Erwin/調査兵
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2.
「なんでしょうか?」
「君はどこの家の出だい?」
「私はウォール・ローゼの出身ですが…」
「まさか!君が?どこかの貴族のご令嬢では?」
「そんな!私は兵士です!」
「ははっ。威勢のいいお嬢さんだ」
そんな冗談は通じないよ、なんて団長と同じようにタキシードに身を包んだ男が近付くと腰に手を回された。なんだろう。凄く嫌だ。
「離して下さい」
「そんなこと言って実は悦んでるんじゃないのか?」
「いえ。全くそんなことはありません」
「いいね。気の強い女は嫌いじゃない」
男はそう言って顎に手を添えてきた。妖しく笑ってる男が気持ち悪くてヒールで足を踏んづけた。そう、思い切り。男は悶絶した表情を浮かべて手を振り上げるのでその手を掴むとクルリと捻り上げた。
「いたたたっ!」
「言いましたよね?私は"兵士"だと」
「可愛くねぇ女だな。そんなんじゃ男なんざ寄って来ねぇよ」
「お生憎様。男なんていらないんで」
「はっ。そんな女程遊びまってんじゃねぇのか?」
「そんな暇はないの」
「はん。暇だろうが。どこの所属かは知らねぇがお前達が働けるのも俺たちの税金のおかげだろうがよ」
ぷちっと頭の血管が切れた音がした気がした。腹が立ってきて捻り上げた手に力を入れる。
「いてててて、」
「それなら何故あなたはこうやって話す事ができているのかしら?」
「そんなのどうだっていいだろ」
「そう。どこの兵士だって壁を守るため住民を守るために働いてる。だから貴方はこうしていい服を着ていい食事が出来ている」
違う?、と言えば顔を歪める男。でもそれはすぐにまた妖しい笑みに変わった。
「はっ。例外の奴らがいるだろう」
「例外?」
「あぁ。あそこにいる団長様が率いる連中だ」
「……」
「俺達の税金で外に行っては兵士が死んで、しかも何の成果もねぇ」
「……」
「一体何をしに行ってるんだろうな」
わざわざ巨人がわんさかいる外に行って何になる、と吐き捨てるように言う男から手を離した。
「あんたも同じ事思ってんじゃねぇのか?」
「……」
「俺の嫁になればいい生活が出来るぞ」
ニヤニヤしながら話すこの男を静かに見つめた。
「結構です」
「なんだよ。連れねぇな」
兵士が偉いとでも思ってんのか?、と睨まれるため睨み返す。
「では貴族も偉いのでしょうか?」
「女っ!よくもそんな口の聞き方を!」
また殴ろうとしてくるのでひらりとかわして手を捻るあげる。
「巨人が入ってくれば貴族なんて関係ない」
「はっ…一度も壁を越えて入って来たことねぇのに」
「そんなの分からないわよ」
「ほんとに可愛くねぇ女だな」
お前になんか惚れる男なんざこの人類にいねぇよ、男が痛みに耐えながら言う。
「ふんっ。こっちから願い下げよ」
そう言ってまた手に力を込めた。悶絶する男の声が大きくなったので手を離すと「この野郎、」と睨みつけられる。
「どうかしたのか?」
そこへ我が兵団の団長が現れた。
「何も。世間話をしてただけです」
「世間話、か」
自分と男を交互に見るとふっ、と小さく笑う団長。そして彼に近付くとまだ座り込んでいる男に手を差し出した。
「すまない。部下が失礼を働いたようだ」
「ぶ、部下?」
「えぇ。彼女は調査兵団、分隊長を任せています」
「はっ、道理で勇ましいこった」
「それぐらい勇ましくなければ壁外で分隊長など務まらないでしょう」
彼女はよくやってくれてます、と自分を褒めた団長に目をパチクリさせる。こんな風に褒められたのは初めてだ。
「ふん。だがその勇ましさで男なんざ寄ってこねぇだろうがよ」
まだそんな事を言ってる男に呆れて文句の一つを言おうとしたが団長に止められた。
「そうでもないようだが?」
団長の言葉に男は訝しげに見上げている。
「彼女の戦績及び実績は調査兵団を支持してくれている方には好評でね。彼女のことを知っても尚、嫁に欲しいと言われているくらいだ」
「えっ?!」
そんなの初耳だ。自分を評価してくれるのは嬉しいが嫁に、だと?!そんなの絶対に嫌だ。貴族の嫁になんて嫌に決まってる。顔が青ざめていくのを団長に見られると「大丈夫だ」と言う。何が大丈夫だ。こっちは大丈夫じゃないのに。
「それよりも貴方の方がどうなんだろうか」
「あ?どう言う事だ」
「噂には聞いています。詐欺師、とか?」
「── っ?!」
男の表情が一気に変わった。
「貴族の娘を相手に声をかけて甘い言葉を囁いては貢がせてる輩がいると小耳に挟んだのだが…」
「な、なんでそれを…!」
「髪型や服装なんか変えても言葉遣いや立ち振る舞いは変わらないだろうと踏んでな」
そこへバタバタといつのまにか憲兵の人達が現れる。男は立ち上がると逃げようとするがすかさずヒールを脱いで男に投げつけた。見事に頭に命中して倒れ込む男。もう片方のヒールも脱いで腕組みをしながら近づいた。
「女を舐めてもらっちゃ困る」
「は、あんたみてぇな女はこっちから願い下げだ」
「そっくりそのままお返しするわ。これだから男は嫌いなのよ」
ありったけの憎しみを込めて男を睨むと「ぅっ、」と怯む。情けない。本当に男なんて嫌い、そう思いながら踵を返して中に入ろうとしたら体が急に浮いた。
「なんでしょうか?」
「君はどこの家の出だい?」
「私はウォール・ローゼの出身ですが…」
「まさか!君が?どこかの貴族のご令嬢では?」
「そんな!私は兵士です!」
「ははっ。威勢のいいお嬢さんだ」
そんな冗談は通じないよ、なんて団長と同じようにタキシードに身を包んだ男が近付くと腰に手を回された。なんだろう。凄く嫌だ。
「離して下さい」
「そんなこと言って実は悦んでるんじゃないのか?」
「いえ。全くそんなことはありません」
「いいね。気の強い女は嫌いじゃない」
男はそう言って顎に手を添えてきた。妖しく笑ってる男が気持ち悪くてヒールで足を踏んづけた。そう、思い切り。男は悶絶した表情を浮かべて手を振り上げるのでその手を掴むとクルリと捻り上げた。
「いたたたっ!」
「言いましたよね?私は"兵士"だと」
「可愛くねぇ女だな。そんなんじゃ男なんざ寄って来ねぇよ」
「お生憎様。男なんていらないんで」
「はっ。そんな女程遊びまってんじゃねぇのか?」
「そんな暇はないの」
「はん。暇だろうが。どこの所属かは知らねぇがお前達が働けるのも俺たちの税金のおかげだろうがよ」
ぷちっと頭の血管が切れた音がした気がした。腹が立ってきて捻り上げた手に力を入れる。
「いてててて、」
「それなら何故あなたはこうやって話す事ができているのかしら?」
「そんなのどうだっていいだろ」
「そう。どこの兵士だって壁を守るため住民を守るために働いてる。だから貴方はこうしていい服を着ていい食事が出来ている」
違う?、と言えば顔を歪める男。でもそれはすぐにまた妖しい笑みに変わった。
「はっ。例外の奴らがいるだろう」
「例外?」
「あぁ。あそこにいる団長様が率いる連中だ」
「……」
「俺達の税金で外に行っては兵士が死んで、しかも何の成果もねぇ」
「……」
「一体何をしに行ってるんだろうな」
わざわざ巨人がわんさかいる外に行って何になる、と吐き捨てるように言う男から手を離した。
「あんたも同じ事思ってんじゃねぇのか?」
「……」
「俺の嫁になればいい生活が出来るぞ」
ニヤニヤしながら話すこの男を静かに見つめた。
「結構です」
「なんだよ。連れねぇな」
兵士が偉いとでも思ってんのか?、と睨まれるため睨み返す。
「では貴族も偉いのでしょうか?」
「女っ!よくもそんな口の聞き方を!」
また殴ろうとしてくるのでひらりとかわして手を捻るあげる。
「巨人が入ってくれば貴族なんて関係ない」
「はっ…一度も壁を越えて入って来たことねぇのに」
「そんなの分からないわよ」
「ほんとに可愛くねぇ女だな」
お前になんか惚れる男なんざこの人類にいねぇよ、男が痛みに耐えながら言う。
「ふんっ。こっちから願い下げよ」
そう言ってまた手に力を込めた。悶絶する男の声が大きくなったので手を離すと「この野郎、」と睨みつけられる。
「どうかしたのか?」
そこへ我が兵団の団長が現れた。
「何も。世間話をしてただけです」
「世間話、か」
自分と男を交互に見るとふっ、と小さく笑う団長。そして彼に近付くとまだ座り込んでいる男に手を差し出した。
「すまない。部下が失礼を働いたようだ」
「ぶ、部下?」
「えぇ。彼女は調査兵団、分隊長を任せています」
「はっ、道理で勇ましいこった」
「それぐらい勇ましくなければ壁外で分隊長など務まらないでしょう」
彼女はよくやってくれてます、と自分を褒めた団長に目をパチクリさせる。こんな風に褒められたのは初めてだ。
「ふん。だがその勇ましさで男なんざ寄ってこねぇだろうがよ」
まだそんな事を言ってる男に呆れて文句の一つを言おうとしたが団長に止められた。
「そうでもないようだが?」
団長の言葉に男は訝しげに見上げている。
「彼女の戦績及び実績は調査兵団を支持してくれている方には好評でね。彼女のことを知っても尚、嫁に欲しいと言われているくらいだ」
「えっ?!」
そんなの初耳だ。自分を評価してくれるのは嬉しいが嫁に、だと?!そんなの絶対に嫌だ。貴族の嫁になんて嫌に決まってる。顔が青ざめていくのを団長に見られると「大丈夫だ」と言う。何が大丈夫だ。こっちは大丈夫じゃないのに。
「それよりも貴方の方がどうなんだろうか」
「あ?どう言う事だ」
「噂には聞いています。詐欺師、とか?」
「── っ?!」
男の表情が一気に変わった。
「貴族の娘を相手に声をかけて甘い言葉を囁いては貢がせてる輩がいると小耳に挟んだのだが…」
「な、なんでそれを…!」
「髪型や服装なんか変えても言葉遣いや立ち振る舞いは変わらないだろうと踏んでな」
そこへバタバタといつのまにか憲兵の人達が現れる。男は立ち上がると逃げようとするがすかさずヒールを脱いで男に投げつけた。見事に頭に命中して倒れ込む男。もう片方のヒールも脱いで腕組みをしながら近づいた。
「女を舐めてもらっちゃ困る」
「は、あんたみてぇな女はこっちから願い下げだ」
「そっくりそのままお返しするわ。これだから男は嫌いなのよ」
ありったけの憎しみを込めて男を睨むと「ぅっ、」と怯む。情けない。本当に男なんて嫌い、そう思いながら踵を返して中に入ろうとしたら体が急に浮いた。