君がいるから
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Moblit/調査兵
バサバサバサ、
「わぁ!やっちゃったー!」
ここは古城を改装した調査兵団本部。今日は朝から雨が降っているためハンジさんに頼まれてお手伝いをしていた。けれど、腕一杯に抱えた資料をたった今、重さに耐え切れずバラけさせてしまう。とほほ、と半べそになりながら資料を拾い上げているとカチャっと扉の開く音がしてモブリットさんが入って来た。
「…何故また部屋が散らかってるんだ?」
「ぅぅー…モブリットさん。ごめんなさい、」
もう泣きそうになりながら散らばった資料を拾い上げてまとめていく。はぁ、とモブリットさんが小さく溜息を吐いたのが聞こえて落ち込んでしまった。呆れて怒ってるのかなと思ったけれど、モブリットさんは自分の散らかした資料を集め始め手伝ってくれる。
「モブリットさん!お手を煩わせるわけにはいかないです!」
「どうせうちの分隊長があれもこれもとあなたに押し付けたのでしょう?」
全くあの人は限度を知らない、とぶつぶつと小言を言っている。
「あの、私に怒ってないのですか…?」
恐る恐る聞いてみた。
モブリットさんは顔を上げると「まさか」と微笑んでくれる。
「あなたに怒る必要がどこにありますか。仕事を考えなしに押し付けた分隊長が悪い」
それを聞いて胸を撫で下ろしたが上司をそんな風に言ってもいいのかと不安になってきた。
「あぁ。分隊長の事は気にする必要はないよ。いつもの事だから」
呆れるように首を振るモブリットさんを見て苦労されてるんだな、と苦笑いをした。そしてある事を思いついてそれを彼に伝えてみる。
「モブリットさん。私で良ければ定期的にお手伝いしますよ?もちろん自分の任務が終わってからですが…」
と、言ってみたものの今の惨状を見て断られる、そんな事を思った。
「それは助かるよ」
でも彼は断るどころか「ありがとう」と了承してくれ嬉しくなった。そしてそれからというもの時折人手が必要であれば彼の方から声がかかり、特に壁外調査後は毎日のように彼と過ごす時間が増えていった。
今もまたハンジ分隊長の執務室で資料の整理をしているモブリットさんの手伝いをしていた。
「いつもはこんな作業も辛いけど、君のお陰で作業も捗って助かってるよ」
「そう言ってもらえて光栄です」
それもそのはず、彼の手伝いを数ヶ月手伝いどこにどうするのか、彼が何を探しているのか必要なものが大体分かるようになってきていた。
「それに、君がいるから頑張れる」
「お、大袈裟ですよ!」
あはは、と笑ったが彼の真剣な表情に笑えなくなった。
「ハル」
「は、はい」
「僕のお願いを聞いてくれないか?」
「?、いいですよ?」
「決まりだ。今度は君と二人きりで過ごしたい」
「—— っ?!」
それは君じゃなきゃ駄目なんだ、と優しい笑顔の向こう側にキラリと熱をもった瞳で言われてしまう。その瞳のまま一歩彼は近付き髪に触れてきた。
「綺麗な髪だね」
「あ、ありがとうございますっ、」
ただの茶髪なのに肩までの髪を何度か指ですくわれると顔が近付いてそこにキスされる。まさかモブリットさんがそんな事をするとは思っておらず鼓動が自然と速まる。至近距離で彼と見つめ合っていると顔が近付いてきた。キスされる、目を瞑った時、ガチャリと扉が開いた。
「だぁあー!巨人の実験したいのにエルヴィンめー!ん?君達何やってんの?」
「ははーん、逢引かい?」なんてニヤニヤしながら話すハンジさん。そうだった。ここはハンジさんの部屋だった。顔は離れても至近距離の彼を見上げると額に手を当てて、やってしまった、と困った顔をしている。
「君達そんな関係だったんだね!言ってくれたら良かったのに〜!続きをどうぞ?私のことなんて気にしないでキスしていいよ?なんならその先も…「ハンジさんっ!」」
おっと怖いねぇ〜、モブリットさんの大きな声でそんな事を言ってるが全然怖がってる様子はない。
「またお願いするから、その時よろしく」
彼がこちらを向くと小声でそう言ってニンマリ顔のハンジさんに近付いては「仕事です」と書類を差し出している。
—— またお願いするって、
一体何を?、と考えたがさっきの彼の熱く甘い雰囲気を思い出して体が熱くなった。考えを振り払うかのように資料を手に取って逃げるように部屋を出た。
ーーー
パタン、
彼女が出て行く音がして扉が閉まるのを目視した。
「なに?モブリットもう食べちゃったの?」
「食べてません」
「食べちゃえばいいじゃないか!」
「食べるとか食べないとか、彼女は人間ですよ?!」
「とか言って、欲しいんだろ?彼女が」
「…分隊長、」
「どうどう。怒らないで〜そんな君にはこれをあげよう!」
「…なんですか、これは」
「これを彼女の飲むお茶に一滴垂らすと、むふふ。可愛く乱れる彼女が見られるよー!」
「あんた何考えてんですか?!」
モブリットがそれを受け取ったとしても使ったかどかうかは当事者の二人にしかわからない。
君がいるから— Moblit—
「ハルがいると仕事も楽しい。
壁外でも、頑張れるよ。ありがとう」
fin.
2019.5.14
バサバサバサ、
「わぁ!やっちゃったー!」
ここは古城を改装した調査兵団本部。今日は朝から雨が降っているためハンジさんに頼まれてお手伝いをしていた。けれど、腕一杯に抱えた資料をたった今、重さに耐え切れずバラけさせてしまう。とほほ、と半べそになりながら資料を拾い上げているとカチャっと扉の開く音がしてモブリットさんが入って来た。
「…何故また部屋が散らかってるんだ?」
「ぅぅー…モブリットさん。ごめんなさい、」
もう泣きそうになりながら散らばった資料を拾い上げてまとめていく。はぁ、とモブリットさんが小さく溜息を吐いたのが聞こえて落ち込んでしまった。呆れて怒ってるのかなと思ったけれど、モブリットさんは自分の散らかした資料を集め始め手伝ってくれる。
「モブリットさん!お手を煩わせるわけにはいかないです!」
「どうせうちの分隊長があれもこれもとあなたに押し付けたのでしょう?」
全くあの人は限度を知らない、とぶつぶつと小言を言っている。
「あの、私に怒ってないのですか…?」
恐る恐る聞いてみた。
モブリットさんは顔を上げると「まさか」と微笑んでくれる。
「あなたに怒る必要がどこにありますか。仕事を考えなしに押し付けた分隊長が悪い」
それを聞いて胸を撫で下ろしたが上司をそんな風に言ってもいいのかと不安になってきた。
「あぁ。分隊長の事は気にする必要はないよ。いつもの事だから」
呆れるように首を振るモブリットさんを見て苦労されてるんだな、と苦笑いをした。そしてある事を思いついてそれを彼に伝えてみる。
「モブリットさん。私で良ければ定期的にお手伝いしますよ?もちろん自分の任務が終わってからですが…」
と、言ってみたものの今の惨状を見て断られる、そんな事を思った。
「それは助かるよ」
でも彼は断るどころか「ありがとう」と了承してくれ嬉しくなった。そしてそれからというもの時折人手が必要であれば彼の方から声がかかり、特に壁外調査後は毎日のように彼と過ごす時間が増えていった。
今もまたハンジ分隊長の執務室で資料の整理をしているモブリットさんの手伝いをしていた。
「いつもはこんな作業も辛いけど、君のお陰で作業も捗って助かってるよ」
「そう言ってもらえて光栄です」
それもそのはず、彼の手伝いを数ヶ月手伝いどこにどうするのか、彼が何を探しているのか必要なものが大体分かるようになってきていた。
「それに、君がいるから頑張れる」
「お、大袈裟ですよ!」
あはは、と笑ったが彼の真剣な表情に笑えなくなった。
「ハル」
「は、はい」
「僕のお願いを聞いてくれないか?」
「?、いいですよ?」
「決まりだ。今度は君と二人きりで過ごしたい」
「—— っ?!」
それは君じゃなきゃ駄目なんだ、と優しい笑顔の向こう側にキラリと熱をもった瞳で言われてしまう。その瞳のまま一歩彼は近付き髪に触れてきた。
「綺麗な髪だね」
「あ、ありがとうございますっ、」
ただの茶髪なのに肩までの髪を何度か指ですくわれると顔が近付いてそこにキスされる。まさかモブリットさんがそんな事をするとは思っておらず鼓動が自然と速まる。至近距離で彼と見つめ合っていると顔が近付いてきた。キスされる、目を瞑った時、ガチャリと扉が開いた。
「だぁあー!巨人の実験したいのにエルヴィンめー!ん?君達何やってんの?」
「ははーん、逢引かい?」なんてニヤニヤしながら話すハンジさん。そうだった。ここはハンジさんの部屋だった。顔は離れても至近距離の彼を見上げると額に手を当てて、やってしまった、と困った顔をしている。
「君達そんな関係だったんだね!言ってくれたら良かったのに〜!続きをどうぞ?私のことなんて気にしないでキスしていいよ?なんならその先も…「ハンジさんっ!」」
おっと怖いねぇ〜、モブリットさんの大きな声でそんな事を言ってるが全然怖がってる様子はない。
「またお願いするから、その時よろしく」
彼がこちらを向くと小声でそう言ってニンマリ顔のハンジさんに近付いては「仕事です」と書類を差し出している。
—— またお願いするって、
一体何を?、と考えたがさっきの彼の熱く甘い雰囲気を思い出して体が熱くなった。考えを振り払うかのように資料を手に取って逃げるように部屋を出た。
ーーー
パタン、
彼女が出て行く音がして扉が閉まるのを目視した。
「なに?モブリットもう食べちゃったの?」
「食べてません」
「食べちゃえばいいじゃないか!」
「食べるとか食べないとか、彼女は人間ですよ?!」
「とか言って、欲しいんだろ?彼女が」
「…分隊長、」
「どうどう。怒らないで〜そんな君にはこれをあげよう!」
「…なんですか、これは」
「これを彼女の飲むお茶に一滴垂らすと、むふふ。可愛く乱れる彼女が見られるよー!」
「あんた何考えてんですか?!」
モブリットがそれを受け取ったとしても使ったかどかうかは当事者の二人にしかわからない。
君がいるから— Moblit—
「ハルがいると仕事も楽しい。
壁外でも、頑張れるよ。ありがとう」
fin.
2019.5.14
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