君に、明日
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4.
「…ルコ……マルコ!」
「んっ、あれここは?」
「何言ってんの!もうすぐ教官の座学が始まるから起きて!」
「—— っ!君は…っ?!」
「何よ驚いて。しかも君なんて呼び方…」
変なマルコ、という彼女はまさしくあの子だった。でもよく見れば服装が違う。日本では見かけないような格好だ。
アル「マルコが居眠りするなんて珍しいね」
近くの席から話しかけられて振り向くと金髪碧眼の子がこちらを見ていた。
「えっと……」
エレ「アルミン。マルコだって人間だ。そりゃ居眠りくらいするだろ。けど、昨日ジャンと話した後すぐ寝ちまったのにまだ眠いのか?」
アル「そういえばそうだったね、エレン。きっと疲れが溜まってるんだと思う」
「そうだね…うん、心配してくれて、ありがとう……」
歯切れの悪い返事をしたけれど今はそれどころじゃない。金髪の子の隣に座るエレンと呼ばれた男の子をじっと見つめた。この子がエレン、無意識に口走った名前の男の子を穴が空くほど見つめていると「なんだよ気持ち悪りぃな。あんま見んなよ」、そうエレンに嫌がられてしまう。慌てて謝り体を正面に向けた。
ジャ「マルコ、お前そっちの気があんのか?」
声のする方を見て目を見開く。
「ジャンっ!!」
そこにいたのは服装は違えど紛れもなく友人のジャン。勢いよく立ち上がると彼の両肩に手を置いて話しかけた。
「あの子の言ってた事は本当だったんだ!僕達は前世でみんなと知り合いで……!」
ジャ「おいおい…何言ってんだ、マルコ。頭打ったんじゃねぇのか?」
「…えっ、」
アル「そうだね、なんだか今日のマルコは変だ」
ジャ「アルミン、おめぇもそう思うか」
エレ「ジャンはいつでもおかしいけどよ」
ジャ「なんだとてめぇ!もっぺん言ってみろ!」
エレ「ああ!何度だって言ってやる!お前はおかしな奴だと言ったんだ!」
ジャ「てんめぇ…!ふっざけんなよ!」
と、なんだか見たことがあるような光景に笑ってしまう。何故か彼らの小競り合いが面白くて懐かしくていつのまにか涙が溢れていた。
エレ「お、おい……泣いてんぞ」
ジャ「あ、ああ……やっぱ今日のマルコは変だな」
エレンとジャンの会話が聞こえてきてそれすらも笑えてしまう。
「マルコ?ほんとにどうしたの?」
前に座る彼女が振り返って心配そうにしている。
エレ「おい、ハル。マルコをどうにかしろよ」
「なんで私が!?」
「そうか。君の名前はハルって言うんだね」
「ほんとにどうしたの?頭打った?」
彼女や他のみんなが自分のこと気にかけている。
そうだ。思い出した。
僕は君達と一緒に兵士を目指してあの時、共に戦って死んだんだ。周囲を見渡してある三人を探す。顔を見つけると一人一人注意深く見つめた。あの時、この三人が僕の事を—— ……そう思ったけれど恨みなどなかった。だって今は前世と現世の君に会うことができたのだから。
「ハル。向こうで君に会いにいくよ。だから待っててほしい」
「マルコ、どういう……っ?!」
彼女の言葉を最後まで聞く前にその唇を自分のもので塞いだ。周りからざわめきが聞こえるがどうしても過去の彼女にキスがしたかった。キスはしていない、そう言った彼女の言葉を思い出していてもたってもいられなかったから。
「ハルの笑顔が好きなんだ。この世界じゃ君を幸せに出来ないけど…未来の僕達ならきっと……」
そう言ったところで目の前の景色がボヤけていく。次第に彼女達が見えなくなって訪れたのはまたしても闇。その中を漂い浮上するように意識がはっきりとしてくる。瞼を開ければ目に入るのは自分の部屋の天井。蛍光灯の豆灯が小さな光を放っていた。体を起こすとまた涙がこぼれ落ちる。そして今度は意思をもって涙が頬を伝った。スマホを握り時間を確認すれば早朝の5時。だけどすぐに彼女に会いたくなって服を着替えると急いで家を出た。
早く彼女に会いたかった。
会って記憶を思い出した事を伝えて抱きしめたい。それから伝えたい言葉も……
大学にやってきたが当然空いてるわけもなく門の前で座り込む。走って来たから息が上がり、汗だくだ。
「…はぁ、何してるんだろ、」
ここに彼女がいるわけもないのに本当に自分に呆れてしまう。
「マルコっ!!」
呼吸が落ち着いたところで帰ろうと足を踏み出せばどこかからか名前を呼ばれる。姿を探せば走ってやってくる彼女を捉え自分も走りよった。距離が近付き目の前に来ると手を掴んで抱き寄せた。
「…マルコ、」
「会いたかった……ハル」
「—— っ!名前!」
「そうだよ。全部思い出したんだ」
「~~っ、よかった…!」
彼女は安堵したのか腕の中で涙を流している。安心させるように抱きしめる腕に力を込めた。初めて彼女を抱きしめた時の事を思い出して彼女の耳元で囁く。
「君に言いたい事があるんだ」
「言いたいこと……」
「前世の僕は巨人に食べられて死んでしまった。それは避けられない事だったけれど君を残したまま逝ってしまった事を謝りたい……」
ごめん、そう言えば首を振っている彼女。
「それは仕方ない事じゃない……こうしてまた出会う事が出来た。それでいい、」
彼女の言葉に胸が締め付けられる。あの時よりは少し大人になった自分だから落ち着いて彼女と向き合える、そう思ったけれど…
「やっぱりヤバイな(ぼそり)」
「えっ?何が?」
「いや。何でもないよ」
体を離して彼女の瞳を覗き込む。涙を流した瞳は艶めいていて少々…いや、かなり色っぽい。
「それからもう一つ、君に伝えたいんだ」
「今度は何を?」
彼女の手を取って強く握りしめた。もう二度と離さないように、彼女に想いが伝わるように。
「ハル、君の事が好きなんだ。昔から変わらない。けれど、今の僕達はまだ出会ったばかりだ。だからこれからお互いの事を知って、今を、明日を生きよう。前世の僕が出来なかった事を全部、君と共に過ごしたい」
うまく伝わればいい、多少の不安を抱えながら想いを言葉にする。彼女はクスリと笑ってそのまま肩を小さく揺らしている。
「…それなんだかプロポーズみたい、」
「えっ?!そうかな……だけど君とならそれもいいかもしれない」
彼女を見つめたまま思った事をそのまま話せば顔を赤くして逸らしている。前の自分なら何もせずに終わったんだろうけど、
「ハル……」
「…ルコ……マルコ!」
「んっ、あれここは?」
「何言ってんの!もうすぐ教官の座学が始まるから起きて!」
「—— っ!君は…っ?!」
「何よ驚いて。しかも君なんて呼び方…」
変なマルコ、という彼女はまさしくあの子だった。でもよく見れば服装が違う。日本では見かけないような格好だ。
アル「マルコが居眠りするなんて珍しいね」
近くの席から話しかけられて振り向くと金髪碧眼の子がこちらを見ていた。
「えっと……」
エレ「アルミン。マルコだって人間だ。そりゃ居眠りくらいするだろ。けど、昨日ジャンと話した後すぐ寝ちまったのにまだ眠いのか?」
アル「そういえばそうだったね、エレン。きっと疲れが溜まってるんだと思う」
「そうだね…うん、心配してくれて、ありがとう……」
歯切れの悪い返事をしたけれど今はそれどころじゃない。金髪の子の隣に座るエレンと呼ばれた男の子をじっと見つめた。この子がエレン、無意識に口走った名前の男の子を穴が空くほど見つめていると「なんだよ気持ち悪りぃな。あんま見んなよ」、そうエレンに嫌がられてしまう。慌てて謝り体を正面に向けた。
ジャ「マルコ、お前そっちの気があんのか?」
声のする方を見て目を見開く。
「ジャンっ!!」
そこにいたのは服装は違えど紛れもなく友人のジャン。勢いよく立ち上がると彼の両肩に手を置いて話しかけた。
「あの子の言ってた事は本当だったんだ!僕達は前世でみんなと知り合いで……!」
ジャ「おいおい…何言ってんだ、マルコ。頭打ったんじゃねぇのか?」
「…えっ、」
アル「そうだね、なんだか今日のマルコは変だ」
ジャ「アルミン、おめぇもそう思うか」
エレ「ジャンはいつでもおかしいけどよ」
ジャ「なんだとてめぇ!もっぺん言ってみろ!」
エレ「ああ!何度だって言ってやる!お前はおかしな奴だと言ったんだ!」
ジャ「てんめぇ…!ふっざけんなよ!」
と、なんだか見たことがあるような光景に笑ってしまう。何故か彼らの小競り合いが面白くて懐かしくていつのまにか涙が溢れていた。
エレ「お、おい……泣いてんぞ」
ジャ「あ、ああ……やっぱ今日のマルコは変だな」
エレンとジャンの会話が聞こえてきてそれすらも笑えてしまう。
「マルコ?ほんとにどうしたの?」
前に座る彼女が振り返って心配そうにしている。
エレ「おい、ハル。マルコをどうにかしろよ」
「なんで私が!?」
「そうか。君の名前はハルって言うんだね」
「ほんとにどうしたの?頭打った?」
彼女や他のみんなが自分のこと気にかけている。
そうだ。思い出した。
僕は君達と一緒に兵士を目指してあの時、共に戦って死んだんだ。周囲を見渡してある三人を探す。顔を見つけると一人一人注意深く見つめた。あの時、この三人が僕の事を—— ……そう思ったけれど恨みなどなかった。だって今は前世と現世の君に会うことができたのだから。
「ハル。向こうで君に会いにいくよ。だから待っててほしい」
「マルコ、どういう……っ?!」
彼女の言葉を最後まで聞く前にその唇を自分のもので塞いだ。周りからざわめきが聞こえるがどうしても過去の彼女にキスがしたかった。キスはしていない、そう言った彼女の言葉を思い出していてもたってもいられなかったから。
「ハルの笑顔が好きなんだ。この世界じゃ君を幸せに出来ないけど…未来の僕達ならきっと……」
そう言ったところで目の前の景色がボヤけていく。次第に彼女達が見えなくなって訪れたのはまたしても闇。その中を漂い浮上するように意識がはっきりとしてくる。瞼を開ければ目に入るのは自分の部屋の天井。蛍光灯の豆灯が小さな光を放っていた。体を起こすとまた涙がこぼれ落ちる。そして今度は意思をもって涙が頬を伝った。スマホを握り時間を確認すれば早朝の5時。だけどすぐに彼女に会いたくなって服を着替えると急いで家を出た。
早く彼女に会いたかった。
会って記憶を思い出した事を伝えて抱きしめたい。それから伝えたい言葉も……
大学にやってきたが当然空いてるわけもなく門の前で座り込む。走って来たから息が上がり、汗だくだ。
「…はぁ、何してるんだろ、」
ここに彼女がいるわけもないのに本当に自分に呆れてしまう。
「マルコっ!!」
呼吸が落ち着いたところで帰ろうと足を踏み出せばどこかからか名前を呼ばれる。姿を探せば走ってやってくる彼女を捉え自分も走りよった。距離が近付き目の前に来ると手を掴んで抱き寄せた。
「…マルコ、」
「会いたかった……ハル」
「—— っ!名前!」
「そうだよ。全部思い出したんだ」
「~~っ、よかった…!」
彼女は安堵したのか腕の中で涙を流している。安心させるように抱きしめる腕に力を込めた。初めて彼女を抱きしめた時の事を思い出して彼女の耳元で囁く。
「君に言いたい事があるんだ」
「言いたいこと……」
「前世の僕は巨人に食べられて死んでしまった。それは避けられない事だったけれど君を残したまま逝ってしまった事を謝りたい……」
ごめん、そう言えば首を振っている彼女。
「それは仕方ない事じゃない……こうしてまた出会う事が出来た。それでいい、」
彼女の言葉に胸が締め付けられる。あの時よりは少し大人になった自分だから落ち着いて彼女と向き合える、そう思ったけれど…
「やっぱりヤバイな(ぼそり)」
「えっ?何が?」
「いや。何でもないよ」
体を離して彼女の瞳を覗き込む。涙を流した瞳は艶めいていて少々…いや、かなり色っぽい。
「それからもう一つ、君に伝えたいんだ」
「今度は何を?」
彼女の手を取って強く握りしめた。もう二度と離さないように、彼女に想いが伝わるように。
「ハル、君の事が好きなんだ。昔から変わらない。けれど、今の僕達はまだ出会ったばかりだ。だからこれからお互いの事を知って、今を、明日を生きよう。前世の僕が出来なかった事を全部、君と共に過ごしたい」
うまく伝わればいい、多少の不安を抱えながら想いを言葉にする。彼女はクスリと笑ってそのまま肩を小さく揺らしている。
「…それなんだかプロポーズみたい、」
「えっ?!そうかな……だけど君とならそれもいいかもしれない」
彼女を見つめたまま思った事をそのまま話せば顔を赤くして逸らしている。前の自分なら何もせずに終わったんだろうけど、
「ハル……」