョロしているが瞬時に台から身を出すと乗り越えて男の顔面に殴りかかる。
バキッと嫌な音がした気がしたが気にしない。男は倒れピクリとも動かなくなった。
「風見。こっちは終わった」
『了解。彼女は?!無事ですか?!』
「無事だ。が、気絶している」
『き、気絶?!何故で…』
風見の話が途中になるがそれよりも彼女の方が優先だ。人質一人の手脚の縄を解き、警察を呼びに行かせた。そして彼女の手脚の縄も解いて抱え、包み込むようにして抱きしめる。
手足が冷たい。
早く病院に連れて行かなければ。
「すみません。彼女は救急車で搬送させるので先に救助します。後は警察の方達がやってくれますので待っていて下さい」
「それは構わんが…君は…」
「僕ですか?僕は…彼女のパートナーです」
安室透の顔で笑顔を作り答えた。そこへ警察がどっと入ってきてそれに紛れるようにして彼女を抱え外へ出る。
「安室さん!どうしてここに!」
「刑事さんっ。そんなことよりも彼女を救急車で運んで下さいっ」
「あぁ、彼女は君の奥さんだったね…気絶しているのか。すでに手配している。こっちだ」
ポアロに来ている刑事さんを見かけ声をかけると救急車の元へと走る。幸い入り口から救急車まではブルーシートで外との世界が遮断されており好都合だった。
ストレッチャーに彼女を乗せて救急車に乗り込み病院へ向かう。走ってる間、彼女の手を握りしめ無事を祈った。それからもう一つ。彼女の体調不良についてあることを考え病院についたらそれの検査もしてもらおうと考えていた。