僕が守るべきもの
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3.
ーー早くお金おろして病院行きたいな…
自分は今、家とこれから向かう病院の間にある銀行へ足を運んでいた。昼過ぎという事もあり人はいるが午前よりも少ないほうかなと思いながら順番を待つ。ATMの列に立っていたがここにきて気分が悪くなった。そのため列が途切れないか椅子に座ってボーッとしていた。
ーーはぁ…頭も痛いし、気持ち悪い…
早くお金をおろしたいのに列はなかなか途切れない。もう窓口でいいかと立ち上がって順番待ちの紙切れを取って椅子に座ろうとしたその時。入り口で何やら騒がしくなる。
「おめぇら全員手を挙げろ!!」
「わー!」
「きゃぁー!」
拳銃を突きつけた男二人組が押し入ってきたのだ。体調が悪いからか、その場に動けずにいると男の目に留まり腕を引かれ、バランスを崩しながらよろける。男の体にぶつかると同時にこめかみ部分にカチャっと嫌な音が耳に届いた。
「おめぇら全員端に寄れ!おい!そこのお前!縄で手脚を縛れ!」
「は、はいぃ!!」
指示された男性従業員はもう一人の男から鞄を受け取るとその中に入っていた縄でみんなの手脚を縛っていく。もう一人の男もそれを見ながら舌打ちすると残りの人達の手足を縛っていった。
「ここの責任者は誰だ!」
「わ、私です!」
手前の眼鏡をかけた少し中年太りをしている男性が声を上げる。男の指示で紐を解かれると奥へ行くように指示している。そして何故か自分も連れて行かれる。
「な、なんで私も…」
「あ?コイツが変な気を起こしたらテメェの脳みそをぶちまけるんだよ。分かったか!」
「ひっ、はいぃ!」
この中年のおじさんは怯えた表情で冷や汗を垂らしながら手元が震えている。それを見ているとふいに吐き気が込み上げ「うっ」と俯く。
「おい!こら!顔を上げろ!」
「…いっ!」
顔を上げろと髪の毛を引っ張られその痛みで込み上げてきた吐き気が引っ込んだ。とりあえずはここで吐かずに済みそうだ。なんでこんな時にと自分の体調不良を恨む。
責任者の後について金庫の前に来ると男は鞄を投げつけ「そこに金を入れろ」と指示する。責任者のおじさんは数回頷くと金庫を開けお金を詰めていく。
体調が悪いからか頭がボーっとする。お金がたくさんだ、なんて呑気な事を考えていると自分達がいた方から大きな声がする。
一旦、お金を入れるのをやめて戻るともう一人の強盗犯が喋る。
「緊急ボタンを押されちまったようだ!サツが表に来てやがる!」
「てめぇ!」
私を捕まえている男が責任者を脚で蹴りあげている。
「ぅぐぁっ!」
「きゃー!」
おじさんの声と女性の悲鳴が重なりざわめく。
バァン!
直ぐそばで男が発砲した。自分にではなく銃口は上を向いているため天井に向かってだ。
「静かにしろ!あんたらは今から人質だ。変な真似は絶対するな。すれば命はねぇ…手始めにまずはコイツだ」
コイツ、の部分で頭にコンコンと銃で小突かれる。
ーーまずは自分から
その意味を回らない頭で考え理解してくると途端に恐怖が押し寄せる。
ーー零さん…
警察をしているなら既に連絡がいってるはず。きっと彼が助けに来てくれると思ったがこんな危険なところに来てほしくないとも思った。
スーツを着ている彼はたまに酷い怪我をして帰ってくることがあった。そんな怪我をできるならもう負わせたくない。それを伝えたら「あなたを守るため」なんて事を言っていたけど…警察ってそんなに怪我が多いのかな、なんて疑問に思い始めている。彼はまだ何かを隠している、そう思わずにはいられなかった。
でも彼が何も話さないところをみるとまだ言えない何かがあるのだろう。だからあえてこちらから聞いたりはしていない。
ーー死ぬのかな…
そう思ったら涙が溢れてきた。
「女!泣くなっ!」
「ひっ!ご、ごめんな…」
「うるせぇ!」
この男はずっと怒鳴ってる。耳元で叫ばれているから耳がどうにかなりそうだ。もう怖くて怖くて仕方がない。
恐怖に震えていると男は自分を連れて出入り口に向かう。そして入り口に立つと自分を盾にするようにして立たせ頭に銃口が突きつけられた。外の状況を見るとパトカーや警察の方が銀行の周りを包囲しているようだった。咄嗟に彼の姿を探すが見当たらない。ポアロに来たことがある刑事さん達が何人かいてその人達と目が合うと驚いて何か話しているようだった。その内容はもちろん遠くて聞き取れないが。
そしてカメラも来ておりさすがこのご時世。情報が早いと男に銃口を突きつけられながらも思ってしまった。ということは、今自分がカメラに映っている。コナンくん、はもう居ないんだった。歩美ちゃん達や蘭ちゃん達に心配かけちゃうな、なんて思った。
コナン君が居なくなった代わりに工藤新一くんという高校生が現れた。蘭ちゃんのボーイフレンドで仲が良くてお似合いだなって微笑ましく思ったのを思い出した。こんな状況なのに怖いはずなのに色んな事を思い出して「やっぱり自分は死ぬのかな」なんて静かに考えている自分がいた。
男が何かを叫んだ後、中に連れ戻された。そして自分も手脚を縛られ人質にされてるみんなのところに座らされる。
ーー零さん…助けて…
来れば怪我をするかもしれない。でも彼に会いたくて心の中で必死に彼を呼んでいた。
ーー早くお金おろして病院行きたいな…
自分は今、家とこれから向かう病院の間にある銀行へ足を運んでいた。昼過ぎという事もあり人はいるが午前よりも少ないほうかなと思いながら順番を待つ。ATMの列に立っていたがここにきて気分が悪くなった。そのため列が途切れないか椅子に座ってボーッとしていた。
ーーはぁ…頭も痛いし、気持ち悪い…
早くお金をおろしたいのに列はなかなか途切れない。もう窓口でいいかと立ち上がって順番待ちの紙切れを取って椅子に座ろうとしたその時。入り口で何やら騒がしくなる。
「おめぇら全員手を挙げろ!!」
「わー!」
「きゃぁー!」
拳銃を突きつけた男二人組が押し入ってきたのだ。体調が悪いからか、その場に動けずにいると男の目に留まり腕を引かれ、バランスを崩しながらよろける。男の体にぶつかると同時にこめかみ部分にカチャっと嫌な音が耳に届いた。
「おめぇら全員端に寄れ!おい!そこのお前!縄で手脚を縛れ!」
「は、はいぃ!!」
指示された男性従業員はもう一人の男から鞄を受け取るとその中に入っていた縄でみんなの手脚を縛っていく。もう一人の男もそれを見ながら舌打ちすると残りの人達の手足を縛っていった。
「ここの責任者は誰だ!」
「わ、私です!」
手前の眼鏡をかけた少し中年太りをしている男性が声を上げる。男の指示で紐を解かれると奥へ行くように指示している。そして何故か自分も連れて行かれる。
「な、なんで私も…」
「あ?コイツが変な気を起こしたらテメェの脳みそをぶちまけるんだよ。分かったか!」
「ひっ、はいぃ!」
この中年のおじさんは怯えた表情で冷や汗を垂らしながら手元が震えている。それを見ているとふいに吐き気が込み上げ「うっ」と俯く。
「おい!こら!顔を上げろ!」
「…いっ!」
顔を上げろと髪の毛を引っ張られその痛みで込み上げてきた吐き気が引っ込んだ。とりあえずはここで吐かずに済みそうだ。なんでこんな時にと自分の体調不良を恨む。
責任者の後について金庫の前に来ると男は鞄を投げつけ「そこに金を入れろ」と指示する。責任者のおじさんは数回頷くと金庫を開けお金を詰めていく。
体調が悪いからか頭がボーっとする。お金がたくさんだ、なんて呑気な事を考えていると自分達がいた方から大きな声がする。
一旦、お金を入れるのをやめて戻るともう一人の強盗犯が喋る。
「緊急ボタンを押されちまったようだ!サツが表に来てやがる!」
「てめぇ!」
私を捕まえている男が責任者を脚で蹴りあげている。
「ぅぐぁっ!」
「きゃー!」
おじさんの声と女性の悲鳴が重なりざわめく。
バァン!
直ぐそばで男が発砲した。自分にではなく銃口は上を向いているため天井に向かってだ。
「静かにしろ!あんたらは今から人質だ。変な真似は絶対するな。すれば命はねぇ…手始めにまずはコイツだ」
コイツ、の部分で頭にコンコンと銃で小突かれる。
ーーまずは自分から
その意味を回らない頭で考え理解してくると途端に恐怖が押し寄せる。
ーー零さん…
警察をしているなら既に連絡がいってるはず。きっと彼が助けに来てくれると思ったがこんな危険なところに来てほしくないとも思った。
スーツを着ている彼はたまに酷い怪我をして帰ってくることがあった。そんな怪我をできるならもう負わせたくない。それを伝えたら「あなたを守るため」なんて事を言っていたけど…警察ってそんなに怪我が多いのかな、なんて疑問に思い始めている。彼はまだ何かを隠している、そう思わずにはいられなかった。
でも彼が何も話さないところをみるとまだ言えない何かがあるのだろう。だからあえてこちらから聞いたりはしていない。
ーー死ぬのかな…
そう思ったら涙が溢れてきた。
「女!泣くなっ!」
「ひっ!ご、ごめんな…」
「うるせぇ!」
この男はずっと怒鳴ってる。耳元で叫ばれているから耳がどうにかなりそうだ。もう怖くて怖くて仕方がない。
恐怖に震えていると男は自分を連れて出入り口に向かう。そして入り口に立つと自分を盾にするようにして立たせ頭に銃口が突きつけられた。外の状況を見るとパトカーや警察の方が銀行の周りを包囲しているようだった。咄嗟に彼の姿を探すが見当たらない。ポアロに来たことがある刑事さん達が何人かいてその人達と目が合うと驚いて何か話しているようだった。その内容はもちろん遠くて聞き取れないが。
そしてカメラも来ておりさすがこのご時世。情報が早いと男に銃口を突きつけられながらも思ってしまった。ということは、今自分がカメラに映っている。コナンくん、はもう居ないんだった。歩美ちゃん達や蘭ちゃん達に心配かけちゃうな、なんて思った。
コナン君が居なくなった代わりに工藤新一くんという高校生が現れた。蘭ちゃんのボーイフレンドで仲が良くてお似合いだなって微笑ましく思ったのを思い出した。こんな状況なのに怖いはずなのに色んな事を思い出して「やっぱり自分は死ぬのかな」なんて静かに考えている自分がいた。
男が何かを叫んだ後、中に連れ戻された。そして自分も手脚を縛られ人質にされてるみんなのところに座らされる。
ーー零さん…助けて…
来れば怪我をするかもしれない。でも彼に会いたくて心の中で必死に彼を呼んでいた。