君に、明日
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1.
「ハルっ!ここに居たんだね」
「マルコ、どうしたの?」
「教官が君を探してるから呼びに来たんだ」
「そうなの?ありがとう!」
行ってくる、そう言って私はあなたの側を離れ教官の元へ行けば明日の事で最終確認の内容だった。明日は駐屯兵団の警備の手伝いに入ることになっている。エレン達は壁上固定砲の整備及び点検。私を含む数人の訓練兵はリフトや備品のチェックを任されることになった。詳しくは明日、駐屯兵団の兵士から聞くよう指示がおりた。それともう一つ。
「…私がリーダーなんて……」
はぁ、とため息を漏らせばそれをマルコに聞かれてしまった。
「ハルがリーダーかい?」
「そうなんだよ…全く面倒くさい、」
「どうして?君は座学だって実技だって悪くない成績じゃないか」
「そんなこと言ったら他のみんなだってそうでしょ、」
「でも君は考えが鋭いし作戦立案だって悪くない…みんなを引っ張っていく力が僕にはあると思うけどな」
「…お世辞なんていらないよ、」
お世辞じゃないんだけど、そう言って優しく笑う彼を見て思わず顔を逸らす。そんな風に褒められちゃ心臓がもたない。頬に熱が集まったのを冷まそうと足早に歩き出した。
「どうしたの?ハルっ!」
「な、何でもないよ!」
待って、と手を掴まれて歩みを止める。掴まれた腕も熱を持ち始めたような気がして慌てて離すようにするけど彼はなかなか離してはくれない。
「は、離してっ、」
「離したら逃げるつもりなのは分かってる」
「逃げないよ、」
「でも君の様子がおかしい…」
「風邪でも引いたんじゃないかな?」
あはは、と引き笑いをしたら額に彼の手が添えられた。そこから彼の温もりが伝わってくる。「ほんとだちょっと熱い」なんて言うから余計に体温が上がる。
「明日は大丈夫?」
「だ、大丈夫だよ」
「本当に?」
「本当、」
もう心配しすぎ、とチラリと見上げると彼が顔を背け、手で口元を覆っている。
「どうしたの?」
「いや、何でもないよ…」
逆に彼の様子が変になって気になる。どうしたのか聞いても彼は教えてくれない。
「…おめぇら何やってんだよ」
「「ジャン!!」」
そこへ彼と仲のいいジャンがやって来て呆れたように話しかけてきた。だけど私はよりによってジャンと出会うなんて、と引き笑いをする。
「おめぇら仲いいよな。いっそ付きあっちまえよ」
「な、何言ってるのよ!」
「ジャン、ハルを困らせたら駄目だよ」
「はぁ?何言ってんだマルコ。お前、前にルカの事、「じゃ、ジャンっ!」」
「?私の事?どうかしたの?」
「いや!何でもない!」
「そう?」
マルコは慌てた様子でジャンの口元を塞ぐとそのまま引き連れてどこかへ行ってしまう。一体何だったのだろうか…。気にしても仕方がないため明日の準備のために立体機動の点検をしに倉庫へと向かった。
ーーー
「あれ?エレン達は?」
「今日から調査兵団が壁外調査に向かうから見に行ったよ」
「そう、」
「ハルは行かなくて良かったの?」
「私はいいよ、」
「君は落ち着いてるからね」
「私はマルコの方が落ち着いてると思うけど」
「そうかな…君にそう言ってもらえて嬉しいよ」
彼女が立体機動装置を持って本部の中から出てきたところで話しかけられた。短い髪がパッと見男のようだけれど背は低いし時折見せる表情は女の子っぽくてどちらかといえばそんな彼女に好意を寄せている。昨日は様子がおかしい彼女を引き留めたけれど、怒ってるような照れているような…気持ち頬が赤いような気がした彼女が上目遣いで自分の様子を伺うものだから一気に体温が上昇したのを思い出した。誤魔化そうとしているところにジャンが現れて本人に気持ちを暴露しようとするから慌てて口を塞いだけど…
「それは自分で言いたいに決まってるじゃないか……」
「んっ?なんか言った?」
「何でもないよ、」
そう?、彼女は不思議そうに小さく首を傾げている。ほら、そういうところが可愛くて目が離せないなんて…さっきは言いたいなんて言ったけれど本人を前にして言える訳もなかった。けれどもう明日からは離れ離れ。ならばと意を決して彼女に声をかける。
「ハル、君に話したいことがあるんだ」
「どうしたの?そんなに改まって、」
「いや、その……何だろう、ね」
「えぇ?マルコが話したい事あるんでしょ?」
変なの、そうクスリと笑う彼女の横顔はとても綺麗に見えた。そう自分はそのふとした瞬間に見せる彼女の笑顔が…
「好きなんだ」
「えっ…?」
「いや!違うんだっ!その……っ!」
思わず口が滑って出た言葉に慌てて否定する。彼女は驚いた顔をした後に「本当に?」と聞き返してきた。バッチリと彼女に聞かれてしまっては後には引けない。
「…その、君の事が、好きなんだ…」
照れ隠しをするように首に手を回して空を見上げる。伝えてはみたものの彼女から反応がない。怒らせたか困らせたか…迷惑をかけたのかと視線を下に向ければ俯いてる彼女。その表情は背の高い自分からは見る事が出来ず不安になる。
「…ハル?」
「—— っ!」
名前を呼ぶと肩を揺らしてゆっくりと顔を上げる。その頬は赤く染まり視線が定まっていない。
「…迷惑だったよね、ごめん」
急にこんな事を言ってしまった自分が恥ずかしく惨めな気持ちにもなりその場を去ろうと踵を返した。が、体が思うように進まない。振り返れば彼女がジャケットを掴み自分を引き止めていた。
「ハル、」
「…私も、」
「えっ?」
「私も、好き……だから、」
「—— っ!!」
彼女から思わぬ返事が聞けて気分が高揚する。鼓動も速くなって彼女の手を引くと近くの倉庫へ入る。
「…マルコ?…わっ、」
「ごめん、少しだけ」
薄暗い倉庫に入った事で彼女は不安になったのかいつもより弱々しい声が耳に届く。それを安心させるかのように小さな体を自分の腕の中に収めた。彼女はいつも毅然としていてみんなから頼りにされるがこうしているとすっぽり収まる体に女の子である事を認識させられる。彼女も背中に腕を回して抱きしめ返してくれ温もりがより伝わってきた。
「…ハル、ありがとう、」
「こちらこそ。ありがとね」
体を離して視線を合わせる。だけどなんだか照れ臭くて顔を逸らすと小さく笑い声が聞こえた。
「マルコ、照れてんの?」
「いや…だって君がこんな近くにいるから、」
「…それもそうだね、」
「少しやばいかも(ボソッ)」
「ん?なんか言った?」
「何でもないよ」
二人で見つめ合ってあはっと笑い合う。本当はキスの一つでも出来ればいいんだろうけど今は告白して気を使い果たした。また今度、彼女とデートした時にすればいい。そう考えていた。けれどその考えはすぐに後悔へと変わってしまうことは今この時は知らない。
「ハルっ!ここに居たんだね」
「マルコ、どうしたの?」
「教官が君を探してるから呼びに来たんだ」
「そうなの?ありがとう!」
行ってくる、そう言って私はあなたの側を離れ教官の元へ行けば明日の事で最終確認の内容だった。明日は駐屯兵団の警備の手伝いに入ることになっている。エレン達は壁上固定砲の整備及び点検。私を含む数人の訓練兵はリフトや備品のチェックを任されることになった。詳しくは明日、駐屯兵団の兵士から聞くよう指示がおりた。それともう一つ。
「…私がリーダーなんて……」
はぁ、とため息を漏らせばそれをマルコに聞かれてしまった。
「ハルがリーダーかい?」
「そうなんだよ…全く面倒くさい、」
「どうして?君は座学だって実技だって悪くない成績じゃないか」
「そんなこと言ったら他のみんなだってそうでしょ、」
「でも君は考えが鋭いし作戦立案だって悪くない…みんなを引っ張っていく力が僕にはあると思うけどな」
「…お世辞なんていらないよ、」
お世辞じゃないんだけど、そう言って優しく笑う彼を見て思わず顔を逸らす。そんな風に褒められちゃ心臓がもたない。頬に熱が集まったのを冷まそうと足早に歩き出した。
「どうしたの?ハルっ!」
「な、何でもないよ!」
待って、と手を掴まれて歩みを止める。掴まれた腕も熱を持ち始めたような気がして慌てて離すようにするけど彼はなかなか離してはくれない。
「は、離してっ、」
「離したら逃げるつもりなのは分かってる」
「逃げないよ、」
「でも君の様子がおかしい…」
「風邪でも引いたんじゃないかな?」
あはは、と引き笑いをしたら額に彼の手が添えられた。そこから彼の温もりが伝わってくる。「ほんとだちょっと熱い」なんて言うから余計に体温が上がる。
「明日は大丈夫?」
「だ、大丈夫だよ」
「本当に?」
「本当、」
もう心配しすぎ、とチラリと見上げると彼が顔を背け、手で口元を覆っている。
「どうしたの?」
「いや、何でもないよ…」
逆に彼の様子が変になって気になる。どうしたのか聞いても彼は教えてくれない。
「…おめぇら何やってんだよ」
「「ジャン!!」」
そこへ彼と仲のいいジャンがやって来て呆れたように話しかけてきた。だけど私はよりによってジャンと出会うなんて、と引き笑いをする。
「おめぇら仲いいよな。いっそ付きあっちまえよ」
「な、何言ってるのよ!」
「ジャン、ハルを困らせたら駄目だよ」
「はぁ?何言ってんだマルコ。お前、前にルカの事、「じゃ、ジャンっ!」」
「?私の事?どうかしたの?」
「いや!何でもない!」
「そう?」
マルコは慌てた様子でジャンの口元を塞ぐとそのまま引き連れてどこかへ行ってしまう。一体何だったのだろうか…。気にしても仕方がないため明日の準備のために立体機動の点検をしに倉庫へと向かった。
ーーー
「あれ?エレン達は?」
「今日から調査兵団が壁外調査に向かうから見に行ったよ」
「そう、」
「ハルは行かなくて良かったの?」
「私はいいよ、」
「君は落ち着いてるからね」
「私はマルコの方が落ち着いてると思うけど」
「そうかな…君にそう言ってもらえて嬉しいよ」
彼女が立体機動装置を持って本部の中から出てきたところで話しかけられた。短い髪がパッと見男のようだけれど背は低いし時折見せる表情は女の子っぽくてどちらかといえばそんな彼女に好意を寄せている。昨日は様子がおかしい彼女を引き留めたけれど、怒ってるような照れているような…気持ち頬が赤いような気がした彼女が上目遣いで自分の様子を伺うものだから一気に体温が上昇したのを思い出した。誤魔化そうとしているところにジャンが現れて本人に気持ちを暴露しようとするから慌てて口を塞いだけど…
「それは自分で言いたいに決まってるじゃないか……」
「んっ?なんか言った?」
「何でもないよ、」
そう?、彼女は不思議そうに小さく首を傾げている。ほら、そういうところが可愛くて目が離せないなんて…さっきは言いたいなんて言ったけれど本人を前にして言える訳もなかった。けれどもう明日からは離れ離れ。ならばと意を決して彼女に声をかける。
「ハル、君に話したいことがあるんだ」
「どうしたの?そんなに改まって、」
「いや、その……何だろう、ね」
「えぇ?マルコが話したい事あるんでしょ?」
変なの、そうクスリと笑う彼女の横顔はとても綺麗に見えた。そう自分はそのふとした瞬間に見せる彼女の笑顔が…
「好きなんだ」
「えっ…?」
「いや!違うんだっ!その……っ!」
思わず口が滑って出た言葉に慌てて否定する。彼女は驚いた顔をした後に「本当に?」と聞き返してきた。バッチリと彼女に聞かれてしまっては後には引けない。
「…その、君の事が、好きなんだ…」
照れ隠しをするように首に手を回して空を見上げる。伝えてはみたものの彼女から反応がない。怒らせたか困らせたか…迷惑をかけたのかと視線を下に向ければ俯いてる彼女。その表情は背の高い自分からは見る事が出来ず不安になる。
「…ハル?」
「—— っ!」
名前を呼ぶと肩を揺らしてゆっくりと顔を上げる。その頬は赤く染まり視線が定まっていない。
「…迷惑だったよね、ごめん」
急にこんな事を言ってしまった自分が恥ずかしく惨めな気持ちにもなりその場を去ろうと踵を返した。が、体が思うように進まない。振り返れば彼女がジャケットを掴み自分を引き止めていた。
「ハル、」
「…私も、」
「えっ?」
「私も、好き……だから、」
「—— っ!!」
彼女から思わぬ返事が聞けて気分が高揚する。鼓動も速くなって彼女の手を引くと近くの倉庫へ入る。
「…マルコ?…わっ、」
「ごめん、少しだけ」
薄暗い倉庫に入った事で彼女は不安になったのかいつもより弱々しい声が耳に届く。それを安心させるかのように小さな体を自分の腕の中に収めた。彼女はいつも毅然としていてみんなから頼りにされるがこうしているとすっぽり収まる体に女の子である事を認識させられる。彼女も背中に腕を回して抱きしめ返してくれ温もりがより伝わってきた。
「…ハル、ありがとう、」
「こちらこそ。ありがとね」
体を離して視線を合わせる。だけどなんだか照れ臭くて顔を逸らすと小さく笑い声が聞こえた。
「マルコ、照れてんの?」
「いや…だって君がこんな近くにいるから、」
「…それもそうだね、」
「少しやばいかも(ボソッ)」
「ん?なんか言った?」
「何でもないよ」
二人で見つめ合ってあはっと笑い合う。本当はキスの一つでも出来ればいいんだろうけど今は告白して気を使い果たした。また今度、彼女とデートした時にすればいい。そう考えていた。けれどその考えはすぐに後悔へと変わってしまうことは今この時は知らない。
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